「日本相撲協会緊急理事会」(15日、両国国技館)
野球賭博への関与を認めていた大関琴光喜が15日、名古屋場所(7月11日初日、愛知県体育館)を休場し、当面の間、謹慎することになった。この日、日本相撲協会で行われた緊急理事会に、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が申し出て、承認された。また、琴光喜を含め賭博への関与を認めた協会員65人への厳重注意も決まったが、警察の捜査の結果に応じて、あらためて重い処罰を下すことが確認された。
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佐渡ケ嶽親方の申し出を承認した理事会は、捜査がすべて終わるまでは処分を出さないことを決めた。理事会後、会見した武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「処罰の話も出ましたが、警察からの指導のもと、それを協会としても判断しながら、理事会にかけ処分等に進んでいくと思います」と慎重に話した。
今回の休場は一般的なものと同様に、秋場所に出場できたとしてもかど番となる。部屋でのけいこは認められた。ただ、琴光喜以外の力士の名前については「捜査の妨げになるので、公表しないようにきつく警察から言われた」(八角生活指導副部長)ことを理由に発表されなかった。
協会が琴光喜から関与の自白を受けたのは13日。会見で経緯を明かした理事長によると、武蔵川部屋を琴光喜本人が訪れ、賭博の事実を認めた。その場で琴光喜は相手方から脅迫を受けていたことも報告。「家族にも危険が及ぶのでは」と考えて、5月27日の理事会で「知りません」とうその報告をした釈明をしたという。
琴光喜の場合は暴力団との関与、賭博行為の悪質さに加え、理事会でうそをついたことも含めて処分が下るため、解雇の可能性も残された。また警察に個人情報が書かれた上申書を、提出者に無断で提出したことについて、協会の顧問弁護士は「個人情報保護法の上で不備があった」と落ち度を認めたが、「厳重注意で収める」との“約束”をほごにすることの問題点については回答しなかった。
現状では結論を出す時期が、送検か、起訴か、裁判の判決か線引きも明確にされていない。琴光喜については、捜査の結果が出るまで何カ月も結論が先送りになる可能性もある。理事長は「(結果が)来てみて初めて判断する。今、どうのこうの言えません」と言葉を選んだ。琴光喜にとっては“針のむしろ”の日々が続くことになる。