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BP事故 深海底油田の開発にブレーキ 世界の供給構造に影響

6月17日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 米南部ルイジアナ州沖メキシコ湾にある深海底油田の原油流出事故の影響が深刻化している。権益を持つ英BPの株価が事故発生前と比べて5割近く下落し、市場ではBPの破綻(はたん)や買収観測も出ている。一方、深海底油田開発の規制が厳しくなり、石油業界全体および世界の石油供給構造にまで波及する可能性も高まってきた。

 ◆買収も取りざた

 BPはメキシコ湾では石油産出の23%を占める最大手だ。事故を起こした掘削業者のトランスオーシャンは、メキシコ湾で過去10年に1000以上の油井を掘削し、これまで無事故だった。

 今回の事故について、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の伊原賢上席研究員(技術担当)は、難しい現場ではなかったと指摘。「経過をみると工期の遅れを取り戻そうとしたのか、慎重さが足りなかった」と分析する。

 現場は水深1500メートルの海底だが、最近では水深2000メートル以上の油田に挑戦する例もあるという。伊原氏は、「これからの世代交代で、熟練技術者が不足する現場も出てくるだろう」として、一層慎重な安全管理の必要性を指摘する。

 BPは、15日の米下院エネルギー・商業委員会の公聴会で事故後の対応を厳しく批判され、原油を回収する船を増やすなど追加措置を約束させられた。

 原油除去や賠償請求への対応で数兆円規模の負担を強いられるとの見方から、BP株は売り込まれ、「欧州では中国のペトロチャイナがBPを買収する可能性も指摘されている」(市場関係者)という。

 ◆規制強化は必至

 米議会では、米エクソンモービルなど他社も「事故への備えはBP並み」との見方が強まっており、石油会社に求める補償額や、石油会社が事故に備える基金の引き上げなどを盛り込んだ法案策定が相次いでいる。影響は業界全体に及んできた。

 日本エネルギー経済研究所の小山堅理事は、「今後、米国で海底油田掘削の安全規制基準や検査手続きが厳格化され、他国も追随するだろう」とみる。

 深海底油田の開発は、メキシコ湾のほかブラジル、アフリカ、東南アジアなどで活発化しているが、規制強化は安全対策コストの上昇、開発スピードの鈍化を招きかねない。

 深海底油田に期待をかけるのは、米国など主に石油輸出国機構(OPEC)以外の産油国だ。非OPEC国では、今後生産が伸び悩むとみられているだけに、深海底油田の開発が鈍化すれば影響は小さくない。

 国際エネルギー機関(IEA)の予測では、世界の石油需要は現在の日量8600万バレル程度から2030年に1億500万バレルに伸びる。小山氏は、今回の事故で「世界のOPEC依存が、今後さらに強まる可能性がある」と分析する。(粂博之)

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最終更新:6月17日8時28分

フジサンケイ ビジネスアイ

 

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