【ニューヨーク=丹内敦子】国連安全保障理事会は14日、韓国の哨戒艦沈没事件をめぐる「非公式な相互対話」を開いた。2部構成の会合に韓国と北朝鮮の代表がそれぞれ出席し、事件についての見解を表明したが、双方の主張は真っ向から対立した。
韓国側は、軍民合同調査団の尹徳龍(ユン・ドギョン)共同団長のほか米国やスウェーデンなど5カ国の専門家ら計28人が出席。AFP通信によると、収集した魚雷の部品などのビデオを示して調査結果を説明し、理解を求めた。一方、北朝鮮側は申善虎(シン・ソンホ)・国連大使らが出席。会合後、申大使は「我々は、科学的に韓国による調査結果を完全に否定した。今日は我々の立場を明確にした」と記者団に述べた。
日本の高須幸雄国連大使によると、韓国側は「哨戒艦の沈没は、北朝鮮潜水艦から発射された魚雷による攻撃以外に説明がつかない」と強調。北朝鮮側は「我々は被害者だ」とし、沈没現場に北朝鮮の調査団を派遣したいと繰り返したという。
フランスのアロー国連大使は会合後、韓国側による調査結果の説明を評価し、「安保理として強い対応をするべきだ」と述べた。一方、中国はこの日の韓国側の説明で、質問をしなかったという。
議長国メキシコのヘラー国連大使は会合後、事件に「深刻な懸念」を示す「議長所見」を発表。ただ、この問題を安保理で取り扱うことに慎重な中国とロシアの対応が急に変化する可能性は低く、今週から予定される本格協議の行方は不透明なままだ。
韓国政府が派遣した軍民合同調査団代表らによる調査結果の安保理への説明は、先週末になって14日(日本時間15日)開催の見通しになった。だが、その後に北朝鮮も同様の会合を書簡で求めたことから、安保理は急きょ、双方から同じ形式で、個別に説明や見解を聞くことにした。