カメルーン戦で値千金の決勝弾を沈めたMF本田圭佑(24)=CSKAモスクワ=が16日、名実ともに岡田ジャパンの中心となった。これまでは“一匹狼”だったが、DF長友、MF遠藤、MF中村憲らを中心に本田の持ち味を最大限に生かそうとする“本田派”が立ち上がった。この日の練習にはオランダの公共テレビNOSも取材に訪れ、怪物レフティを徹底マーク。2戦連続の値千金弾への期待が高まる。
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16日の練習冒頭のランニング。先頭を走っていたのは新たな王様だった。MF本田がチームを認めさせた。ビッグマウスに結果が付いてこないため、孤立しがちだった背番号18。15日の宿舎内調整を経て、カメルーン戦後、初めてピッチに出たこの日はDF長友、MF中村憲らと談笑。値千金弾を決めた本田の周りに人が集まりはじめた。
11日の完全オフ日には長友と2人でゴルフ。長友は“親・中村俊派”の筆頭でもあったが、本田とは、08年北京五輪からの付き合いもあり「ゴルフしながら自然にサッカーの話になる。互いに要求し合ういい関係」と話す。13日の本田の誕生日にはFW森本がホテルの従業員によるアフリカ式の祝福ダンスに交ざり、場を盛り上げた。また中村俊の親友・MF遠藤も「本田を生かす」という趣旨のもと、怪物レフティに急接近。孤高の影は薄れつつある。
岡田監督がMF中村俊を外して本田との心中を決める中、選手内での反応はいまひとつだった。昨年9月のオランダ遠征では、MF橋本が唯一に近い話し相手。ある主力は当時「代表も体育会の部活みたいなもの。新しく入ったやつが、何もしないで態度だけでかいとだれも納得しない」と、今度は左足一本で納得させた形だ。
本田自身の歩み寄りもあった。カメルーン戦でゴールを決めた直後、ベンチへ走った。中村憲から「ゴールを決めたら来いよ」と言われていたが、その約束を守った。ゲーム主将のMF長谷部は「あいつにも優しい心がある。あれでチームが1つになった」と話す。
この日の練習場には次戦の相手・オランダの公共放送「NOS」も登場。日本人記者に「本田はストライカーが適任か」と聞いて回るなど注目度の高さをうかがわせた。攻撃のフォーメーション練習では2トップの一角でプレー。点取り屋としての期待が増すばかり。オランダ戦でも重責を果たし、“政権基盤”を盤石のものにする。