老朽化する道路や橋などのインフラの更新にかかる費用が今後50年間で190兆円に達する、との試算を国土交通省がまとめた。2037年度には、維持管理と更新に必要な費用を公共事業予算で賄えなくなり、耐用年数を過ぎた道路や橋がそのまま放置される恐れもあるという。
高度成長期に集中的に整備されたインフラの老朽化が一斉に進むため、29年度には全国の橋、河川管理施設、港湾岸壁の半分が完成後50年以上となる。公共事業予算が今後、今年度と同じ水準で推移した場合、37年度には維持管理費3.6兆円と更新費4.4兆円、災害復旧費0.5兆円でほぼ予算を使い切り、新たな建設は一切できなくなる、としている。
ただ、補修などで耐用年数を延ばす対策を施していけば、予算が「パンク」する時期を10年程度先延ばしできる、との試算も示している。
試算は、近く閣議に報告する国土交通白書に盛り込む。公共事業予算のさらなる削減を求める声に対し「予防線」を張る狙いもありそうだ。