大杉 「たかが漫画の歌」なんて誰も思ってないんですよ。それが、私とアニメソングとの出会いでした。 放送のときは、最初は小鳩くるみさんの歌が流れて、何週目かから私の歌に変わったんです。オープニングの映像とともに自分の歌が流れてくるのが新鮮で、「なかなかいいなぁ。一生懸命歌ったかいがあったな」とそのとき思いました。そしたら、すごくヒットしたんですね。 ■念願のヒット賞をアニメ主題歌で受賞 『アタックNo.1』のシングルレコードは1社独占ではなく、大杉久美子の歌唱が東芝、コロムビア、キングレコードなど複数のメーカーから発売される競作となった。こうしたリリース形態は、当時のアニメソングには珍しくなかった。大杉久美子は先発だった東芝レコード盤で念願のヒット賞を手にする。 ☆ ☆ ☆ 大杉 クラウンレコードでは毎年ヒルトンホテルでクリスマスパーティが開催されて、その年ヒット曲を出した歌手がみんなの前で表彰されるんです。私はその受賞式を見ながら「いつか私も」と思っていたんですけど、ついに「アタックNo.1」で東芝レコードからヒット賞をいただいたんですよ。受賞式の会場も同じヒルトンホテル。「やった!」と思いました。 でも、いざ会場に近づくと「ほんとうに自分がもらえるの?」って不安になったんです。車で送ってくれた父に話したら、「じゃあ、待っていてあげるからようすを見てきなさい。名前がなかったら帰ればいいから」って。受付へ行ってみたら、ちゃんと名前があり、ゲストの花(コサージュ)も用意されていて、「あぁ、今日は私がこれをつけて出られるんだ」って、やっと実感がわきました。 そのパーティのときに、岳夫先生がレコード会社の方に声をかけられて、「いい歌手見つけてきたねぇ。どこで見つけたの?」って聞かれたんですって。あとで岳夫先生がすごくほこらしげに話してくださったのが印象に残ってますね。 その後もアニメの歌では、何度もヒット賞をもらいました。歌謡曲時代はほしくても手が届かなかった賞をアニメでいただけたので、ほんとうにアニメソングに出会ってよかったです。 ☆ ☆ ☆ ★次回は、『アルプスの少女ハイジ』と渡辺岳夫の思い出。 <第2回 「アルプスの少女ハイジ」〜アニメソング一筋で行こう!> お楽しみに!