「NHKは親方日の丸でいいよ」――。
日本代表は14日にカメルーン戦を迎えるが、南アフリカにいる民放スタッフからこんなグチが聞こえてきた。民放とNHKではホテル、機材、スタッフの数など何から何まで待遇面が違うという。
中でも民放スタッフがうらやましがるのが飛行機だ。南アまでは計18時間近い長旅となる。経費削減中の民放はほとんどのスタッフがエコノミークラスの利用を厳命されているが、NHKが派遣した職員73人は全員ビジネスクラスだという。
「エコノミーとビジネスの差は歴然です。例えば最近の全日空はエコノミーの席には新聞も置いてくれませんが、ビジネスなら和洋のコース料理が出るし、ワインも飲み放題。何より、広いベッドシートで羽毛布団をかけてグッスリ眠れます」(旅行代理店関係者)
NHKが利用する航空会社は全日空、キャセイパシフィックなどまちまちだが、往復料金(成田―ヨハネスブルク)でどれくらい違うのか。
全日空の正規料金だとエコノミー32万円に対し、ビジネスは160万円だ。格安チケットを探してもエコノミーが22万円で、ビジネスは54万円。倍以上値段が違う。後者だとしても、NHKは73人で約2300万円の余分な出費になる計算だ。
“全員ビジネスクラス”は本当なのか。NHKに聞いてみた。
「職員の海外出張は、エコノミーの利用を原則としております。ただし、大量の撮影機材が必要の場合、期間が長期にわたる場合などは輸送の安全と経費の効率を考慮し、一部でビジネスの利用を認めることもあります。今回のW杯の取材で全職員がビジネスを利用しているかどうかは公表しておりません」(広報局)
もちろん、これらの経費は皆さまの受信料から払われている。霞が関の官僚だって“事業仕分け”によって、海外出張時のビジネス利用を控える傾向にあるのに、NHKだけは旧態依然なのか。
先ごろ、NHKは一部の受信料の不払い者に強制執行に踏み切ったが、その前にやることがあるといわれても仕方がない。
(日刊ゲンダイ2010年6月14日掲載)