天文学などの研究者に限らず宇宙好きは多いが、世代によって興味を持つきっかけになったできごとが異なることに気づく。50歳代以上なら、土井隆雄宇宙飛行士(55)らもそうだったように、何と言っても米国のアポロ11号の月面着陸の影響が圧倒的だ。
43歳の私と同世代だと、70~80年代に2基の探査機が太陽系の惑星を次々と訪れた米国のボイジャー計画を挙げる人が多い。「コスモス」というテレビ番組にもなり、木星の衛星や土星の輪などの鮮明な画像をわくわくしながら見たのは今でも忘れられない。
小惑星探査機「はやぶさ」が7年の旅を終えて帰還した13日、管制室のある相模原市の研究所は、日曜日の深夜だというのに小中学生も含め数百人の一般市民であふれた。管制室から刻々と届く報告に拍手したり涙を流す様子を、元所長の松尾弘毅さん(71)が「こんなに来てくれて」と感慨深げにながめていた。はやぶさは大気圏で燃え尽きたが、この日見守った子どもたちはきっと将来「はやぶさ世代」と呼ばれることだろう。【西川拓】
毎日新聞 2010年6月15日 12時01分