これが運を持っている男なのだろうか。1点差まで詰め寄り、なお1死二、三塁。7回の絶好の逆転チャンス。ここで打席が巡ってきたのは堂上直だった。
「打席に立たせてくれた監督に感謝して、思い切っていこうと思っていたのですが…」
カウント1−1から建山の速球を打った。結果は遊ゴロ。甘くはなかったが、何かやってくれそうな空気を招いた。
落合監督の大胆な抜てきだった。「7番・二塁」。プロ4年目で初スタメン。2軍暮らしが続いていた逸材を、井端の離脱によって空いた二塁に入れた。
結果はほろ苦かった。2回の第1打席は二飛。5回1死一塁での第2打席は捕邪飛。トータル3打数ノーヒット。「どんどん悪くなっていますね。打席をおうごとに。打ち焦った。力不足ですね」。意気込みがこの日は空転した。
二塁守備はノーミスだった。「守備はまあまあだったと思います」。今月11日から始めたばかりの急造セカンド。3つの二ゴロを無難にさばいた。併殺こそ取れなかったものの、荒木との6−4−3のコンビを2度トライ。落ち着いていた。派手な結果は出せなかったが、光はあった。 (生駒泰大)
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