ただ、攻撃対象を見つけてここぞとばかりに匿名で悪意をぶちまけてきた困った輩はともかく、とくに声はあげないまでも、「おいおい、石原。流行語呼ばわりはちょっと大げさだったんじゃないの」と思っていた方も多かったかもしれません。
その方たちに対しては、今さらではありますけど、頭をかきかきしつつ心を込めて申し上げます。
「えー、そうですか。うーん、そうかなあ。まあいいんじゃないですかね。エヘヘ」
ネットの情報は面白い方向に歪んでいく
大人が捨てたくない「最低限の心得」
古い話を長々と書いてしまってすいません。つい勢いがついてしまっています。すでにけっこうな分量になってしまったので、今回はこのまま「アベする」の話で押し切らせてください。あまり書く機会もないし、ちょうど首相が辞任したばかりでタイミングがいいとも言えるし。
それはそうと、個人的な方向に話が偏りすぎました。ここからは、せっかくの炎上体験を踏まえた上で、どうにかネットマナーにつなげたいと思います。
ネットの大きな落とし穴のひとつに、「広まっている説を真実と思い込みやすくなる」という特性があります。
「アベする」の騒動のときも、いつの間にか「石原壮一郎が朝日新聞に書いたコラムの中で」という説明が“定説”になっていました。私はコラムを書いた覚えはないので、その時点で、元の記事を読んでいないのが見え見えです。
さらに発展して、「石原と朝日新聞は、最初から意図があって『アベする』という言葉を捏造したらしい」という伝聞情報というか、それこそ想像による捏造を元に、何の疑問もなく胸を張って批判する人があふれていました。なんとも恐い話であり、マヌケな話でもあります。
匿名をいいことに強気に書き込んでいる有象無象さんたちだけでなく、プロの表現者の中にも、伝聞情報を元にした批判をしたり顔でかましている人もいました。図らずも己のウカツさを天下にさらすことになって、大変お気の毒な話です。