【ニューヨーク山科武司】韓国海軍の哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没事件に関し、北朝鮮の申善虎(シンソンホ)国連大使が15日、国連本部で記者会見し、改めて事件への関与を否定した上で「韓国と米国が事件を政治目的に利用した」と米韓両国を非難。「外交の後は軍隊だ」とも述べ、国連安保理が制裁決議や議長声明を出した場合には武力を行使する可能性を示唆した。
申大使は「事件には多くの疑問点がある」と改めて指摘。例として事故調査に参加した5カ国の中には、調査結果発表の4日前に専門家を派遣した国があることなどを挙げた。
申大使は「ばかげた事件で最大の利を得たのは米国だ」と強調。鳩山由紀夫前首相が「告白した」として、事件のために「沖縄に基地を残したい米国の要求に彼(鳩山前首相)は応じざるを得なかった」と述べた。
さらに申大使は「国連安保理が我々への非難や疑義を持つ文書を出せば、私の仕事は終わる。後に続くのは我々の軍隊だ」「核兵器は我々の抑止力だ。常に脅威にさらされているからだ」とも述べた。
毎日新聞 2010年6月16日 東京夕刊