民主党への政権交代から9カ月たち、政府は規制改革の大切さに目ざめたようだ。行政刷新会議が規制・制度改革報告をまとめた。内閣府の大塚耕平副大臣が中心となり、自民党政権で停滞していた改革を再起動させたことを評価したい。
報告は環境、医療、農業の3分野を中心に、規制を所管する府省庁が取り組むべき項目を挙げた。それぞれの項目について「いつまでに、どうする」という府省庁の対応と、行刷会議側の付帯意見が述べられている。不十分な点も残っているが、この改革を早急に実行するのが菅政権の使命である。
目を引くのは医療分野だ。公の健康保険が利かない自由診療を、患者が保険診療と併せて受けられるようにする「混合診療の解禁」については、併用できる自由診療の範囲を広げることで決着した。
具体的には、併用対象をごく一部の自由診療に限っている現行制度より「手続きが柔軟で迅速な仕組みを検討し、今年度中に結論を出す」とした。一定の要件を満たす病院では再生医療を含む先進医療や未承認のがん治療薬などを試す道が広がり、患者の利益が高まる。医療技術の進歩にも寄与する。
医薬品や医療機器の承認が欧米より遅れている問題の改善、技術を習得した介護職への一部の医療行為の解禁なども今年度中に実施すると結論づけた。また社会福祉法人以外の事業主体による特別養護老人ホーム事業への参入促進は、早急に検討を始める。どの項目も厚生労働省による先送りは許されない。
農業分野も得点を稼いだ。農業協同組合への独占禁止法の適用除外の見直し、農協の信用事業への金融庁検査の実施について、関係する府省庁が年度内に結論を出すとした。
混合診療や農協改革は自民党政権の時代、旧規制改革会議が何度も提起したが、医師会や農業団体、担当省、族議員がかたくなに改革を阻んできた。会議は岩盤に突き当たり、頓挫しかかっていた。特に小泉政権後の安倍、福田、麻生の3政権は改革を支える姿勢が弱かった。
そうした利益団体などへの弱腰を改めたのは政権交代のプラス面だ。今後は各府省庁に対し、改革の進め方を監視する仕組みが必要になる。
ただ、医薬品のインターネット販売の解禁は厚労省の政務三役の抵抗で報告に盛りこまれなかった。労働者派遣法の改正案など働き手や産業界の手足を縛る規制強化も俎上(そじょう)に載っている。政府がこれらにどう対処するかを見守りたい。
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