宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、現地入りしている篠原孝副農相は16日、川南(かわみなみ)町など発生集中地域の半径10~20キロの搬出制限区域の感染リスクを減らすための家畜の「早期出荷」対策について「感染が収まれば急いでやる必要はない」と述べ、事実上断念する考えを明らかにした。
県庁で記者団に明らかにした。政府は先月、搬出制限区域内の家畜をゼロにする緩衝地帯を作る考えを示していた。農林水産省は既に、繁殖雌牛(母牛)については「貴重な資源」として、早期出荷対象から除外することを決めている。
えびの市や都城市では、発生とほぼ同時に感染疑いの家畜を殺処分・埋却するウイルスの封じ込め策で一定の成果をあげている。また、先月末、国の特例で稼働を再開した移動制限区域内にあるミヤチクの食肉処理工場(都農(つの)町)への出荷も滞り、実質停止状態が続いている。
篠原副農相は「早期出荷しようとした時に飛び火した。『えびの方式』でやった方がいい。緩衝地帯方式は変更されたと言っていい」と述べた。【石田宗久】
毎日新聞 2010年6月16日 東京夕刊