菅直人首相の所信表明に対する各党の代表質問が15日、参院本会議で行われ、野党各党は「政治とカネ」の問題などで厳しく追及したが、首相はひたすら答弁用紙を読みあげる「棒読み答弁」に終始した。ただ、連立離脱後初めて質問に立った社民党の福島瑞穂党首に対しては一転して丁寧に答えるなど関係修復を目指しているとも受け取れる対応をとった。
福島氏は普天間問題で、地元沖縄の合意なしに日米合意を優先させた政府の判断について「民主主義を踏みにじり強行するのは反対だ」などと激しく批判した。
これに対し、首相は社民党の村山富市元首相が「日米安保堅持」方針へ政策転換したことを挙げ、「『日米安保条約を破棄するという線では日米関係は維持されない』という高度な判断もあったのではないか」との解釈を披露。野党時代に「国外・県外」を掲げながら方針転換した自らに対する理解を求めた。さらに「副総理として(普天間問題の)混乱状況を防げなかったことに責任を痛感している」と反省してみせた。
一方で、自民党の西田昌司参院議員らが、鳩山由紀夫前首相と小沢一郎前幹事長の「政治とカネ」の問題を取り上げて激しい批判を展開すると、首相は「お二人とも政治責任を取り重大な決断をされた」などとの答弁に終始した。
参院選を目前に控え「イラ菅」を封印する守りの姿勢に徹し、再質問に立った西田氏から「答弁になっていない」とののしられる一幕もあった。【高山祐】
毎日新聞 2010年6月16日 東京朝刊