政治

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

選択的夫婦別姓:民法改正案、提出は絶望的 「失望」と「当然」の声

 選択的夫婦別姓を導入する民法改正案は、今国会への提出が絶望的となった。千葉景子法相が強い意欲を示して閣内に協力を求めていたが、金融・郵政担当相だった亀井静香氏の反発で閣議決定に至らず、首相交代という政局のあおりも受けた。政権交代で期待を持ち続けてきた当事者に失望が広がる一方、慎重な立場の識者からは「法案提出見送りは当然」との指摘もある。【山崎友記子、石川淳一】

 「民法改正見送りは残念の一言。いつまで待ったらいいんでしょう」。東京都青梅市の浅香ひろみさん(49)は、結婚前からフリーで本の装丁などの仕事をしており、結婚後も同じ姓で仕事を続けたいと19年間、通称を使ってきた。仕事に加え、町内会役員や図書館ボランティア、娘が通う学校のPTA役員などでも夫や娘とは違う姓を名乗り、周囲の理解を得ていた。

 しかし、市の図書館嘱託職員への応募では違った。申込時に「地元で認識されている旧姓を使わせてほしい」と言ったところ、担当者から「戸籍姓が使えない事情があるのか」と拒否された。

 結局、戸籍姓で応募したが、採用されなかった。浅香さんは「旧姓使用を希望すると、選考で不利になるようなことも起きているのでは」と懸念する。

 雑貨店などを営む武蔵野市の小境範子さん(51)も結婚で戸籍上の姓は変えたが日常生活では旧姓を使い、自宅の表札に二つの姓を併記していた。04年に夫が死亡。悩んだ末、配偶者が死亡した場合に婚姻前の姓に復することが可能と定めた民法の規定にのっとり、戸籍上の姓を元に戻した。23歳と11歳の子供は夫の姓のままだが「家族の中に二つの姓があっても親子関係に何も変わりない」と話し、別姓でも問題はないと強調する。

 一方、八木秀次・高崎経済大教授(憲法)は「国民的な議論はまだ起きていない現状では民法改正には慎重になるべきで、法案提出が見送られたのは正しい判断だ」と話している。

毎日新聞 2010年6月15日 東京夕刊

PR情報

政治 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド