韓国の対北朝鮮支援団体「良い友達」は14日、北朝鮮の朝鮮労働党が住民への食糧配給や企業所(生産組織)への物質供給を中断すると宣言し、各企業所単位で「自給自足」するよう指示したと明らかにした。ヤミ市場の取引規制を撤廃し、個人による対中国貿易も認めたという。「食糧や原料・資材不足に伴う当面の措置」としているが、事実ならば政府の市場統制を放棄したともいえる内容で、貧富の格差拡大や指導部の求心力低下につながる可能性もある。
「良い友達」が5月26日の労働党組織指導部の指示文書を入手した。同文書は、現状について「困難な食糧事情により国家はこれ以上どんな措置も取れなくなった」と指摘。各企業所ごとに自給自足を命じ、党や内閣、国家保衛省など関連機関に必要な対策を取るよう促した。
具体的には国営商店以外の総合市場など公認・非公認の市場で、住民が24時間取引できるようになった。今まで許可していた農産物だけでなく工業製品の取引も可能になり、商売できる年齢などの制限も撤廃した。
資材確保や賃金支払いなども各企業所に責任を負わせる。今まで政府系企業などに限定していた中国との貿易を個人にも許可。中国に住む知人や親族と取引する場合にビザを発給するという。
これら「規制緩和」を進める一方、治安維持の名目で内部監視を一層強化した。人民保安省は脱北者を出した世帯の強制移住や、韓国と通話して摘発された住民の収容所送還などを開始。「9センチメートル以上の刃物やノコギリなど凶器になる物の回収」も始めた。
北朝鮮は非常措置としているが「良い友達」の法輪(ポップリュン)理事長は「市場取引を一度緩和すれば合法化の方向に行く可能性が高い。中国への経済依存も強まるしかない」と分析する。
北朝鮮は2009年、核実験強行などによる国際制裁や韓国の食糧・肥料支援中断、豪雨被害で、食糧不足が深刻化。韓国統一省によると食糧生産量は約410万トンで必要量の約550万トンより約140万トン不足した。
さらに、昨年11月にデノミ(通貨呼称単位の変更)を実施したが貨幣供給が追いつかず、生活物資の価格が急騰。政府は故金日成主席誕生日(4月15日)前に軍需米などを取り崩し配給を実施したため一時的に物価は落ち着いたが、最近は再び高騰に転じたもよう。法輪理事長は「食糧不足は農村地域でも広がり(優先的に供給する)軍部も食糧を確保できていない。5月以降は餓死者が急増している」と強調した。(ソウル=山口真典)
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