社民党県連の新里米吉委員長と社大党の大城一馬副委員長は31日、共産党県委に古堅宗嘉書記長ら幹部を訪ね、7月11日投開票予定の参院選沖縄選挙区(定数1)での3党共闘を提案した。共産は推薦している予定候補者の沖縄医療生活協同組合理事長の伊集唯行氏(58)の支援を逆提案、協議は物別れに終わった。共闘が不調に終わったことを受け、社民は独自候補擁立にかじを切る。
新里委員長らは米軍普天間飛行場の移設問題で政府に県内移設断念を求める候補者の擁立で共闘を呼び掛けた。共産は同飛行場の即時無条件返還などを主張したほか、伊集氏を擁立して事実上の選挙運動を展開しているとし、支援を提案、主張は平行線をたどった。
新里委員長は「県内移設反対の世論をまとめて候補者を擁立したかったが、残念。県連内で公認、推薦候補について具体的に協議したい」とし、1日の執行委員会で対応を検討する考えを示した。
一方、古堅書記長は「県民の立場に立つのであれば、社民も社大も伊集氏を支援できるはずだ。門戸は開けており、保革の枠を超えた取り組みをしたい」と強調した。
大城副委員長は「党が独自候補を擁立することはない。党内で今後の対応を検討したい」と述べ、2日の執行委員会で対応を協議する。
民主党県連も独自候補擁立を模索しており、県政野党陣営の分裂選挙は確実な情勢となった。
「普天間」スタンス違い
参院選沖縄選挙区の対応をめぐり、県政野党の共闘が事実上崩壊した。公示まで1カ月を切り、米軍普天間飛行場移設問題をめぐる野党間のスタンスの違いが顕在化した格好だ。連立政権から離脱した社民党県連は独自候補擁立を目指す方針で、共産党県委は推薦候補を擁立、民主党県連も独自候補擁立の姿勢を崩していない。県政野党の分裂は秋の知事選にも影響しそうだ。
社民、共産はともに普天間飛行場については「県内移設反対」の立場だが、具体的な解決法は異なる。「県外・国外移設」を訴える社民に対し、共産は「即時無条件返還」を主張している。
社民県連の新里米吉委員長は31日、記者団に「共産への呼び掛けは今日が最後。公認・推薦候補の擁立について具体的に協議したい」とし、民主との共闘も白紙に戻し独自候補擁立の意向を示した。党内で沖縄の民意に沿って政権を離脱したことで、有権者の支持が集まるとの見方が強い。ただ、参院選まで約40日と迫り「時間がなく、全県選挙は戦えない」と慎重な意見もある。
一方、独自候補擁立を模索する民主党県連も共産以外の3党共闘に含みを持たせるが、当選後に特定会派に属さないという条件には「党本部の理解は得られない」とし、難色を示している。
5月上旬に、党委員長が出馬を辞退した社大党の大城一馬副委員長は「われわれにも責任の一端はあるが、県政野党が分裂して闘えば、知事選への影響は避けられない。関係修復、人選のテーブルをつくるにも時間がかかるだろう」と危惧(きぐ)する。
市民団体の中にも「沖縄独自の立場を示し、県外移設の実現には4党の結束が必要。各党の歩み寄りがない」との批判も上がる。タイムリミットが迫る中、野党は共闘崩壊の状態で参院選に突き進んでいる。(政経部・平良吉弥)