特集
【混迷 参院選十勝】(中)1議席死守
2010年06月16日 15時06分
中川父子の波紋なお
支援構造、揺らぐ自民
一度は道選挙区で長谷川岳氏(中央)、比例代表では中川義雄氏(右)の支援を容認する対応を決めた党支部だが、中川の長男賢一氏(左)の突然の出馬で状況は変化した(中央右は中川郁子氏)
6日に開かれた自民党道11選挙区支部の定期大会。支部長の清水誠一は、役員会で一度は「横並び」での支援を認めていた中川義雄(たちあがれ日本)に言及しなかった。
同支部幹部は「『横並び』では誤解を招く。それぞれの判断に任せるが、支部としては義雄さんの支援に触れなかった」と説明する。大会前の執行部会では対応をめぐり意見が分かれ、一部幹部が声を荒らげる場面もあったという。
町村とつながり
十勝の行政、農業界とつながりが強い中川。道選挙区の自民党公認を得られず、新党の動きに同調して比例代表から出馬を表明した。離党したものの、町村には古くからの支援者は多い。
自民党道選挙区候補選びで地元の十勝は、一貫して中川の支援を打ち出してきた。党道連はこれまで、1次産業を代表する立場で札幌市以外に地盤を持つ候補と、2・3次産業を代表する候補を交互に出した経緯がある。しかしそれを破った形の2月の長谷川擁立。管内には対応に反発があるが、党勢拡大には長谷川を支援する一方、比例では党公認候補とともに横並びを容認する党支部独自の判断だった。
中川の後援会幹部は「道選挙区は長谷川さん、比例が義雄さんでうまく納まる」と歓迎していた。
しかし中川の長男賢一が、みんなの党から出馬することで状況は大きく変化した。親子で別の党から出馬し、長谷川とぶつかることに支援者からも不満が出た。党関係者は「たちあがれ日本からならまだ理解できる。しかし『反自民』のみんなの党では容認できない」と渋い顔を見せた。
自民党にとって政権を失って初めて迎える参院選は、党勢復帰のために勝たなければいけない選挙。道選挙区の1議席死守は大命題。
一定の手応え…
前哨戦ともみられた帯広市長選は、党推薦の上野敏郎が敗れたものの3万7378票を獲得し、民主、衆院議員の石川知裕が推した米沢則寿を138票差まで追い詰めた。党幹部は「保守の地盤があると確認できた」と参院選に向けた一定の手応えも口にしていただけに、その流れが変わることを心配する。
動向が注目される故中川昭一財務・金融相夫人の郁子は「衆院選のお礼回り」として、長谷川の管内回りにも同行した。過去の選挙で応援を受けた義雄も支援する考えだが、賢一には距離を置く。
義雄、賢一親子の一連の動きは、昭一の落選・死去により陣営の核を失った自民・保守内の不安定さを表したのも事実。来年の統一地方選、失った議席奪回を目指す衆院選にどうつなげられるのか大きな試金石になる。(敬称略、参院選取材班)