PJ: 平藤 清刀
仕分けパフォーマンスを糾すため、執念で帰還した「はやぶさ」
2010年06月16日 10:15 JST
【PJニュース 2010年6月15日】小惑星探査機「はやぶさ」の帰還劇はすでに多くのメディアで報じられているとおり、幾多の試練を乗り越えて、まさに奇跡と言っても過言ではない成果を残した。7年間に亘る宇宙飛行をつづけるあいだに、まるで人格が宿ったかのような錯覚さえ覚える。
さて、蓮舫行政刷新担当相は15日午前の記者会見でこのように述べた。
「偉業は国民全員が誇るべきものだ。世界に向かって大きな発信をした」
はやぶさの偉業を高く評価したつもりなのだろうが、彼女は昨年の事業仕分けの際、同じ口で何を語っていたか。そう、次世代スーパーコンピューターの開発予算が仕分けの俎上にのぼったとき、世界一を目指す研究に対して「2位ではダメなのか」と言ってのけたのだ。
また事業仕分けの結果、はやぶさの後継機開発予算は、文部科学省の要求額17億円に対して3000万円に縮小された。事実上「宇宙開発なんかやめなさい」と宣告されたに等しい。
地球上のそんなやりとりを、はやぶさが知っていたわけではない。が、どこをどう引っくり返しても政治パフォーマンスでしかない事業仕分けの誤りを糾(ただ)すため、はやぶさは執念で地球に帰還したように感情移入してしまうのである。
はやぶさの帰還を受けて、川端文部科学相は「はやぶさの実績が次につながるようにしたい」と述べた。事実上、予算縮小の撤回を示唆した発言だ。
一方、蓮舫行政刷新担当相は「宇宙開発は私は直接担当しておらず、今一度流れを確認している」と仕分けの判断が結果的に誤っていたことの言い訳しか語らず、事業仕分けを統括した民主党の枝野幹事長は「もう少し工夫すれば、少ないお金で同じ効果を上げられるのではないかという議論だった」と、これまた苦しい言い訳に終始した。
科学技術にしろ宇宙開発にしろ、やるからには一番を目指さなくてはやる意味がない。人気取りのパフォーマンスに汲々とする現政権の茶番劇を、はやぶさは「君たちの判断は間違っている」と、身をもって示したのだと思いたい。【了】
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