大阪ワールドトレードセンター、日本一の庁舎へ


 大阪・南港の超高層ビル「大阪ワールドトレードセンタービルディング」(WTC)256mの所有権が6月1日、大阪市の第3セクターから大阪

府に移り、「府咲洲(さきしま)庁舎」となる。高さ256mは、東京都庁(243m)を抜き、日本一の庁舎となる。

大阪は、日本一の超高層ビル(阿部野橋ターミナルビル・300m)、日本一の超高層マンション(ザ・キタハマ・209m)、日本一の駅ビル(

近鉄阿部野橋ターミナル・300m)、日本一のホテル(阿部野橋ターミナル最高層部・300m)、日本一の庁舎(WTC大阪府第二庁舎・256m)、

日本一の超高層ビル群(梅田・中之島地区)を持ち、超高層ビル・6冠を達成することになる。

  WTCは、橋下徹知事が府庁舎移転構想を打ち出してから1年10か月になる。府市再編による「大阪都」構想を掲げる橋下知事は「WTCを

都庁に」と強い意欲を見せるが、今はあくまで第2庁舎の位置付け。府と市の対立が目立つ中、WTCの先行きはなお不透明だ。

 府議会の3分の2以上の賛成が必要な本庁舎移転条例案は、過去2度、否決された。府は当面、現庁舎(大阪市中央区)に知事室、議会な

ど中枢機能を残し、咲洲庁舎には11月から、府民文化部など9部局を順次移す方針で、府職員の約2割にあたる約2000人がビルで働くこ

とになる。

 現在、ビルの半分近くを占める大阪市部局や市関係団体は一時的に同居し、来年秋までに隣接するアジア太平洋トレードセンター(ATC)に

移動する。

 経営破綻し、市にとって「負の遺産」だったWTC。府が購入を決める際には、大阪市の平松邦夫市長が府議会に出席して理解を求め、府と

の蜜月関係をアピールしたが、橋下知事が「大阪都」を唱え始めた今年1月以降、関係は冷え込んだままである。

 7月には府の部局移転に先立ち、府・市の職員各3人で構成され、ベイエリアの街づくりを考える「夢洲(ゆめしま)・咲洲地区活性化共同チ

ーム」がビル内に設置されるが、関係者は「トップの不仲は、必ず現場に跳ね返る。府市連携が順調に進むかどうかは不透明」と先行きを

懸念する。

 橋下知事は「庁舎が二つあると費用も莫大にかかる」「議会から移転条例案を出してほしい」などと繰り返し、本庁舎移転をあきらめない姿勢

を示す。

 移転反対派の中堅府議は「否決という議会の判断の軽視だ」と反発。一方で、知事を支持する「大阪維新の会」が最大会派に躍進して議会

内の勢力図は一変しており、「知事との対決を恐れて賛成に転じる動きが加速しても不思議ではない」と語るベテランもいる。

 今のところ、橋下知事は自ら移転条例案を出すつもりはないというが、関係者は「9月や来年2月議会で波乱があるかもしれない。知事の判断

次第である」と言っている。


(WTC・外観)










(WTCのアトリウム・ホール等)




 

(WTCからの眺望)

 

 
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