2010年06月17日
〜第一回魔王討伐〜
勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」
勇者「ゆうしゃさまのおでましだぁ!かんにんしやがれ!!!」
魔王「なんだこのガキは、五月蠅いからあっち行ってろ」べこんっ
勇者「うわあぁぁぁああぁぁぁ…」キラーン
魔王「さて、仕事の続き続き…」
〜第二回魔王討伐〜
勇者「ま、まおう!」
勇者「勇者さまがた、た、たおしに来たぞぅっ!」ガクガク
魔王「おお、遂に来たか勇者よ。今回はやけに若いヤツだな」
勇者「・・・・・・この前も来たのに・・・(;ω;」
魔王「ん?何か言ったか」
勇者「うぅっ・・・もーいいよ・・・」
魔王「では、いざ」ジャキ
勇者「食らえっ『か」
魔王「”爆裂術”」
ドオオオォオオォオン!!!
勇者「ぅぎゃああぁあああぁぁぁぁ〜・・・・・」キラーン☆
魔王「ふぅ・・・そろそろおやつの時間かな」スタスタ
〜第三回魔王討伐〜
勇者「・・・もう少しで魔王城に着くな・・・」
勇者「はぁ・・・今度は少しはまともに戦えるかなぁ・・・」
勇者「うぅ・・・また一撃も与えられずに飛ばされたらどうしよぅ・・・」うるうる
勇者「ここを抜けたら魔王城だ・・・」
勇者「・・・・・」
ガサッガサッ
勇者「・・・、あれ・・・?」
勇者「魔王城が、ない」
勇者「どどどどどどーゆーこと!?;」キョロッキョロッ
勇者「場所あってるよねぇっ!?;」キョロキョロキョロッ
勇者「うっうそぉっ!?;ま、まさか勇者が来たから引っ越したとか・・・」
??「わっせわっせ」
勇者「・・・?」
ガサッガサッ
ちっちゃい魔物1&2「わっせわっせ」
勇者「うわっちっちゃ!」
ちっちゃい魔物1「ん?何だお前」
ちっちゃい魔物2「魔王様に会いに来たのか?」
勇者「う、うん・・・そうなんだけど・・・」
ちっちゃい魔物2「あーだめだめ」ふりふり
ちっちゃい魔物1「魔王様は遠征に出かけて留守だし、」
ちっちゃい魔物2「魔王城は壊れちまったよ」
勇者「こ・・・こわれた・・・?;」
ちっちゃい魔物1「側近2さんとメイドさんが喧嘩しちゃってねぇ」
ちっちゃい魔物2「まぁいつものこと何だか」
勇者「い、いつもの・・・?;」
ちっちゃい魔物1「おかげで破片を運ばなくちゃなんなくってなぁ」
ちっちゃい魔物2「何せ跡形もなく壊しちゃうんだもんなぁ」
勇者「そ、そうなんだ・・・」
ちっちゃい魔物1「あんたも暇なら手伝っておくれよ」
勇者「え」
ちっちゃい魔物1「どうせ城が無くて途方に暮れていたところなんだろ?」
勇者「そうだけど・・・」
ちっちゃい魔物1「じゃあ手伝う手伝う」トコトコ
ちっちゃい魔物2「全く、チビにこんなことさせるなよなぁ」トコトコ
勇者「・・・・・」トコトコ
〜数時間後〜
勇者「ふぃー」ドゴッ
ちっちゃい魔物1&2「よいせっ」ドゴッ
青い魔物「だいぶ集まったなぁ」
赤い魔物「もう少しで全部あつまんかねぇ」
バサッバサッ
ドラゴン「おーい、俺たちの巣にも落ちて来たぞー」
青い魔物「おぉ、ドラゴンじゃないか」
バサッバサッ
ドオォゥンッ!
ドラゴン「またあの二人が喧嘩したのか」
ちっちゃい魔物1「そーなんだよー」
ちっちゃい魔物2「勘弁してよって感じだよなぁ」
ドラゴン「ははは、ホント飽きないねぇ」バサッバサッ
勇者「・・・・・ドラゴンの巣、ここから1000里くらい離れてるのに・・・」
ドラゴン「おや」
勇者「・・・」
ドラゴン「あの時の小僧じゃないか」
勇者「・・・っ」
ちっちゃい魔物1「なんだいドラゴンさん、こいつを知っているのか?」
ドラゴン「ああ。確か勇者だっけか?」
ちっちゃい魔物1「へー」
ちっちゃい魔物2「お前勇者っていうのか」
勇者「え」
ちっちゃい魔物1「手伝ってくれて、ありがとうなぁ」ニコニコ
勇者「何この反応」
魔王「その原因は私にある」
勇者「あっ」
ちっちゃい魔物1「魔王様!」
ちっちゃい魔物2「おかえりなさいませ!」
魔王「ただいま。またあの二人が派手にやってくれたようだな」
ちっちゃい魔物1「そーなんですよー」
ちっちゃい魔物2「しかも魔王城にいたみんなどっか飛んじゃったらしくて」
魔王「ふむ・・・回収しに行かなければ」
勇者「・・・・・」
魔王「おお勇者殿、城の補修工事を手伝ってくれて大変ありがとう」なでなで
勇者「なでるなっ」
魔王「でも残念ながら持て成すことは出来なんだ。何せ城がこんなもんで」
勇者「城がなくったって戦えるだろう!」
赤い魔物「ねぇ魔王様、このガキ何なんです?」ビキビキ
青い魔物「先ほどから魔王様に好戦的な態度を取っていますが・・・」
魔王「あぁ・・・まあ、人間だ」
赤い魔物「へぇ!人間!」
青い魔物「初めて見たなぁ」マジマジ
勇者「何、この海を初めて見た人みたいな反応・・・」
魔王「まあ皆田舎者だしな」
勇者「そ、そーゆーもん・・・?;」
魔王「人間と関わる魔族なんて一握りさ」
勇者「・・・・・」
魔王「さて、先ずは城の補修から・・・」
ちっちゃい魔物1「補修と言うより建て治しですけどね」
魔王「まあ確かに」
魔王「ビフォーアフタ〜」ぱんっ
カチカチカチカチ
カチカチ
カチカチ・・・
カチカチッ ピカーンッ!
魔王「・・・ふぅっ完成!」キラキラ
赤い魔物「毎回だんだんと速くなっていますね」
青い魔物「今回は3分くらいですかねー」
魔王「私も手慣れたものだな」
勇者「・・・インスタントかよ・・・」
魔王「城の中身を整えといてくれ」
魔王「私はちょっと皆を探してくる」ばさっ
残った魔物達「「「「「畏まりましたっ」」」」」ビシッ
ちっちゃい魔物1「ほらほら勇者も行くぞ」ぐいぐい
勇者「えっ・・・! おっ俺は!」
ちっちゃい魔物2「きっと沢山散らかっているんだろうなぁ」ぐいぐい
勇者「ちょっまっ・・・!」
魔王「ではよろしく〜〜〜」ふよふよ
勇者「っ 待ちやがれぇっ!まおーーーー!!!」ずるずる
勇者「ちぇっ何だって俺が魔王城の掃除を・・・」ゴシゴシ
ちっちゃい魔物1「勇者は魔王様と力比べをしにきたのか?」ゴシゴシ
勇者「倒しにきたの!」ゴシゴシ
ちっちゃい魔物1&2「「へー」」
勇者「・・・、なんだよその反応は。もっと、」
勇者「『なにっお前魔王様の敵かっ!』とか」
勇者「『俺達が魔王様に代わって成敗してくれるっ!』とか」
勇者「ないわけ?」
ちっちゃい魔物1「だってお前みたいなのが」
ちっちゃい魔物2「魔王様を倒すなんて」
ちっちゃい魔物1&2「「無理だしっ!!」」
勇者「っ・・・!声をそろえていうなぁあっ!!!(涙目)」
勇者「はぁ・・・ていうか何であんなに強いんだよぅ、あの魔王は・・・女のくせに・・・」
ちっちゃい魔物1「別に関係ないだろ、それは」
勇者「関係あるだろ。あんな強い女、初めて会ったぞ」
ちっちゃい魔物2「人間の女は弱いのか?」
勇者「・・・。魔族の女は強いの・・・?」
ちっちゃい魔物1「まあ」
ちっちゃい魔物2「うちのカーチャンは、強いよ」ぶるりっ
ちっちゃい魔物1「種族によって違うかな」
ちっちゃい魔物2「女が強い種族もいれば、男が強い種族もいるのさ」
勇者「へぇ・・・」
かつ こつ
メイド「お疲れ様です」
ちっちゃい魔物1「あー!」
ちっちゃい魔物2「やっと戻ってきたっ!!」
勇者「メイドさん・・・?」
メイド「死闘の末、側近2をやっと仕留めて来ましたわ」ふぅ
ちっちゃい魔物1「あんた夫婦喧嘩は他所でやってくれよー」
ちっちゃい魔物2「しかもいつも原因は”どちらが魔王様を大切にしているか”」
ちっちゃい魔物1&2「「そんなの争ったってしょーがないだろー」」
メイド「いえ、今回は”どちらが魔王様を愛しているか”でしたわ」
ちっちゃい魔物1&2「「どっちだって同じだろー」」
勇者「夫婦・・・げんか・・・?」
メイド「どっちだって同じですって!魔王様はねぇっ凛々しくて聡明で最強尚且つ最凶の・・・」
ちっちゃい魔物1「あああまた始まった」
ちっちゃい魔物2「メイドによる魔王様のための魔王様の話」
メイド「あれは出会ったころでしたわ、魔王様はその美しい瞳を私に向けて私の頬を」
ちっちゃい魔物1&2「「もー勘弁してよー」」
勇者「ていうか旦那さん仕留めたって・・・しとめたって・・・」
カッカッ
魔王「聞いているこちらが恥ずかしいからそろそろ止めないか、メイド」
メイド「魔王さま!」きらきら
側近2「げほごほっ・・・」
メイド「あら、生きてたの」つんっ
側近2「まおうさまがおてをさしのべてくれたのだ・・・やはりまおうさまはなんとやさしいかt」げほごぼ
魔王「無理はするな」ぽんぽん
メイド「だいたい何で魔王さまに背負って貰ってんのよっ!穢れた体は地べたにでも引き摺られなさいっ」ぐいっ
魔王「こらこら止しなさい、全身骨折してるんだからどこか取れてしまうかもしれないだろう」
側近2「げぼげほごほごほ・・・・・」くて
メイド「あああ魔王様のお体に凭れるなんてっ」ぐいぐいっ
魔王「だから止しなさいってばっ;」
勇者「・・・・・」
魔王「ああ勇者、まだいたのか」
勇者「まだって・・・」ビキビキ
魔王「メイド、ほらっ、茶でも入れてやれ。一応客人だ」
勇者「お客じゃなーいっ!」
メイド「魔王さまのご命令ならば」キリッ
勇者「さっきまで言うこと聞かなかったのに・・・」
こぽこぽこぽ
勇者「ほんとに入れてもらってるし・・・」
メイド「勇者くんは紅茶のような方なのね?」
勇者「・・・?」
メイド「流されやすい」
勇者「っ!ちくしょぉぉぉっ」
メイド「だって勇者の役目は魔王様を倒すことじゃなぁいっ」
勇者「そうだよっ」 ゴクゴク
メイド「なのに私の毒入りアップルティーを悠々と飲んでいらっしゃる・・・」ククククク...
勇者「ブフーッッッ!!!」
メイド「冗談よ」ケロリ
勇者「っ じょうだんかよ・・・」ハァハァ
メイド「でも敵の与えたモノを疑いもせずに飲むなんていけないことだわ」
勇者「・・・・・」
メイド「勇者失格ね」
勇者「・・・・・・・。 くそっ」
魔王「ふぅっ回収作業終わった!」ばさっ
側近1「いやはや今回もえらく派手にやりましたねぇ、メイド。毎回ながらあっぱれです」
メイド「魔王さまっ!それに、側近1様も」
勇者「・・・・・」
魔王「一部は人間の町も飛んでたぞ」
側近1「可哀相に・・・もうあの魔物は人間に対してトラウマを持ったでしょうねぇ」ホロリ
勇者(どっから出てきたんだ・・・気配すらしなかったぞ)
メイド「毎度すみません・・・魔王さま。側近2には後から言っときますので・・・」
魔王「いやいやお前が自重しなさいっ!;」
側近1「城が壊れるのはほぼメイドの攻撃の所為でしょうに」
メイド「いーえっ止めはぜったいにアイツの所為ですわ!」
魔王「自覚が無いから始末に終えない・・・」ガクッ
側近1 ホロリ
勇者「・・・・・」カチャッ
側近1「おや」
勇者 ビクッ
側近1「勇者じゃないですか」
魔王「お前、知っているのか」
側近1「ええ、一応魔王様を守る身の上なので」
メイド「まあこんな奴から守る場所なんて何処も無いでしょうけどっ」ホホホ
勇者「・・・・・っ」
勇者「覚悟しやがれ魔王っ!今度こそっ、今度こそ・・・っ!」
魔王「待て勇者、お前は何故そんなに・・・」
勇者「うおりゃああああ」バッ
メイド「”炎風術”」
ゴオオオオオオオオオッッッ!!!!!
ドォオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!
勇者「あ゛あああああああああぁあああぁぁぁ・・・・・」キラーンッ☆
魔王「ああ・・・少し、話がしたかったのに」
側近1「というかまた貴女は城を壊して・・・」
メイド「当然の制裁をしてやったまでですわっ」ふんっ
魔王「勇者というのは何故ああも血の気が強いのだ?」
魔王「まだ幼いんだから、もう少し鍛えてから私に挑めばいいのに・・・」
メイド「まぁ鍛えても無駄でしょうけど」ホホホ
側近1「・・・多分、寿命の所為でしょうね」
魔王「寿命?まぁ人間は70年くらいしか生きられないらしいが、それでもまだ・・・」
側近1「いえ、違うんですよ」
魔王「?」
側近1「勇者は、40になったら死んでしまうんです」
魔王「・・・、どういうことだ」
側近1「詳しく言えば”40までに魔王を倒さないと死んでしまう呪い”ですね」
魔王「勇者にはそんなハンディキャップが・・・?」
側近1「いえ、これは人間の国が付ける呪いです。生まれながらのものではありません」
側近1「しかし生まれたらすぐ、魔法使いや賢者によって付けられる呪いだとか」
側近1「そしてこの呪いは魔王を倒すまで解かれることは無い・・・」
魔王「・・・・・」
側近1「身体的に衰えが出た地点でもう、魔王は倒せないと判断したまでの呪いでしょう」
側近1「しかも、ある国では魔王を倒せなかった勇者の一族は皆殺しにするとか」
側近1「遺伝子的に魔王を倒せる者はもうこの一族から出ないだろう、と」
側近1「哀れなものです・・・」ホロリ
魔王「・・・・・」
魔王「・・・・・そうか、そうだったのか。だからあんなに・・・」
メイド「そんな顔なさらないで下さい、魔王さま」
メイド「魔王さまだって魔界の法によって色んなものを犠牲にしてきたのですから、お相子です」
魔王「いや、私はなかなか無知だったようだ」
魔王「世界でもっとも敵対しているであろう勇者をこんなにも知らなかった」
魔王「今まで何人もの勇者を倒してきたが、そんな事情があったとは・・・」
魔王「ふむ、あえて皆には勇者の存在を”王を倒す極悪人”と教えてこなかったが」
側近1「ただ単に面倒臭かっただけでしょうに」
魔王「バレてたか。・・・ちょっと可哀相なことしたかもなぁ、勇者には。いや、勇者”達”には」
側近1「魔王様の御在位も随分となりますものねぇ」
魔王「勇者を倒そうとする過激派も、めっきりいなくなったしなぁ」
側近1「勇者はさながら”観客のいない舞台で一人踊らされる人形”の気分だったでしょうねぇ」
魔王「いやぁ悪いことをした。これからはもうちょっと真面目に扱ってやろう」
メイド「・・・私の知らない魔王様を知っている。ちょっとじぇらすぃー」
〜第四回魔王討伐〜
ひょこっ じーっ
魔王「・・・・・」ふいっ
サッ
魔王「・・・」すっ...
ひょこっ じーっ
魔王「・・・、ぷっ」
びくぅっ
魔王「あははっいつまでそうしているのだ?勇者」
魔王「可愛らしいことこの上ないぞっ」くくっ
勇者「うぅ・・・」とてて
魔王「良く生きてたなぁ」しみじみ
魔王「ちょっとは大きくなったかな?ふむ、人間は本当、成長が早いな」なでなで
勇者「・・・・・」
魔王「お?抵抗しないぞ?よしよし飴ちゃんでもやろう」
勇者「・・・・・ガキ扱いするな」
魔王「ガキじゃないか」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・、卑怯だ」
勇者「何で魔王は大人なんだよ。勇者は子供なのに」
魔王「ふむ、それはだな勇者の変換サイクルが早すぎるからだろう」
魔王「もうちょっと鍛えてから来たらどうだ?前勇者はもうちょっと大きくなってから来たぞ?」
勇者「・・・そんなのんびりしてらんないの、わかっているくせに」
魔王「・・・・・(この前知ったばかりです、って言ったら怒るんだろうなぁ)」
魔王「・・・なあ、勇者?」
勇者「・・・・・」
魔王「確かにお前は私を倒さなかったら、40で死んでしまうかもしれないよ」
魔王「でもその大切な寿命を私だけに費やすことが正しいことだとは、私には思えないよ」
勇者「お前を倒せば終わる話じゃないかっ!」
魔王「お前じゃ私を倒せないよ」
勇者「倒せるっ!!!」
魔王「倒せないよ、少なくとも今は」
勇者「っ・・・!」
魔王「何もお前にその実力が無いと言っている訳じゃない」
勇者「っ だったら何だよ・・・」
魔王「お前はまだガキだ。ちゃんと意思が固まっていない」
勇者「何だよ意思が固まってないって・・・俺は魔王を倒したいよ・・・」
魔王「いや、お前はまだ迷っているよ」
勇者「迷ってなんか・・・っ」
魔王「”魔王を倒さなくてはならない”という意思はお前の意思じゃない」
魔王「お前が大人から与えられた意思だ」
魔王「倒さなければ死ぬ、でも魔王は怖い、殺されるかもしれない」
魔王「本当は戦いたくない、生きたい、でも戦わなくては生きていけない」
魔王「そこにはお前の意思など何処にも無い、強制的に造られた意思しかない」
魔王「少なくとも心から”魔王を倒したい”という意思は何処にも無い」
勇者「っ・・・」
魔王「お前は心から誰かを憎んだことはあるか?」
魔王「確かにお前は私が憎いだろう。私がいるから死ぬかもしれないんだからな」
魔王「だが私を前にして怯えるような憎しみは、本当の憎しみじゃないよ」
勇者「・・・・・」
魔王「本当の憎しみは怖いぞ」
魔王「自分の命なんて形振り構わず向かってくるんだ」
魔王「”憎い、お前なんかこの世から消えてしまえ!”」
魔王「憎しみだけをエネルギーとした者の意思は本当に恐ろしい・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「それに比べてどうだお前は」
魔王「まだ剣すら構えていない」
魔王「私を倒したいのなら心にも剣を持たないと」
勇者「・・・・・」
魔王「ありゃりゃ」
勇者「・・・・・」
魔王「そんなに黙りこくっては、私が困るじゃないか」
勇者「・・・だったら、どうしたらいいんだよ・・・」
勇者「あと30年何てあっと言う間だぞ!!?」
勇者「俺は、どうしたら・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・しぬのはいやだ・・・」
魔王「・・・自分の意思を、探したら良い」
勇者「・・・・・」
魔王「私を倒すのは後にしたら良い」
勇者「でも、それじゃ・・・っ!」
魔王「もう一回言おう、お前はガキだ」
魔王「人生を決めるには早すぎる」
勇者「・・・・・」
魔王「もう少し、ゆっくり生きなさい。そして色んなものを見なさい」
魔王「世界は広い。お前のちっぽけな体では一億分の一も入りきれないほど」
魔王「それなのにそれを見ずに、お前は自分の人生を勝手に決めるのか?」
魔王「大体まだ10歳くらいしか生きてないのに残りの人生を決めるなんて図々しい」
魔王「せめて半分くらい生きて学んでから決めろ!」
勇者「いや、それは遅すぎるだろう・・・」
魔王「私なんて常に行き当たりばったりで生きているのに・・・」
勇者「適当過ぎるだろう・・・」
魔王「魔界は常に何が起こるか分からないのだ」
魔王「うむ、色んなこと学んだ上でそれでも私を倒したいのなら堂々と来なさい」
魔王「その時もウジウジしてたら、私が食ってくれようっ」ギラッ
勇者 ぶるりっ
魔王「・・・人間の肉はあまり好きじゃないんだがなぁ・・・」
勇者「・・・食ったことあるんだ・・・」
魔王「人間の肉はスジが多くてなぁ」
勇者「おえぇ・・・」
魔王「まあ、これは私なりの儀式だ」
勇者「儀式?」
魔王「そう、勝利と栄光の杯を掲げるための、儀式」
魔王「と、いうのは表向きで実はただ単に勿体無いからだったりする」
勇者「勿体無いから食われるのか・・・おれ・・・」
魔王「精々食われぬよう鍛えてから戦いに挑むんだな!」はっはっはっ
。o0○
勇者「・・・じゃ」
魔王「・・・」
勇者「行くよ、俺」
魔王「ああ」
魔王「たまには遊びに来いよ」
勇者「・・・・・」
勇者「魔王ってさ」
魔王「ん?」
勇者「あんまり”魔王”って感じしないよな」
魔王「そうか?」
勇者「うん」
魔王「まあ人間はあることないこと誇張して言うからなぁ」
勇者「なんかガッカリだ」
魔王「がっかりって言われてもなぁ・・・;」
勇者「倒し甲斐、ないじゃん」
魔王「そんなことはない。普段は中々に極悪非道人だぞ、私は」
勇者「そうなの?」
魔王「ああ」
魔王「ただ大人は誰でも子供の前ではいい子振ってしまうのだ」
勇者「そういうもん?」
魔王「そういうもの」
勇者「魔王でも?」
魔王「魔王でも」
勇者「ふーん・・・」
魔王「大人は身勝手だよな」
魔王「いつかは知ってしまうことなのに、子供をまだ穢してしまいたくないのか、」
魔王「はた又、自分が穢れを持っていることを知って欲しくないのか、」
魔王「平気で嘘を付いてしまう」
勇者「嘘も方便ってばっちゃんが言ってたよ」
魔王「そうか。これは許される嘘なのかな」
魔王「少なくとも”子供はコウノトリが運んでくる”は良い嘘だよな」
勇者「?」
魔王「何も知らない純粋な目でこの質問をされた時の気まずさを、とても上手く回避できる方法だ・・・」うむうむ
勇者「子供はキャベツから生まれてくるんだぜ?」
魔王「まあ、まだ知らない方がいいことが世の中にはあるってことで」
魔王「もうちょっと体も心も大人になった時に知りなさい」なでなで
勇者「なんかすっごくガキ扱いされてるような気がするけど・・・」
魔王「じゃあな、勇者。 達者でな」ふりふり
勇者「おうっ!見てろ!今度来る時は身も心も強くなってるからな!!!」たたたたた.....
魔王「・・・・・」
魔王「・・・私も、学ばなければな」
魔王「人間を。彼の存在を」
*2年後:とある人間の町にて*
ガヤガヤ
ガヤガヤ
勇者「この町結構広いよなー」
勇者「食べ物もなかなか美味いし・・・」もぐもぐ
町人1「・・・でね、まもの・・・・あったそうよ」
町人2「まあ、・・・わね」」
勇者「・・・ん?」
町人1「それでね、何でも魔物に襲われた家の人は皆殺しにされていたとか」
町人2「きゃー!こっちにも来るのかしら・・・」ブルブル
町人1「怖いわよねぇ、モンスターハンターでも雇ってたほうがいいのかしら・・・」
勇者「・・・・・」
勇者(やっぱり人間の近くに住む魔物は人を襲うことを目的とした奴が多い)
勇者(まあ餌の近くに住むのは当たり前なんだろうけど・・・)
勇者「・・・・・はぁ」
勇者「そういう魔物ばかりじゃないことを知っていると、少し憂鬱だよなぁ」
魔王「何がユーウツなのだ?」
勇者「!!」
魔王「よっ、微妙に久しぶり」
勇者「な、な、なんであんたがココにいんだよっ!;」
魔王「少し散歩に」
勇者「いいのかよ!?;仮にも一国の王がこんなところに・・・」
魔王「まあ・・・・・いんじゃね?」
勇者「よくない!!;」
魔王「まぁまぁ、ちゃんと人間に化けてるし良いだろう」
勇者「はぁ・・・;」
魔王「それに何も私一人で国を治めている訳じゃない」
勇者「そうなの・・・?」
魔王「もちろんだ。人間の国にも右大臣やら左大臣やらがいるだろう」
勇者「まあ確かに・・・」
魔王「私がいなくなったって国はある程度動くのさ」
勇者「そうか・・・・・何時でも国は動かなくちゃ、みんな混乱しちゃうよな」
魔王「そういうことだ。・・・・それにしても、」
勇者「?」
魔王「こんな広い世界で勇者とばったり会うなんて」
魔王「ちょっと運命感じちゃうな。やはり何処かで繋がっているのかもな、私達は」
勇者「俺もこんなとこであんたに会うとは微塵も思ってなかったよ・・・なんだっけ?散歩?」
魔王「いや、一応任務帰りがてらの散歩なんだが・・・」
勇者「? 任務?」
魔王「近くで魔物が人間の家を襲撃したのは知ってるか」
勇者「ああ・・・さっきおばちゃん達の井戸端会議で知ったよ」
魔王「その調査をしにきた訳だが、ちょっと掘り出モノを見つけてなぁ」ニコニコ
勇者「掘り出物?」
魔王「この町に来たのは、その掘り出モノに土産でも買ってやろうと思って来たのだ」
勇者「・・・生きてるものなんだ?」
魔王「ああ」にこり
魔王「ちょっと訳ありでね。その家の住民に飼われてた奴なんだが」
勇者「飼われてた?魔物が?」
魔王「いや半分は人間、つまり人間と魔物のハーフだ」
勇者「ええっ!?人間と魔物の間に子供なんて出来るの!?」
魔王「ふむ、これは私も初めて知ったことだ。種族にもよるが、その気になりゃあ出来るらしい」
勇者「へぇー・・・(″°Д°″)」
魔王「これは大発見だ、と思いその子を保護したのだが」
魔王「人間に育てられて来たから、やはり好みが人間っぽいのだろうと思ってな」
魔王「服とかアクセサリーを調達しに来たまでです」
勇者「女の子なの・・・?」
魔王「いや、実はまだ分からない」
勇者「えー?」
魔王「魔族は見た目で性別が判断出来ない奴も多いのだよ」
勇者「なるほど」
魔王「まあ女として扱われてたようだから、女物を買っても問題は無いだろう」
魔王「ということで勇者」がしっ
勇者「えっ」
魔王「暫し私の買い物に付き合ってくれ」ぐいっ
勇者「え、え?」
魔王「人間の好みなんぞ分からんのだ。変な物買うのは嫌だから付き合え」
勇者「お、俺だって女の子の好みなんて知らねぇよっ!;」
魔王「少しは分かるだろう!」
勇者「いや本当に知らないってばっ!!;」あたあた
魔王「勉強なさいっ!でないと一生童貞だぞ!!!」
勇者「・・・・・ドウテーって、なに?」
魔王「まだ知らない・・・だと・・・」
。o0○
魔王「これなんかどうだ、勇者?」ばさっ
勇者「いや、その豹柄はちょっとアレじゃない・・・?;」
魔王「そうか・・・カッコいいと思ったんだけどなぁ」
魔王「じゃあ、コレは?」ぱさっ
勇者「いやソレ服じゃねぇよっ!;スケスケじゃんっ!!;」
魔王「そうか・・・セクシーだと思ったんだがなぁ・・・」
勇者(魔王の服はいつも誰が用意してるんだろう・・・)
魔王「ふむ・・・色々あるが、どれが良いのか分からないなぁ」
勇者「俺も良く分かんない・・・」
魔王「役立たず」
勇者「うぅ・・・」
服屋の店員「お客さま、どの様な品をお探しですか?」
魔王「ん?」
勇者「あーえぇっと・・・女の子の服を探しているんですが・・・」
服屋の店員「そちらの方のお洋服ですか?それとも、誰かに送るプレゼントですか?」
魔王「プレゼントだ」
服屋の店員「そのお相手はどのような方ですか?」
魔王「うむ・・・見た目は清純清楚でとても美しく髪は上質な絹にも勝り繊細な体は触ったら壊れてしまいそうなまるで深い森の奥でそっと咲く白百合のような奴だ」
勇者「な、なんかすっげぇな;」
服屋の店員「それならこちらの品などどうでしょう?」ふわっ
魔王「! おお!」
勇者「綺麗な服だなっ」
服屋の店員「高潔な貴婦人に合うよう作られた服です。尚且つ、繊細な雰囲気も醸し出すように作られております」
勇者「どう?その子に似合いそう?」
魔王「ああ!その服、買おう!!礼を言うぞ、店員!」
服屋の店員「いえいえ気に入って頂けたようで何よりです」にこり
からんからん
服屋の店員「ご購入ありがとうございました〜」
からんからん
魔王「ふう、何とか良い品を買えたようだ」にこにこ
勇者「帽子も首飾りも買ったしなー」
魔王「店員に聞けば早い話だったんだな。今度からはそうしよう」うむうむ
勇者「これからどうするんだ?」
魔王「うむ、一刻も早く帰ってこれを妖精にプレゼントしよう!」にこにこ
勇者「・・・妖精とのハーフなんだ?」
魔王「美人だぞー?いやはやあそこまで美しい者を私は見たことが無かった!」にこにこ
勇者「・・・・・」
魔王「今度遊びに来るときは是非会ってみてくれ。あの子も人間の方が親しみ易いだろう」
勇者「大切に、してるんだな」
魔王「ああ。この胸のときめきは何なんだろうな?ふふふ、帰るのが楽しみだ」
勇者「・・・・・」
魔王「ん?何だ、黙りこくって」
勇者「・・・いや・・・なんでもない」
魔王「そうか?」
勇者「・・・・・」
魔王「じゃあ、私は行くよ。元気でな」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「!」
魔王「そんな、寂しそうな顔するな」
勇者「なっなっ・・・///」
魔王「何だお前、キスすらしたことなかったのか」
勇者「だっ、だっ・・・あうぅ・・・/////」しゅぽんっ
魔王「可愛い奴だなぁ」なでなで
魔王「では、また会う日まで」ばさっ
勇者「うん・・・」
魔王「勇者」
勇者「ん?」
魔王「次会う時はキスくらい慣れとけよ〜」ひゅんっ
勇者「わっ・・・わかってらぁあっ!!!/////」
〜魔王宅訪問五度目〜
魔王「・・・・・」ぱら...
勇者「・・・ちわー・・・」ひょこっ
魔王「ん・・・?」
魔王「! おおっ!」
勇者「・・・」
魔王「でっかくなってる!!!」
勇者「へへっ」
魔王「おおお数年見ないうちに・・・まぁ」
勇者「でかくなったろ〜?」テレテレ
魔王「そのうち私も越されるんだろうなぁ」
勇者「フフフ」
魔王「まあ中身は永遠に越されないだろうがな」
勇者「くそぅ・・・」
魔王「じゃあ勇者が成長したことを記念して」
勇者「?」
魔王「デートしようじゃないか!」
勇者「えっ」
魔王「どーせまだ童貞なのだろうっ?どれどれ百戦錬磨の魔王様が直々に手ほどきをしてやろうじゃあないかぁ・・・」ニタリ
勇者「えっちょっ・・・まっ・・・!」ずるずる
魔王「おっ?意味分かるのか?六年前は分からなかったのになっ」ニヤニヤ
勇者「うっうるさぁいっ!;///」アセアセ
魔王「ふふふっいざ、人間の町へ!」
勇者「えっうそっ・・・ま、まじかよ・・・///」
ひゅんっ
魔王「とーちゃぁーく!」
勇者「・・・」
魔王「よしっ先ずは手頃な店を探すか・・・」
勇者「あ、あのっ・・・」
魔王「ん?何だ」
勇者「な、なんで・・・・・」
勇者「男に化けてるの・・・?;」
魔王「女を捕まえるために決まってるじゃあないか」
勇者「い、いやっあんたと俺がデートするんじゃないのっ!?」
魔王「何を言ってる。女をナンパしてWデートに決まってるだろ?」
魔王「さぁて、イイ女はいずこかなぁ・・・?」ジュルリッ
勇者「・・・っ! なんでやねんっっ!!!;;」ビシッ!
カランカランッ
魔王「・・・ちぇー」
勇者「・・・」ゴクゴク
魔王「別にいいじゃないかWデート。何が不満なんだか」
勇者「いや、問題はそこじゃなくてな・・・;」
勇者「まあ取り敢えず、あんたが元に戻ってくれてよかったよ・・・」
魔王「4Pでもしようかと思ったのに・・・」
勇者「お、おまえなぁっ///」
魔王「勇者様はまだかなりの初心でいらっしゃる・・・」
勇者「お、俺はあんたと一度出かけてみたかったの!///」
勇者「ほっほら!毎回何かと張り合ってこう・・・親睦を深める機会なんてなかったし・・・///」アセアセ
魔王「これだから童貞は・・・」クドクド
勇者「・・・俺の話聞いてないな・・・?」
魔王「まぁまた今度の機会にするか、4Pは」
勇者「そんなにしたかったのかよ・・・」
魔王「・・・しかし、勇者」
勇者「?」
魔王「このままでは一生童貞だぞ?」
勇者「うるさいっ!;;(涙目)」
勇者「おっ俺は好きな子とそういうことに至りたいのっ」
魔王「そーゆーこと言っている内に適齢期を過ぎちゃうぞ?」
勇者「軽い奴にはなりませんっっ」
魔王「・・・ふむ・・・」
勇者「な、なんだよ・・・」
魔王「人間には変な倫理感があるもんだな」
魔王「大体子供を作れない奴なんて生物学的上負け組みじゃないか」
勇者「うっ」グサッ
魔王「”軽い?”そんなことに囚われていると、その生物は簡単の絶滅してしまう」
勇者「うぅっ」グサッグサッ
魔王「どんなに優れた能力を持っていても、子孫を残さなければ役に立ってないのも同然だ」
勇者「うあぁ」グサッグサッグサッ
魔王「”子孫を残せない遺伝子”など未来は欲して無いよ」
勇者「うぐ」バタリッ
魔王「それにしても上手いなぁこのマッシュポテト」もぐもぐ
魔王「ん?どうした、勇者」
勇者「・・・俺の心もマッシュされてます・・・」シクシク
魔王「そんなに落ち込むな勇者」ぽんぽん
勇者「誰だよ俺を凹ませたのは・・・」スンスン
魔王「まあ生物学的なことなど考えないところが人間の美学だと、最近私は思うよ」
勇者「そ、そう・・・?」
魔王「ああ」
魔王「同性同士の愛や、不妊や無精子、宗教的な関係によるプラトニックラブ」
魔王「生物学的上とても無意味なことなのに、その愛を通しぬく」
魔王「我々には考えられない行為だ。自分の種族を殺していることに近いんだからな」
勇者「まあ、そうだよな」
魔王「面白いよ、人間は。・・・・・私も少し救われたような気がする」
勇者「・・・?」
魔王「んっんっんっ」ごくっごくっごくっ
勇者「・・・・・救われた気がするって、」
魔王「ぷはぁっ!」
勇者「どういうこと?」
魔王「うまいっ!」どんっ
魔王「ん?何か言ったか?」
勇者「・・・・・いや、なんでも・・・」
カランッカランッ
居酒屋の店員「ありがとーございやしたー!」
カランッカランッ
魔王「・・・うあーちょおっと酔ったぞ〜」ふらふら
勇者「あんなに一気飲みするから・・・」
魔王「飲み比べを挑んできた奴がわるぅい!」ぶんぶんっ
勇者「だからって13人抜きはちょっと・・・それ以前にも結構飲んでたのに」
魔王「ああ、でもいい気分だ。ほろ酔いするまで飲んだのは久しぶりだ」
勇者「居酒屋の酒ほとんど飲みつくしてほろ酔いなのかよ・・・」
魔王「これでも私は酒苦手なんだぞ?部下にはもっと飲む奴もいる」
勇者「魔王で苦手レベルか・・・あんた達には全く勝てる気しねぇな」
魔王「おや?もう敗北宣言か?」くすくす
勇者「こればかりは生まれつきだしなぁ〜」
魔王「ゆーしゃー?」だきっ
勇者「っ!//」ドキッ
魔王「ドーテー捨てられなかったら私が筆おろししてやるよ」ニコッ!
勇者「俺のときめきを返せ」
魔王「ときめきかぁ・・・私のふぇありーは何をしているかな」
勇者「あれからずっといるの?」
魔王「うん・・・娘のように可愛がってる・・・」
勇者「・・・魔王」
魔王「うん?」
勇者「魔王には子供、いないの?」
魔王「ああ・・・」
勇者「・・・」
魔王「規則でな、私は子供を生んじゃいけないんだ」
勇者「そうなんだ・・・」
魔王「だから私の子宮に入ってくる不逞な精子は魔力で即抹殺」
勇者「そ、そう・・・」
魔王「だから安心して筆おろしできるぞ?」
勇者「いや、いいです・・・」
カツッ
魔王「さて、酔いも醒めたことだしそろそろ行くか」
勇者「・・・・・」
魔王「お前はまたそんな顔するー」むにっ
勇者「・・・・・」
魔王「あっそういえばお前、魔王城に何しに来たんだ?何か用事、あったのか?」
勇者「なんか今更だな」
魔王「今更だな」
勇者「特に無いよ。・・・・・遊びに来ただけさ」
魔王「そうか」
勇者「・・・」
魔王「お前が今日、18になったから来たかと思ったのに」
勇者「・・・っ、知ってたのかよっ!」
魔王「ふふふっ私に抜かりは無い」きらーん
勇者「うわーうわー恥ずかしいっ!///まさかバレてたなんてっ///」
魔王「あれからちょっとお前のこと調べてみたのだ」ふふんっ
勇者「調べすぎだろっ!!///」
魔王「国民的スターだけあって個人情報が中々だだ漏れだった」
勇者「ああああああああ・・・」
勇者「じゃっじゃぁっ・・・最初から」
魔王「うむ、ちょっとしたささやかな誕生日祝いだ」
勇者「の、割りには俺、結構苦労したような気がするんですけど・・・」
魔王「美女に振り回されるのは楽しいだろっ☆」ニコッ!
勇者「自分で言うなよ・・・」
魔王「ふふふっドッキリ成功★ドッキリ成功☆」くるっくるっ
勇者「あんた・・・まだ酔ってるな?」
魔王「はははっ私に祝って貰えるなんて光栄に思えよっ!」
ちゅっ
勇者「っ!///」
魔王「あらあら前回と同じ反応」くすくす
勇者「く・・・っ///」しゅぽんっ
魔王「まだまだ可愛いなぁ」なでなで
魔王「次会うときは本当の大人になっているかな、勇者」
勇者「少なくともあんたの身長は越してやるもん・・・」
魔王「おとなの階段も上っていて欲しいんだけどなぁ」チラッ
勇者「ぬぬぬ・・・」
魔王「まあ無理はせんでええよ」なでなで
勇者「妥協された。魔王に妥協された」ムムム
魔王「眉間に皺寄せない、しわ寄せない」ツンツン
魔王「じゃ、また会う日まで」
勇者「うん」
魔王「さらばっ!」ヒュンッ
勇者「・・・・・」
勇者「・・・・・・・行っちゃったな・・・・・」
勇者「・・・ううっさむっ」ゴソッ
勇者「!」
勇者「上着に何か入ってる・・・?」ゴソゴソ
ちゃら...
勇者「・・・・・首飾り・・・?」
勇者「何でこんなもん・・・・・・・・・」
”『ゆーしゃー?』だきっ 『っ!//』”
勇者「・・・あぁ・・・あの時か・・・・・」
勇者「・・・ってゆーかコレ、あいつが選んだんだろっ!」
勇者「唇に髑髏・・・っ? 趣味悪っ!!!」
勇者「この前店員に聞けばいいじゃんって言ってたのに・・・」
勇者「はははっ六年も前だから忘れたのか」
勇者「魔王も結構忘れっぽいんだなっはははははっ・・・・・」
勇者「・・・・・・・・・」
勇者「・・・・・っ、」
勇者「はぁっ・・・・・どうしよ・・・すごく、嬉しい」
勇者「悪魔だあいつっ わかっててやってるだろぉっ」
勇者「ただ会いたかっただけなのに・・・・・」
勇者「このまま惚れてしまったら・・・俺は・・・・・・・」
〜とある王国の宮殿〜
国王「・・・勇者よ」
勇者「はっ・・・何でしょう、国王陛下」
国王「お前は何時になったら魔王を倒すのだ」
勇者「・・・」
国王「魔王のいない平和な世界は国民の長年の悲願である」
勇者「はっ・・・」
国王「そして我の・・・父の悲願でもある」
国王「もう少し精進するよう」
勇者「・・・、はっ」
○とある王国の深い森の中○
ブンッ! ブンッ!
勇者「・・・・・」
ブォン! ブォン!!
勇者「・・・・・っ・・・」
・・・ザクッッッ!!!
勇者「・・・・っ、はぁっ・・・」
勇者「はーっ」
勇者「・・・・・」
勇者「・・・っ! あ゛〜っ!!!」がしがしっ
勇者「イライラっ!するっ!!」バッ
勇者「何が父の悲願じゃあ!!!」どんどんっ
勇者「てめぇーなんか血が繋がってても父親とは思わねぇよ!!!」ザクッ!ザクッ!
勇者「さっさとくたばればいいのに〜っ!!!」べしっべしっ
勇者「人殺し〜っ!!!何人勇者死なせば気が済むんだ〜〜〜!!!」ヒュンッ
ザクッ!
バササバサバサバサッ・・・・・・
・・・どさっ!
勇者「・・・・・・ああ、本当」
勇者「魔王よりも、国王が憎いかもしれない・・・なぁ」
勇者「・・・」
勇者「・・・・・いやいや」
勇者「会いたいなぁとか、思っちゃいかんだろ」
勇者「仮にも敵何だし、こうもしょっちゅう遊びに行っちゃぁなぁ」
勇者「な?オレ。今日も大人しく空しく寂しく独りで修行していような?」
勇者「な・・・?」
勇者「・・・・・・」
〜魔王城遊園六回目〜
ひょこっ
勇者「・・・・・」
勇者「・・・きちゃった・・・・・・」
勇者「なんて根性の無い俺」
勇者「情けないぞっ勇者っ、そんなんじゃ一生魔王を倒せないぞっ」
勇者「一生・・・たおせ・・・・・」
勇者「・・・・・・・・・」
勇者「・・・あーっ!止めた止めたっ!」
勇者「暗い思考は止めようっ」
勇者「俺、昔っからなーんか根暗なんだよなぁ」
勇者「思い悩んじゃう性格って言うか?」
勇者「なんでだろーなー?勇者なのになぁ〜・・・いや、勇者だからなのか?」
かつっ・・・・・こつっ・・・
勇者「・・・ん?」
勇者「誰だろ・・・危なっかしいなぁ」
よろよろ〜〜〜・・・・・
妖精「・・・っ」
とんとんっ
妖精「っ!?」ばさばさっ
勇者「あ」
妖精「すっすみませんっっっ」あたあた
勇者「いやこの場合俺が悪いんだと思うんだけど・・・」ひょいっ
妖精「あっ・・・」
勇者「俺が持つよ。どこに運ぶの?」ひょいっひょいっ
妖精「だっだめですっ!私がっ私が持ちますからっ」
勇者「大丈夫、大丈夫、このくらい・・・・・・・・」
勇者「・・・・・」ばさばさっ
妖精「っ!だ、大丈夫ですか!?やっぱり重かったんじゃっ・・・」あたあた
勇者「・・・・・あっ い、いやっななななんでもっ・・・・・・」
勇者(・・・こっ・・・この子っ・・・・・・)
勇者(め、めっちゃっびじーーー(°Д°*)ーーーんっっっ!!!!!!)
妖精「ん・・・よぃしょっとっ」ひょぃ
勇者「! あ、ああああああのっ持ちます持ちますからっ!」ぐいっ
妖精「あっ・・・だ、だめですっ!自分で持たないと、メイド様がっ・・・」
メイド「また男を誑かしてるのね、妖精」
妖精「っ!」びくぅっ
メイド「あなたは何回男を弄んだら気が済むのかしら?」
メイド「容姿がちょっとイイからって調子乗ってんじゃないわよっ!」ギラッ
妖精「・・・っ!」びくぅっ
勇者「おいおい可哀そうだろ、そんなに睨んだら・・・」
メイド「うっさいわねぇ!あなたは黙ってらっしゃいっ!”火炎術!”」
ゴオオオッ!
勇者「わっ危ねっ!」パシンッ
メイド「なっ・・・私の術をいとも簡単にっ・・・」
勇者「・・・・・」
メイド「・・・っ!仕方ない・・・今は引いてあげるわっ!」
メイド「次はたたじゃおかないから覚悟してなさいっ!!」
カッカッカッカッ・・・・・
妖精「・・・メイドさま・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「・・・、お、お強いのですねっ!」
妖精「驚きましたっメイド様もお強いのにあの術を片腕一つで払ってしまわれるなんてっ!」キラキラ
勇者「び・・・」
妖精「?」
勇者「びっくりしたっ・・・・俺一応強くなってるんだなぁ・・・」ドキドキ
妖精「・・・?」
。o0○
どさっ
妖精「ふぅっ・・・」
勇者「大丈夫か?半分じゃなくて全部持たせてくれてもよかったのに・・・」とさっ
妖精「だいじょうぶです・・・たまにはお役に立たないと・・・・・」はぁはぁ
勇者「あんたに力仕事は不向きだと思うんだけどなぁ・・・」
勇者「メイドにでも命令されたの?」
妖精「はぃ・・・」
勇者「・・・なんかあんたメイドに敵視されてたみたいだけど・・・」
妖精「仕方ないんです・・・いつも私が魔王様を独り占めにするから・・・」
勇者「嫉妬かぁ・・・女の嫉妬は怖いなぁ」
妖精「あ・・・ありがとうございました・・・」よろ...
勇者「だっ大丈夫っ?;」
妖精「だ、だいじょうぶです・・・心配はいりません・・・」よろ...
勇者(他にもこき使われていたんだろうなぁ・・・)
妖精「お、お茶でも入れます・・・っ・・・」ふらぁ
勇者「っと!」
ぽすっ
妖精「す・・・すみません・・・」よろよろ
勇者「や、やわらかっ・・・」
妖精「・・・?」
勇者「・・・この城で初めて女の子を見たかも・・・」
こぽこぽこぽこぽ・・・
妖精「どうぞ・・・」すっ・・・
勇者「あ・・・えっと、いただくよ・・・」じーっ
妖精「・・・?あっお茶菓子ならここに・・・」すっ
勇者「い、いや、そういうわけじゃないんだけども・・・」
こくこく・・・
妖精「はぁ・・・やっぱり紅茶を飲むと元気がでますねっ」ぱぁっ
勇者「か、かわいぃ・・・」
妖精「え・・・」
勇者「毒入りとか言わないし・・・なんて可愛いんだ・・・」
妖精「ど・・・毒入り・・・?;」
勇者「もしかして噂の妖精さんなのかな?」
妖精「あ、はい・・・妖精です・・・」
勇者「そーかーこれは可愛がるのも無理ないな」うんうん
妖精「ええと・・・あなたは・・・?」
勇者「勇者だよ」
妖精「!勇者様!!」
勇者「新鮮な反応だなぁ」しみじみ
妖精「ああでは貴方が、あの!」
勇者「うんうん」
妖精「キスしただけで赤くなり何とも弄り甲斐があるという」
勇者「おい待て」
勇者「それはアイツが吹き込んだのか・・・?」
妖精「いつも楽しげに貴方のことを魔王様が話してくれます」ニコニコ
勇者「こんなカワイイ子にそんなこと言うなよ・・・」ガクッ
妖精「話に聞く限り、もう少し可愛らしい方なのかと思ってました」にこにこ
勇者「別に可愛くないよ・・・・・」
妖精「えぇ。・・・格好よくて逞しい方なのですね」にこ
勇者「っ」どき
妖精「魔王様が気に入っている方だから、きっと素敵な人なのでしょうと思っていました」
勇者「・・・・・」
勇者「・・・・・あ、えっと、そっそういえば魔王はどこにいるの?さっきから見かけないけど・・・」
妖精「魔王様なら今遠征に出かけてますよ?」
勇者「あ・・・そうなの・・・・・」
妖精「明日辺りにご帰還なさりますから、今夜は泊まっては如何でしょう」にこにこ
勇者「えっ」
妖精「私ももう少し貴方とお話したいですし・・・」ぽ
勇者「え・・・え?」
○魔王城:魔王の寝室○
勇者「・・・・・」
妖精「さ、勇者様。こちらにお座り下さいっ」ぱふっぱふっ
勇者「・・・何この部屋・・・」
妖精「魔王様のお部屋ですよ?」
勇者「あ、あの・・・オブジェのごとく並べられている骨は・・・?;」
妖精「魔王様が今まで倒してきた方の骨だそうです」
妖精「その中でもおいしかったものだけ飾っているとか」
勇者「お、おいし・・・」
妖精「すごいですよねぇ〜どうやったらあんなに食べられるんでしょう」
勇者「あ、あれはっ・・・?;」
妖精「あれは健康グッズだそうです」
勇者「健康グッズ?」
妖精「ヘビやトカゲの干物は食べると健康に良いらしいですよ?」
勇者「あれトカゲなのか・・・でけえ・・・・・」
ぽすっ
勇者「でかいなこのベット・・・まさにキングサイズ」
妖精「魔王様は色んな方を招きますからね〜このくらい大きくないと駄目なのでしょう」
勇者「・・・。そっか・・・・・」
妖精「・・・・・」
妖精「・・・勇者様は魔王様のことが、好きなのですか?」
勇者「!? なっ!?そそそんなことっっっ・・・」
妖精「ふふふっ、そんなに焦らなくても」
勇者「あ・・・う・・・・・」かぁっ
妖精「・・・魔王様が好きな方は皆そんな顔をなさる・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「罪なお方ですねぇ、魔王様は」
勇者「いや・・・別に好きだと言ったわけじゃぁ」
妖精「鷹のようなお方だから、誰にも捕らわれることはない・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「だから、皆が憧れる」
妖精「いいですねぇ私も恋、したいな」
勇者「・・・したことないの?」
妖精「してはいけない身分ですので・・・」
勇者「そんなことないだろう」
妖精「いえ、半分魔族で半分人間の私など」
妖精「誰かを好きになるなんて・・・おこがましいです」
勇者「そんなことないよ。恋なんて、誰もがしてしまうものさ」
妖精「そうですか?」
勇者「うん・・・そもそも何時の間にかしてしまうから、無理やり止められるものではないと思うよ」
妖精「・・・・・」
勇者「それを恋だと認めるかどうかは本人次第だと思うけど・・・」
妖精「恋をするだけなら・・・許されることなんでしょうか・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「想うだけなら・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「まあ・・・恋自体したこと無いからなんとも言えないんですけどね」にこ
勇者「・・・・・」
妖精「勇者様、勇者様」
妖精「私は貴方が魔王様を幸せにしてくれると信じています」
勇者「へ」
妖精「貴方の話をする時の魔王様はとてもとても楽しそうです」
勇者「いや、それ面白いオモチャの話でもしている気分何だと思うんですけど・・・」
妖精「あの方は寂しがり屋です」
妖精「でも、その地位があの方を孤独にさせる」
妖精「それは貴方も同じなんじゃないですか?」
勇者「・・・・・」
妖精「魔王様は本当の”愛”を知りません」
妖精「王を継承する時に全てを忘れてしまうから」
妖精「家族も愛した人も愛してくれた人も全て忘れるのです」
妖精「だからこその”魔王”。心を忘れ、ただ正当な断罪を下すために存在する」
妖精「でも・・・時々その背中が寂しく見えるのです」
妖精「かつて普通に愛情を持っていた心が愛を探しているように・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「勇者様」ひしっ
勇者「!」
妖精「私は貴方しかいないと思っていますっ」
勇者「なっなにが・・・?;」
妖精「魔王様を法の鳥かごから引き摺り出すんですっ!」
妖精「大体前代に出来た法何ですよ!?そんな歴史の浅い法を守ってどうなると言うのです!?」
勇者「そ、そうなの・・・?;」
妖精「こんな法なんて一緒に打ち破ってみせましょうっ!ねっ!!応援しますから!」
勇者「あんた・・・結構熱いんだなぁ・・・・・」
妖精「えへへ・・・実は久しぶりに人間に会うのでちょっと興奮しているのです」
勇者「魔王と遊びに行ったりしないの?人間界に」
妖精「ええ・・・あそこは危険だ、お前が行っては狼が黙っていないとかで・・・」
勇者「ああ、うん・・・そっか・・・」
妖精「だから今夜は、人間界の旅の話でも聞かせてくださいな」
妖精「色々と各国を旅していらっしゃるのでしょう?」
勇者「いいよ、俺の話でよければ」
妖精「ありがとうございますっ」キラキラ
ぴと
勇者「・・・」
妖精「・・・」キラキラ
勇者「・・・あのー・・・」
妖精「はいっ」むにっ
勇者「な、何で・・・引っ付いてるの・・・?;」
妖精「人の話を聞くときは出来るだけその人に近づくよう習いました!」キラキラ
勇者「あのぉ・・・その・・・・・」
勇者「ごめん・・・色々と耐えられないから離れてくれる・・・?」
妖精「Σ(・ω・;)」
妖精「す、すみません・・・やっぱり人と魔物のハーフ何て触られても気持ち悪いですよね・・・」ズーン・・・
勇者「い、いや、そういうわけじゃないよっ!;ただ・・・」じー・・・
妖精「・・・?」ぷるんっ
勇者「っ・・・男の事情というものがあるんです・・・察して下さい・・・」
妖精「・・・?・・・??」
ガルル・・・・・・
勇者「! なんだ・・・? 狼・・・?」
妖精「あっパピー!」
勇者「ぱ、ぱぴー?;」
妖精「私のお友達ですっ!どうしたの?お前も話を聞きにきたのかい?」
パピー「ゥワンッ!!」
妖精「じゃあ一緒に聞こうねー」
パピー「ゥワンッ!!!」ぱたぱた
勇者「パピー(子犬)・・・・・」
。o0○
妖精「・・・」すー・・・
勇者「・・・寝ちゃった・・・」
妖精「ん・・・にゅ・・・・・」むぎゅ〜
勇者「・・・人に言われたからといより、引っ付くのがこの子の癖なんじゃないかなぁ・・・」
パピー「ガルル・・・」
勇者「・・・お前、もしかして俺を見張りに来たの?」
パピー「グゥウウ・・・」
勇者「この子どこか無防備だもんなぁ・・・」
パピー「グワゥ・・・」
勇者「・・・でも大丈夫だよ」
勇者「俺さ・・・好きな人がいるんだ」
パピー「・・・・・」
勇者「いや、人じゃないよなぁアイツ」
勇者「何て言えばいいんだろう・・・好きな魔物?」
勇者「どっちでも良いや・・・まぁだからこの子には手を出さないよ」
パピー「ガルル・・・」
勇者「・・・何でだろうなぁ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「何で好きになっちゃったんだろうなぁ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「愛情を忘れてるんだってさ・・・あの手は愛を持っていなかったのか」
勇者「そんな手に、惚れてしまったのか」
勇者「優しく撫でてくれるんだ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「お前も分かるだろう?一応、犬だもんなぁ」わしわし
パピー「グワゥッ!」ブンッ
勇者「俺じゃ駄目か」
勇者「ふああ・・・・・」
ぼふっ
勇者「寝よ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「明日は、魔王が帰って来るんだ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「へへへ・・・何年振りかなぁ、2?3?」
勇者「元気にしてるかなぁ・・・いや、元気じゃなかったら出掛けたりしないか」
パピー「・・・・・」Zzz...
勇者「・・・お前、寝るの早いな・・・・・」
勇者「俺もさっさと寝て、明日のために体力ためとこー・・・」
ちゅんっちゅんっ
ちゅんっちゅんっ
勇者「・・・」ぐー・・・
魔王「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
勇者「・・・ん・・・ぁお〜・・・・・」ぎゅぅ
魔王「・・・おい」
勇者「ぅん・・・? あ・・・」
勇者「お、おはようっ!か、帰って来てたんだっ!?」ぱあぁっ
魔王「・・・・・」ギラーーーーーー
勇者「ま、魔王・・・?;」
魔王「きさまぁ・・・」ゆらぁり
魔王「私のフェアリーに手を出すとは良い度胸してるじゃねぇかぁ・・・」ベキボキッ
勇者「えっ・・・えぇっ!?ごごご誤解だよっ!!!;ただ一緒に寝ただけっ・・・」
魔王「寝ただとっ!?」カッ!
勇者「あああああっ違うっ!これは言葉のあやというものでっ・・・」
勇者「お、起きて!妖精ちゃん!!;起きて弁解してっ!!!;」ゆっさゆっさ
妖精「んむにゃ・・・・もぅたべられましぇん・・・・・」むにゅむにゅ・・・
勇者「あああああそんな古典的な寝言言ってないでさぁあああ」
魔王「言い訳無用っ!!!死にさらせぇえええええええええええ!!!!!」ズガアアアアンッ!!!
勇者「うわあああぁああぁあああああぁああああああ」
〜数時間後〜
もぞもぞ。。。
妖精「んっ・・・ふあぁ〜・・・」
妖精「あれ・・・・・ゆうしゃしゃまがいましぇん・・・」キョロキョロ
魔王「・・・」カチャリッ...
妖精「あっ・・・まおうさまっ!」
魔王「おはよう、妖精」にこり
妖精「おはようございます!お帰りなさいませ!!」たたたっ
妖精「お食事中ですか?」
魔王「ああ」モグモグ
妖精「勇者様がいらっしゃってましたよ?でもどこ行ったんでしょう・・・」キョロキョロ
魔王「・・・・・」モグモグ
妖精「寝る前は一緒にいたのですが・・・」
魔王「・・・」モグモグ
妖精「別の部屋で寝たんでしょうか・・・・・」
魔王「・・・クッ」
妖精「?」
魔王「クックックックックッ・・・・・」
妖精「ま、魔王様・・・?」
魔王「ああ本当に、美味いなぁ・・・この肉・・・」じゅるりっ・・・
妖精「! ま・・・まさかっ・・・・・」
勇者「そんなわけ、ないだろ・・・・・」ボロ・・・
妖精「あ!勇者様っ!!」
魔王「ちっ生きてたか・・・本当にしぶとい奴だ」フンッ
勇者「なんの・・・これしき・・・」よろよろ
妖精「だ、大丈夫ですかっ?直ぐに手当てをっ・・・」たたたっ・・・
魔王「別にしなくて良いだろう、これしきの火傷など舐めときゃ治る」
勇者「こ、これしき・・・? 全身火傷が、これしきっ?;」よろ...
妖精「では、私が・・・」ぺろっ
勇者「!?」
魔王「!!??」
妖精「・・・」ぴちゃ・・・
勇者「あ、あ、あ、あのっ・・・/////」
魔王「っ・・・!」
魔王「そ、それならっそこに適した奴がいるだろうっ!!!」びしっっっ
パピー「アゥ?」
勇者「・・・」ぐっちょり・・・
パピー「はっはっはっはっ・・・」ぱたぱた
魔王「全くもぅっ・・・そんな気軽に男に近付いちゃあ駄目だろう?」ぎゅううう
妖精「あっ・・・魔王さまっ」あせあせっ
勇者「・・・なんかベトベトする・・・」べちゃぁっ
パピー「ワウッ!」ぱたぱた
魔王「唯でさえ人を惹きつけてやまないのにいけない子だ・・・」すっ・・・
妖精「!やんっ・・・」
勇者「なんかさっきよりヒリヒリするし・・・・・」
パピー「ワウッ!ワウッ!」ぱたぱた
魔王「そんなイケナイ子は、こうしてくれるっこうしてくれるっ」うりうりうりうりうりうり
妖精「やーんっ魔王様っ!人様の前ではご自重を・・・っ」ぷるぷる
勇者「・・・。人前じゃなきゃ、いいのか」
パピー「アウ?」
勇者「お前の愛に性の隔ては無いのか、魔王・・・」
魔王「ない」
勇者「そこだけ聞くのかよ」
魔王「男はムッキリ、女はムッチリ」
魔王「性別によって変わる体はとても美しい・・・」うんうん
勇者「そ、そう・・・」
魔王「それを堪能しないなど、もったいない」
勇者「そう・・・」
魔王「お前はもっと鍛えなさい?まだまだ修行が足りぬぞっ」
勇者「あんたが強すぎるだけです・・・」
○魔王城:中庭○
魔王「ということで、私が直々に相手してやろう」ジャキッ
勇者「俺今めっちゃっ!命の危険感じてるっ」カタカタ
魔王「何だ、さっきの傷は治してやっただろう」
勇者「そーゆー問題じゃないぃいっ」カタカタカタ
魔王「我がままなヤツだな・・・私が相手してくれることを光栄に思え」ビシッ
勇者「別の意味で相手して欲しかった・・・」くぅっ
ガキィイイインッ!!!
勇者「ぐはっ・・・」ドサッ
魔王「なんだぁなんだぁ〜?勇者殿はこのくらいの攻撃も回避できないのか?」にやにや
勇者「あんた・・・・・・まだあのことを根に持っているな・・・?」
魔王「ふっふっふっ・・・・・当たり前だ」
魔王「私の妖精に手を出すなど言語道断」
魔王「稽古だと託けて切り刻んでくれるっ!!!」ジャキッ ジャキッ
勇者「だからぁ〜あれは誤解だと何度言ったら・・・」
魔王「うっさいっ!舐められたくせにっっっ」ギラッ
勇者「しょ、しょうがないだろうっ!?大体あんたが舐めれば治るなんて言わなければっ・・・」
魔王「言い訳は無用だと言っている!!!どうせ昨夜は熱い夜をっ・・・くっ・・・」じわ
勇者「っ!? そそそそんなわけ無いだろう!?」
魔王「私の妖精を一夜かけて絆したのだろう!?だからあんなに懐いているんだろうっ!?」
魔王「私には懐いてくれるまで結構時間かかったのにっ・・・わーんっ!」ジャキンッ ジャキンッ
勇者「ちちっち・・・ちがっ・・・・・」
魔王「勇者の馬鹿ああああぁああ〜〜〜っ!!!ミンチにでもなっちまええええ〜〜〜っ!!!」ドゴオオオオッバキィイイイイッ
勇者「うわあああああああああああああああ・・・・・・」
妖精「勇者様・・・お労しい」ホロリ
側近1「全ての元凶はあなたなのですが・・・」
。o0○
カアッ カアッ
アホー・・・アホー・・・
・・・バタッ!
勇者「・・・」
魔王「・・・息の根さえしなくなって来たな」ピシッピシッ
勇者「・・・も・・・だめ・・・・・・」チーン
側近1「・・・相当悔しかったようですねぇ・・・あなたを絆されたことが」
妖精「ああ勇者さまっ・・・あんなにこてんぱんに・・・」
側近1「中に戻りましょう・・・これ以上見るのは、彼にとって酷です」ホロリ
魔王「おーいっ」ペシッペシッ
勇者「・・・」
魔王「ここで寝るのかー?夜は色んな魔物が出るから危険だぞ〜?」
勇者「・・・」
魔王「・・・、しょうがないなぁ」
ひょいっ
勇者「っ!わぁっ!?」
魔王「ベッドまで運んでやるから感謝なさい」とことこ
勇者「まっ・・・まてっ!お、おろせぇっ・・・」
魔王「ハイハイ、暴れない暴れなーい」ぎゅうぅ
勇者「っ・・・!」ズキッ
魔王「この様子じゃ人間界に帰れそうにないな」
勇者「おっおれのっ・・・プライドがっ・・・」
魔王「さぁさぁ今夜もお泊まりしましょーねぇー?ゆーしゃちゃ〜ん」ニヤニヤ
勇者「わあぁあんっ・・・・・・」
勇者「・・・」Zzz...
魔王「やれやれ・・・少し叩いたら眠ってしまったな」
側近1「それは”気絶させた”と言うのでは?」
魔王「細かいことは、気にしない」
側近1「そうですか・・・」
魔王「よいせっ」
どさっ
魔王「ふぅ・・・結構重かったな」
魔王「でもこんなに大きくなったのにまだまだ寝顔は幼いなぁ」くすくす
側近1「人間は本当に成長が早いですね」
魔王「ついこの間まであんなにチビだったのにねぇ・・・」つんつん
勇者「うぅ・・・」ごろ...
魔王「ふふふ・・・」
側近「・・・・・」
魔王「可愛いなぁ、どうしてこんなに可愛いんだろう」
魔王「母性本能っていうやつかな?本能とは凄いなぁ、知らないはずの感情なのに」
側近1「・・・・・」
魔王「・・・でもいつか、直接的にせよ間接的にせよ、」
魔王「私はこの子を殺してしまうんだなぁ・・・」
側近1「・・・・・」
魔王「・・・これはきっと残酷なことなのだろう」
魔王「でも、私はあまり残酷だと感じない・・・」
側近1「・・・・・」
魔王「麻痺してしまったんだなぁ・・・時々寂しくなるよ」
魔王「きっとこのまま機械のような存在になってしまうんだ」
魔王「でもそこまで行ったら寂しさも感じなくなる・・・」
側近1「・・・魔王様は」
魔王「ん?」
側近1「このまま何も感じなくなっても、良いと?」
魔王「ああ」
側近1「・・・」
魔王「先代と、親友との約束だ」
魔王「守って見せるさ、この体朽ちるまで」
側近1「・・・」
魔王「それがきっと、・・・正しいことなのだから・・・」
ちゅ
勇者「・・・む・・・」ごろん
魔王「おやすみ、勇者」
魔王「いつか来るその時まで・・・良い夢を」
ー殺せ
ーー殺さねば死ぬ
ーーー倒すのだ奴を
ーーーー憎い・・・奴らは私の妻を・・・・・
勇者「ん・・・」
ーーーー殺さなければ呪いが・・・
ーーー可哀相に・・・
ーー次はどこの国の人が・・・
ー・・・
勇者「・・・」
勇者「また、か・・・」
勇者「最近多いな・・・追い詰められてる?」
勇者「はぁ・・・夢の中くらい好きな人を抱きしめたいものだ」
こんこん
宿屋の娘「ちょーしょくできましたよ〜?」
勇者「ああ、ちょっと着替えるから少し待ってくれっ」
宿屋の娘「・・・入りますよ〜?」キィ...
勇者「だああ少し待つっ!あれ?いったい上着どこ行ったんだ・・・」ごそごそ
宿屋の娘「別にだらしなーいお客さまなんてたくさん見てきてるからいいのに・・・」とん
勇者「ははは・・・(紋章見られたら正体バレてしまうからなぁ)」
宿屋の娘「旅人さまはここ辺りで見かけない顔ですがどちらのご出身で?」
勇者「えーっと・・・ここから東へ向かったところにある国だよ」
宿屋の娘「まぁっじゃあ勇者が生まれた国ではありませんか?」
勇者「ああうん、そうだね・・・」
宿屋の娘「わぁー!じゃあお姿を見かけたことも?」
勇者「う・・・うん・・・まあ・・・」
宿屋の娘「きっと神々しくって崇高なお方なんでしょうねっ!いいなぁ私も一度だけでいいからお姿を拝見したいなぁ〜」うっとり
勇者「・・・」
勇者(・・・・・耳が痛い・・・)
〜と或る国の町〜
からん からん
洋菓子店の店員「いらっしゃいませ〜」にこにこ
勇者「うーん・・・どれがいいかなお土産は・・・そもそも甘いものが好きなのかも分からんし・・・」じー
勇者「店員さん、何かオススメの商品とかある?」
洋菓子店の店員「当店のオススメスイーツはこちらのシュークリームとこちらのミルフィーユになります」
勇者「ふーむ・・・」
洋菓子店の店員「どちらも甘さ控えめで、男性にも女性にも受けますよ?」
勇者「・・・んじゃ、シュークリーム五個、ミルフィーユ五個お願いします」
洋菓子店の店員「畏まりました」にこ
〜魔王城遊園七回目〜
魔王「ふむ・・・」パラ・・・
勇者「お、今日は居る」ひょこっ
魔王「ああ・・・勇者じゃないか」
勇者「・・・(・ω・)」
勇者「元気・・・にしてるか?」
魔王「いたって健康だ」
勇者「そう」
魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・」パラ・・・
勇者「・・・何読んでるの?」
魔王「ああ・・・実はな、」
魔王「妖精が旅に出ててな」
勇者「旅?妖精ちゃんが?」
魔王「うん・・・」
魔王「本人が人間界を旅したいと至極希望するんでな」
魔王「まあ長い間閉じ込めてきちゃったし、可愛い子には旅をさせよと言うことで送り出したんだが・・・」
勇者「心配で気が気でない、と」
魔王「まあそういうことだ」
魔王「これは護衛としてついて行かせた魔物の報告書だ」パラ・・・
勇者「へー」
魔王「私のフェアリーは何処に行っても美しいびゅーてぃふぉーとモテはやされるらしい」
勇者「まーあれだけ美人ならなぁ」
魔王「我々の美意識と人間の美意識は大して変わらんのだな」
勇者「もしかしたら恋人でも作ってくるかもね〜」ニコニコ
魔王「・・・○月△日、□□王国の王子にプロポーズされる・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「『仲間の一人の説得により、承諾することはなかったが本人は満更でもなさ気』」
魔王「『きっと”王子に告白される”というシチュエーションが乙女心を揺さぶったのだろう』・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・よし、」
勇者「?」
魔王「ちょっくら□□王国を滅ぼしてくる」ガタッ
勇者「止めてください」ひしっ
魔王「冗談だ。本気にしないでくれ」
勇者「いや、目がマジでしたよあんた・・・」
魔王「私情で動く様な魔王様ではない」
勇者「ならいいんだけど・・・」
魔王「そもそも私は生態系を管理するために存在するんだ」
勇者「? 生態系を、管理?」
魔王「そう」
魔王「元々、魔族は増えすぎた種族を削り取るために生まれた、と言われている」
勇者「へぇ・・・」
魔王「最初は各々バラバラに暮らしていたんだが、ある日その魔族の中から王が作られた」
魔王「ただ初代魔王が人を食うタイプの魔物だったんでな。当時は余分なくらい人間が魔物に食われてしまったらしい」
勇者「・・・」
魔王「だから人間は魔物を憎んだ」
魔王「そしてその憎しみが力になり、人類を守るために・・・己の種族から”勇者”という存在を生み出した」
勇者「・・・・・」
魔王「初代が死んだ後、次に王を受け継いだ者は今までやってきたことが過ちだと知る」
魔王「だから人を無闇に殺すことを謹んで、頂点に立つ者らしく」
魔王「全ての魔物を管理し、多く増えすぎた種族は己の部下達によって刈ることにした」
勇者「・・・・・」
魔王「あくまで言い伝えだがな」
魔王「なかなか信憑性があるだろう?」
魔王「本当は、我々が生まれた理由などわからない」
魔王「だが巨大な力はその力を奮いすぎると全てを壊してしまう・・・」
魔王「だから、壊さないように、全てを奪ってしまわないように」
魔王「バランスを取りつつ世界を生きている」
魔王「だからさ、情なんていらないんだ・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「私情を持ったら正確な判断などできなくなる」
魔王「親しいものでも、ルールの枠から出たものは容赦なく刎ねる」
魔王「だから、情なんていらない・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・すまん。ちょっとセンチメンタルな気分になってた」
勇者「いや、・・・ちょっと嬉しいよ」
魔王「?」
勇者「まあ、何で嬉しいかは、言わないけど」にこ
魔王「??」
魔王「あ〜・・・駄目だな、やっぱ癒してくれる存在がいないと」
魔王「早く帰ってこないかなぁ、妖精・・・私のフェアリー・・・」シクシク
勇者「まぁまぁ」
勇者「お土産持ってきたから、これでも食べて元気出せよ」がさ
魔王「お土産?」
がさごそ
魔王「?なんだこれは」
勇者「人間界のお菓子だよ」
魔王「不思議な形をしているな・・・」じー
勇者「中にクリームが入ってて美味しいよ」
魔王「ほう・・・あいつらにもやるか」
魔王「おーいっチビどもっ菓子があるぞー」ぱんっぱんっ
「「「お菓子お菓子!!!」」
「「「お菓子だって!!!」」」
「「「わーいっ!!!!!」」」たたたたた...
勇者「っ!? ちっちゃっ!めっちゃちっちゃ!!!」
魔王「ほれ、仲良く食うんだぞー」
ちまっちゃい魔物達「「「はーいっ!!」」」
勇者「元気だなぁ」
魔王「では私も早速・・・」はむっ
むにゅっ
魔王「!?」
勇者「あー・・・後ろからクリーム出てるぞ」
魔王「わっわかってるっ!」はむっ むにゅっ
魔王「むぐっ!?よほからもへへひは!」
勇者「あーぁー・・・」
魔王「ぬぬぬ…美味いが悪魔の食べ物だな、コレは」べっちょり
勇者「そんな大袈裟な・・・」
ちまっちゃい魔物「魔王さま食べるのへったクソー」
ちまっちゃい魔物達「「「へったくそーっ」」」
魔王「なっ・・・なんだとーっ!」めらっ
ちまっちゃい魔物達「「「キャー!魔王さまが怒った〜っ!!」」」
ちまっちゃい魔物達「「「かーちゃんのとこに帰ろーっとっ!!!」」」
きゃっきゃっ きゃっきゃっ
たたたた...
魔王「ムムム・・・子供にも出し抜かれるとは」
勇者「あんた意外と不器用なんだなぁ」
魔王「うっ・・・うるさぁいっ!;」
魔王「ったく・・・散々だ」ぺろ
勇者「・・・」
魔王「次回からはもぅちょっと食べ易いものにしてくれよ、勇者」ぴちゃぴちゃ
勇者「・・・」
魔王「それとも態とか?普段からかわれてるからってー・・・」ぷんぷん
勇者「・・・魔王」
魔王「ん?」
勇者「こっちにも付いてる」ちゅ
魔王「!」
魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・おまえ、」
勇者「・・・」
魔王「勇者、か?」
勇者「疑うのかよ・・・」
魔王「だってぇ!チューしただけで真っ赤なるcherryboyだったのに!!自分からするなんて!!!」
勇者「人が少し勇気出したらこれかよ!;」
魔王「あの可愛い勇者はいずこ!?見た目も可愛くなくなっちゃったのに中身まで可愛くなくなったら終わりじゃないか!!」
勇者「キスくらい慣れとけってあんたが言ったんだろっ」
魔王「そんなの忘れた」
勇者「ご都合主義もいい加減にしろ!;」
魔王「・・・仕方ない・・・ちこうよれ」
勇者「?」
んちゅぅ
勇者「っ!?」
魔王「・・・」くちゅ…
勇者「・・・、っ・・・」
魔王「・・・・・ん・・・」
ぴちゃ・・・
魔王「・・・」つぅ...
勇者「・・・っは///」
魔王「ふふ・・・」
勇者「・・・っ///」
魔王「やっぱりまだまだ若造だな」くす
勇者「くそ・・・///」
ぎゅう
勇者「!」
魔王「・・・」ぎゅ・・・
勇者「ど・・・どした?」
魔王「大人しく抱き締める」
勇者「は、はい・・・」ぎゅ
魔王「最近なぁ妖精がいなくて温もり不足なんだ」
勇者「は、はぁ・・・」
魔王「柔らかさが足りぬがこれで我慢しよう・・・」すりすり
勇者「仕方無しかよ・・・」
魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・うるさいなぁ」
勇者「・・・仕様がないだろ」
魔王「もう少し静かにならんか」
勇者「無理だよ」
魔王「・・・」
勇者「・・・」
すっ・・・
魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・充電終了」にこ
勇者「元気でた?」
魔王「ああ」
勇者「・・・それは良かった」にこ
勇者「じゃ、俺行くよ」タッ
魔王「なんだ・・・? 今回はやけに早いな」
勇者「うん。・・・やること、見つけたんだ」
魔王「そっか・・・」
勇者「・・・」
ちゅ
魔王「・・・」
勇者「・・・お土産さ、メイドさんとか側近さんとかにもあげてよ」
魔王「む、私一人で食べたりしないさ」
勇者「そーかー?なんか抱きしめた時結構太ってるようにk」
ぼかっ
勇者「〜〜〜〜〜っ!!!」じんじん
魔王「レディーに向かって太ってるなどとは失敬な」
勇者「お前別にレディーじゃな」
ぼかっぼかっ
勇者「・・・・・」じんじんじんじん
魔王「っ・・・さっさと行けっ!無礼者っっっ!!!」げしっげしっ
勇者「わぁかった!わかったから!!行きます行きますっさよーならっ!!!」
ヒュンッ
魔王「・・・ったく」
魔王「あいつだんだん生意気になってきてないか?」
魔王「私に惚れている癖になんて言い草だ・・・」ブツブツ・・・
魔王「・・・・・」
魔王「・・・・・・ははっ」
魔王「私に、惚れているのか・・・あいつ」
魔王「聞いたかっ! あの鼓動を!!!」
魔王「喧しいったらありゃしないっ!」
魔王「抱きしめた・・・だけなのにっ」
魔王「魔王に惚れるほど愛に飢えているのか、勇者よ!!」
魔王「あはははははっ・・・はははははっ・・・・・」
魔王「・・・・・・」
魔王「・・・愛に飢えているのは、私もか」
○魔王城:魔王の寝室○
カツッコツッ
カツッコツッ
魔王「・・・・・」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「勇者がさ・・・お前に、お土産だそうだ」
がさごそ
魔王「・・・中にクリームが入っててさ・・・美味しいんだぞ、これ」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「ちょっと食べづらいが、私は気に入った」
魔王「今度人間界に行ったときにも食べに行こうと思う」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「あ、でも食べ方練習せねばな・・・」
魔王「人間は料理の美しさを求めるあまり食べ易さを忘れていると思うぞ」もぐもぐ
魔王「!・・・こいつも美味いな・・・やっぱり何か食べ辛いけど」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「むっ・・・ぼ、ぼろぼろ落ちるっ!あ〜後で掃除せねばっ」ぼろぼろ
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「・・・・・お前がいなくなってさ、」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「部屋が、汚くなったよ。ちゃんと一応仕事してたんだな、お前」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「どっちかって言うと汚してばかりだった癖にな」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「いつもいつも私ばかり追いかけて何度私を困らせたことか・・・」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「最後の最後まで私を困らせてさっ」
魔王「”あなたに殺されるなら本望です”だぁ?」
魔王「そんなこと言われたら、困るだろうっ」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「私だってなあ、私を好いてくれる奴を殺すことはそれなりに苦しいんだぞっ悲しいんだぞっ」
魔王「それなのにっ・・・・それ、なのにっ・・・・・」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「・・・っ・・・・・」ぎゅぅっ・・・
惚れて 欲しくなかった
好いて 欲しくなかった
〜とある国の高い木の上〜
バサッ バサッ
バサッ バサッ
勇者「うーん・・・」
勇者「今、俺って何歳だっけ?」
勇者「ひーふーみー・・・・・・・・」
勇者「ええっ26歳!?」
勇者「うおっ・・・結構年いってんなぁ」
勇者「間に合うかなぁ・・・」
勇者「・・・・・」
勇者「・・・いや、」
勇者「弱気になってはならぬ」
勇者「間に合わせて、みせる」
勇者「・・・よっしゃぁ!バラ色の未来のために、いっちょ頑張るかぁ!!」たっ
ヒュンッ
―――――――とある国の宮殿。
タッタッタッタッ
『・・・・・それぞれ配置に・・・』
タッタッタッタッ
『それはこっちに・・・・・』
ッタッタッタッタ
『勇者は・・・・・』
『・・・・の国に・・・・・』
国王「・・・・・・」
国王「・・・・・そろそろ」
国王「頃合だ」
〜魔王城訪問八回目〜
勇者「・・・よいせっ」たすっ
勇者「ふぅ・・・無事到着」
勇者「此処を訪れるのもこれが最後になるのかなぁ〜・・・」とことこ
。o0○
勇者「あいつ・・・どこにいんのかな・・・」キョロキョロ
妖精「・・・? 勇者、さま?」
勇者「? ・・・・!! 妖精ちゃん!?」
妖精「はいっ!・・・お久しぶりです〜」ピカー
勇者「うわ・・・何かさらにお美しくなって・・・」チカチカ
妖精「魔王様に会いに来たんですか?」にこにこ
勇者「ああうん・・・まぁ、一応」
妖精「そうですか〜」にこにこ
勇者「・・・・・」
勇者「何か・・・幸せそうだね?」
妖精「はぁいっ!」ぱぁあっ
勇者「旅は楽しかった?」
妖精「とても楽しかったですよっ!」にこにこ
妖精「色んな人に会って、色んなものを見てきました!」
妖精「中でも海にはとても感動しましたねぇ〜・・・あんなに美しいものは今まで見たことありませんでした!」
勇者「ぷくくっ・・・そっか、今まで見たことなかったか」
妖精「?」
勇者「魔王は何処にいるのかな?」キョロキョロ
妖精「魔王様なら・・・あ」
勇者「?」
妖精「午後は遠征に出かけるって行ってました・・・」
勇者「え、じゃあいないの?」
妖精「はい・・・」しゅん...
勇者「そっか・・・俺タイミング悪いな・・・」ガシガシ
妖精「・・・・・」
妖精「何か・・・」
勇者「ん?」
妖精「勇者様も、変わりましたね?」
勇者「そう?」
妖精「ええ」にこ
妖精「前会ったときはなんとなく、しょんぼりな感じでしたが」
妖精「今は何だか輝いておられますっ」キラキラ
勇者「・・・そうかなぁ?」
妖精「ええ。前よりずっとカッコいいですよ!」ぱあぁっ
勇者「あ・・・ありがとう・・・・・」てれてれ
こぽこぽこぽ
妖精「・・・〜♪」
勇者「・・・」
妖精「魔王様は多分、今日中には帰ってきます」
妖精「それまでお茶でも飲みながら世間話をしましょう」にこり
勇者「旅の話を聞かせてよ」
勇者「相当楽しかったんだろう?」
妖精「はいっ」にこ
勇者「さっきから生き生きしてるし」
妖精「うふふ・・・」つやつや
勇者「もしかして、好きな人でも見つけた?」ごくごく
妖精「はいっ・・・好きな人が、できました」ぽ
勇者 カシャーンッッ
382 :創る名無しに見る名無し:2009/11/28(土) 00:44:42 ID:aHUnLmsh
妖精「? どうかしました?」
勇者「そ、それっ・・・ままま魔王にも言ったの・・・?」
妖精「いーえ?」
勇者「そ、そう・・・」ほっ
妖精「?」
勇者「今一国の命が救われました・・・・・」ホロリ
妖精「??」
妖精「魔王様には心配かけちゃうので、言いません」
勇者「懸命な判断だ」うんうん
妖精「どうせ叶わぬ恋ですし・・・」
勇者「え・・・」
妖精「フィアンセが、いる方だったのです・・・」
妖精「私にその方を奪う資格など、ございません・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「まあ、私、その方には嫌われてましたから」
勇者(いや、この子の場合被害妄想が激しいとこあるからな・・・実際はどうだか)
妖精「・・・この気持ちを知れただけでも幸せです・・・」きゅ
勇者「・・・・・」
妖精「恋って、難しいですね」
妖精「思っていたよりも、ずっとずっと重いものでした」
妖精「でもとても素晴らしい感情です・・・」にこ...
勇者「・・・・・」
妖精「・・・勇者様も、大切にして下さいね?」
勇者「・・・ああ」
勇者「大切に、するよ・・・」
――――――深夜。
カッ カッ カッ カッ・・・・・
魔王「・・・・・」
ギィッ・・・
魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
魔王「・・・来てたのか」
勇者「ああ」
魔王「何か・・・用か?」
勇者「倒しに来たわけじゃないよ」
魔王「・・・・・」
勇者「俺は、奇襲なんて仕掛けない」
魔王「じゃあ、知ってるんだな」
勇者「うん」
魔王「急に人間達が魔界へ進撃したことを」
勇者「・・・うん」
魔王「全く・・・散々だ」どかっ
勇者「・・・・・」
魔王「襲われた魔族は何が起こったのか分からなくて人間の軍の方に突っ込んじゃうし」
魔王「人間は人間で何か混乱してやがるし」
勇者「・・・・・」
魔王「もうちょっと鍛えてからき来やがれってんだ」ふんっ
勇者「全部倒したんだ?」
魔王「もちろんっ」フンッ
勇者「さすが・・・魔王様だなぁ」にこり
魔王「でもこちらも惜しい部下達を亡くした」
魔王「しかも人間達はこれからも進撃し続けるとの報告がある
勇者「・・・・・」
魔王「説得もうまくできないし、殺しすぎてもいけないし」
魔王「はぁ・・・感情を持つほど賢い生き物はやっかいだ」
勇者「確かになぁ・・・」
魔王「・・・で」
魔王「勇者様はこんなご時勢に何をしにいらっしゃったのかな?」
勇者「ああ、ええっと・・・」ごそごそ
勇者「はい」かさっ
魔王「?何だこれは。手紙・・・?」かさかさ...
勇者「うん・・・まあ、一応」
魔王「・・・・・」
勇者「果たし状?」
勇者「先日国王直々にさー、さっさと魔王倒せって凄まれてさー」
魔王「・・・・・」
勇者「もう群臣達で俺を囲って凄むの。あれはもう脅しだね」
魔王「・・・・・」
勇者「だからその手紙に書いてある日付にさ、もっかいここに来るよ」
勇者「あんたを倒しに」
魔王「そうか・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「ふっ・・・なかなか礼儀正しいじゃないか、果たし状を作ってくるなんて」
魔王「今までの勇者の中では、初めてだぞ」くっくっくっ
勇者「まぁそうだろうねぇ・・・」
魔王「・・・楽しみにしていよう」
勇者「・・・・・」
魔王「来たるその日まで、精々鍛えておけ」
勇者「ああ」
魔王「・・・・・」
勇者「絶対に倒してみせるよ」
魔王「ふっ・・・」
勇者「負けたからって、泣くなよ?」
魔王「それはこっちの台詞だ」
勇者「・・・じゃ・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「また、来たるその日に」
魔王「来たる、その日に」
勇者「・・・、バイバィ」ヒュンッ
魔王「・・・・・」
魔王「・・・・・遂に」
魔王「来るの、か・・・」
魔王「・・・・・」
魔王「・・・私は魔王」
魔王「私は、魔王だ」
魔王「心無い、王様・・・・・」
魔王「だから・・・大丈夫だ」
魔王「これもきっと・・・忘れるための、試練」
魔王「見ていてくれ、友よ」
魔王「私は魔王に相応しい者になってみせる」
―――数ヵ月後――――――――。
〜第九回魔王・・・討伐?〜
ヒュオオオオオ・・・・・
オオオオォォオオオ・・・・・・
魔王「・・・用意は良いか、勇者」
勇者「おうっ!」ジャキッ
魔王「ふっ・・・威勢のよいことだ」ニヤリ
299 :創る名無しに見る名無し:2009/11/24(火) 20:47:34 ID:FYRxUGqF
魔王「やっぱ勇者はそのくらい活きの良い奴でないと」
勇者「倒し甲斐が無いって?」
魔王「そうそう」
勇者「・・・今まで小指で倒してきただろうに・・・・・」
魔王「ちょっとは楽しませてくれよ」ふっ
勇者「・・・・・」ジャキッ
魔王(・・・・・綺麗な、瞳だ)
勇者「・・・では・・・」
魔王「・・・・・」ザッ...
勇者&魔王「「いざ」」
勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」【後編】へ続きます
転載元
勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1258163436/
男が女並みの快感を手に入れる方法を真剣に話し合おうぜ
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コメント一覧
勇者も魔王も双方が男というのも珍しい
大概どちらかはペド受けを狙って、つるつるおまんまんのきんめぇロリキャラ設定でズリネタにされるのが常だってのに
いや、やっぱり‥古いかな
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