トヨタ系特殊鋼メーカーの愛知製鋼は16日、レアアース(希土類)の「ディスプロシウム」を使わない新方式の車載モーター向け高機能磁石を開発したと発表した。ディスプロは中国でしか産出されない高級原料。これを使わないことで原料費を抑えられる分、従来より2~3割安く作れるうえ、安定供給しやすいとして国内外の自動車部品会社に売り込みを図る。
主原料のネオジムを直径1万分の3ミリに微細化したうえで特殊コーティングして作った。ネオジムもレアアースの一種だが、産出地域が多く、比較的手に入りやすい。
ネオジム系磁石は一般的なフェライト磁石より磁力は強いが熱に弱い。このためパワーステアリング用などエンジンルーム周辺で使う場合はネオジムの5倍以上も高価なディスプロを混ぜる必要があった。新型磁石はディスプロ入りと同等の150度まで耐えられ、自動車1台に100個前後ある小型モーターのほとんどに使えるという。
11年3月から岐阜県関市の関工場で量産を開始。需要が増すハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)用の大型モーターにも応用できるとみて、更に研究を進める。【宮島寛】
毎日新聞 2010年6月17日 2時04分