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緩衝地帯断念 振り回され農家困惑
(2010年6月17日付)
口蹄疫問題で政府現地対策チーム本部長の篠原孝農水副大臣は16日、搬出制限区域内の家畜を早期出荷し緩衝地帯をつくる方針を撤回した。緩衝地帯の形成はワクチン接種と並ぶウイルス封じ込め策の柱だったが、見通しの甘さから暗礁に乗り上げた格好。同区域内の農家からは「国は実情を理解しておらず、そもそも無理だった」と冷めた声も聞かれた。宮崎市塩路の繁殖、肥育牛農家長友明さん(49)は搬出制限区域に入って約1カ月が過ぎた。はじめは強制的に早期出荷されると聞き途方に暮れた。しかし、その後、国は農家が長年かけて改良を重ねた繁殖雌牛を残す方針を示すなど、その対応に振り回されてきた。長友さんは今回の国の方針転換に「国が早期出荷をあきらめたことで雌牛を残せる可能性も出てほっとしたが、国には今度こそ終息に向けた実行可能な方針を出してほしい」と訴える。
早期出荷の実現性に冷ややかな見方をしていた農家は多い。日向市の繁殖牛農家黒木豊喜さん(56)は「母牛は肥育牛と違ってミンチにしかならず金にならないし、子牛は過去に処理したこともない。そもそも早期出荷は無理だと思っていたので驚きはない」と冷静に受け止めた。
宮崎市有田の養豚業日高良一さん(61)は「早期出荷のため、ウイルスのまっただ中を通って都農の処理工場までを往復すること自体が危険だった。わざわざ危険を冒して早期出荷しなくても、もともと家畜の密集度が低い緩衝地帯だった。国の対策は机上の空論で、方針転換は当然だ」と指摘した。
宮崎大農学部の後藤義孝教授(獣医微生物学)は「本来は感染地の外側でワクチン接種し、その外側を空白(緩衝)地帯にする必要があった。ワクチン接種区域外へ発生の『飛び火』が頻繁に起こっている今となっては空白地帯をつくっても遅い。今の段階では『飛び火』の感染経路を突き止めるなど次の対策を行う必要がある」と話す。