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老齢加算訴訟 制度の復活を考えよ 6月16日(水)

 生活保護制度の安易な見直しによる老齢加算廃止は違法−。

 福岡高裁が注目すべき判決を出した。行政による老齢加算廃止決定の取り消しを求め、北九州市の高齢者らが訴えた裁判である。廃止が違法かどうかは、現在、全国8都府県で争われている。生活保護法違反とした原告勝訴は初めてになる。ほかの裁判へも影響しそうだ。

 裁判長は、生活保護は「単なる国の恩恵ではなく、法的権利」とした上で、廃止には正当な理由がない、とした。

 一審の福岡地裁は原告の請求を退けている。控訴審では、争点となっている憲法が保障する生存権の侵害については明確な判断を示さなかったけれど、行政手続きの面で問題があることを指摘したことは評価できる。

 国は判決内容を重く受け止めなくてはならない。老齢加算復活も含め、生活保護のあり方について深く論議をするべきだ。

 厚生労働省の専門委員会が中間報告として、老齢加算の廃止を提言したのは2003年のこと。財政難で小泉政権が社会保障費の抑制を進めたことが背景にあった。母子加算の見直しも続き、06年に老齢加算、昨年には母子加算が廃止になった。

 専門委員会の報告は同時に、高齢者世帯の生活水準が急に低下することがないよう、緩和措置をとることを求めた。なのに、報告が出された直後に老齢加算を減額した予算案が内示された。

 高裁判決はこの短期間の変更に注目した。減額や廃止の内容を十分に検討した形跡がないことや減額幅が大きいといった問題点を挙げ、社会通念に照らしても廃止には正当な理由がない、との結論を導き出した。

 民主党は昨年の総選挙で、子育て支援策の一つとして、母子加算復活を公約し、実行している。一方、老齢加算の復活は検討課題としていない。

 「国民の生活が第一」を掲げて政権交代を果たしたことを考えると、なぜ、40年以上も続いた老齢加算の復活を対象外とするのか、首をかしげたくなる。

 民主党は、税金の無駄遣いを改め、政策遂行の財源を生み出すと主張してきた。今のところ目に見える成果は少ない。

 生活保護世帯は増え続ける一方だ。菅直人首相は「最小不幸社会」の実現を掲げている。貧困問題の解消にどれだけ真剣に取り組むのか、国民が厳しく見ていることを忘れないでほしい。

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