フリーターからGoogle API Expertへ 松尾貴史さん [okyuu.com]

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フリーターからGoogle API Expertへ 松尾貴史さんのエンジニアライフ(1/2)

音楽で独立することを目指していた松尾貴史さん。DTMをやりたいと手にしたMacが彼の目指す道を変えた。アルバイトでISPに飛び込み、派遣などの現場を通してスキルを磨いてきた。いまではGoogle App Engine API Expertとして活躍するエンジニアだ。(取材・文=編集部)2010/03/25 掲載

松尾貴史(まつおたかし)
1973年3月1日生 37歳 株式会社キャンディット代表/サイオステクノロジー株式会社エンジニア
【略歴】
1999年くらい 早稲田大学中退
2004年8月 サイオステクノロジー株式会社入社
2009年2月 株式会社キャンディット設立・代表に就任

キャンディット 松尾貴史さん

キャンディット
松尾貴史さん

――松尾さんがエンジニアになったきっかけは何だったのでしょう?

松尾 僕は25歳ぐらいまでフリーターだったんですね。音楽で独り立ちしたいと思っていて大学も中退して。そんなときにDTM(DeskTop Music)に興味を持ち中古のMacを購入しました。1999年ごろだったと思うのですが、ちょうど個人向けのISPというのが流行っていたので、興味本位でインターネットにつないでみたんです。そしたらこれが意外と面白かった。

 そんなとき自分が契約しているISPの情報を調べていると、アルバイトを募集していました。最初は顧客からの質問に電話で対応するユーザーサポートが仕事。自分で答えられる範囲の質問ならいいんですが、もちろん自分では答えられないような質問もきます。そのときはISPの技術者にエスカレーションするしかないんですが、僕の聞き方がまずかったのか、技術者が忙しかったのか、要領を得ない回答しか返ってこない。それで自分で何でも調べるようになって、気が付くと顧客サポート用のWebサービスを作ったり、サーバの設置までやるようになっていました。

――そういう仕事は意外と好きだったんですね。

松尾 手に負えないといってもそれほど困っているわけではなかったので、単純に楽しんでいました。僕は昔からトラブルの原因を調べて解決するのが好きでしたし。そう、ISPで働いていたときに突然メールサーバの/binが消えるという事件があったんですが、「これはクラックされたんじゃないか」ということになって、このときの調査にはがぜん燃えました。結局はユーザー削除プログラムのバグだったというのがオチなんですけど。

――特に経験があるわけではなかったんですよね。

松尾 コンピュータは中学生のときにBASICをちょっと触ったことがありましたが、それっきりでしたからもう独学ですよね。だからいまでも怪しい部分もあったりする。特に用語がよく分からなかったりするけど、これは調べればすぐに分かることですからね。

 それでISPでアルバイトを始めて1年ぐらいすると正社員になりました。でも1年ぐらいしたら親会社がISP事業を止めるという。親会社に行って働く道も用意されていたんですが、親会社の仕事は販売だったので僕には興味がなかった。せっかくIT業界に入ったんだし、もう少しこの世界で仕事をしてみたいと思っていました。そこで知り合いの伝手でITベンチャーに入ったんです。

 このITベンチャーは正直なところ「大丈夫かな」と思うような不安な会社でした。ただ、ベンチャーキャピタル(VC)も入っていてお金はあるようでした。そこではデータセンターの管理とかを1人で担当していました。しかし、いかんせん会社の最初のビジネスプランが甘かった。すぐに資金がショートしてしまったんです。すると会社が変な方向に向かい始めて、危険なニオイがしてきた。運がなかったんですよ。

漂流しながらも「オープンソースをやりたい」

――波乱ですね。その後どうされたんですか?

松尾 会社を辞めて、派遣で仕事をしていました。本当に開発者は立場が弱いということを肌身で感じながらの漂流でしたね。ただ、そんなふうに転々とするなかでもオープンソースをやりたいと思うようになっていきました。でも、派遣ではそういう仕事をやれる機会がない。それでオープンソースを標榜していたサイオステクノロジーの契約社員になりました。サイオスは会社としてオープンソースを推奨しているから、自分としてはすごく居心地がいいんですよね。

――なぜオープンソースに魅力を感じるようになったんですか?

松尾 テキストエディターの「vim」がありますよね。プラグインがいろいろと出ているんですが、その1つにバッファの一覧を出す機能があって、Javaの受託開発をしていたときの仲間が「パスでソートできる機能があるといいのに」と言うんです。自分でそれを作って、作者にも送ってみたらこれが取り入れられた。

 地球のどこにいるか分からない人とコミュニケーションして、自分が作ったものが採用される。別にこれでお金がもらえるわけじゃないけどリリースタグに名前も残るし、なんだか歴史に名を刻んでいるような感覚。この過程がとても面白かったんです。自分にはそれ以外に活躍の場がなかったというのもありますが。

――個人で会社もやられていますよね。

松尾 サイオスで契約社員をやりながら自分でも会社をやっています。これにもいろいろ経緯があるんです。3年ぐらい前になりますが、日本大学が「Google Apps」を使いたいということになりました。僕を含めて3人ぐらいで担当しており、社内システムと連動させたり、シングルサインオン(SSO)を導入したりしました。ここまで大規模な導入は日本で始めてのケースでしたので、色々と苦労しました。Googleが提供しているライブラリに機能が足りない部分などがあったので、自分で開発してパッチを送ったりしています。

 このとき開発したプロダクトをいくつかの学校に横展開するなかで、会社が「Google Appsはよいサービスだから、どんどん採用しよう」という機運になりました。でも、サイオスもそれなりの規模の会社だから、僕が考えていたよりも動きが遅かった。そこで「僕自分で会社を作ってやっていいですか」と聞いたら、「いい」って言うんです。それで会社を作ったのですが、サイオスも注力し始めたので自分の会社では「Google App Engine」(GAE)をやろうと思っています。

――GAEの案件というのはどんなものが多いんですか?

松尾 今は開発じゃなくてコンサルティングのようなことをやっています。GAEでサービスを作ったスタートアップの会社にアドバイスをしたり、サイオスと両方で仕事をしているからあまりヘビーな開発までは手が回らなくて。

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