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【社会】

「RADIO―i」赤字拡大で終了へ 東海唯一の外国語FM局

2010年6月16日 朝刊

 外国語FMラジオ放送局の愛知国際放送(名古屋市)は15日、今年9月末で放送を終了すると発表した。累積赤字が膨らみ、事業継続が困難となったため。今後、放送局の免許を返納する手続きに入り、年内にも会社を清算する方針。東海総合通信局によると、規模の小さなコミュニティーFMを除くテレビ、ラジオ局の廃止は全国初という。

 同社は東海地方唯一の外国語を主体としたFMラジオ放送局として2000年4月から放送開始。「RADIO−i(レディオ・アイ)」の愛称で、愛知、岐阜、三重県、静岡県西部で事業を行ってきた。

 しかし、当初から広告収入が不振で、開局以来純損失が続いた。広告収入の低迷から脱することができず、10年3月期には累積赤字が28億8000万円に達していた。

 同社は「ラジオ広告市場は縮小傾向が続いており、今後も収益改善は見込めないと判断した」と説明している。

 同社は医薬品製造などを手掛ける興和(名古屋市)の子会社。出向者を除いた社員9人は解雇となる見通し。

◆在名ラジオ各局に衝撃

 RADIO−i放送終了の一報を受け、関係者からは驚きの声が相次いだ。同局でレギュラー番組を持つ佐野瑛厘(えり)さんは「ショックです。この世界で働く身としては今後、ラジオ業界がどうなってしまうのか不安」と危機感を募らせた。

 在名のラジオ局にも衝撃が走った。ZIP−FMの担当者は「前から厳しい状況と聞いていたが、免許返上という事態はありえないと思っていたので驚いた。名古屋のラジオ局5局が一緒になって、ラジオの魅力を伝えてきたので、その仲間がなくなるのは本当に残念」と惜しんだ。FM AICHIの武藤久夫編成事業部長は「防災や生活情報の発信の担い手がなくなることは誠に残念」。東海ラジオの担当者は「ラジオ業界はテレビや通信分野のデジタルの変革により、非常に厳しい環境にある。当社としてもラジオ全体の活性化のために全社一丸で臨みたい」と述べた。

 一方、ポルトガル語での放送もあったRADIO−iは、ブラジル人にとっても母国語で情報を得る上で貴重だった。愛知県小牧市の日系ブラジル人3世、大島ユミさん(39)は「何とか続けてほしかったけど」と話した。

 【愛知国際放送】 1999年8月設立。現在は日本語、英語、ポルトガル語、タガログ語など6カ国語でニュース、音楽、トーク番組を放送している。当初、東海地方の企業20社以上が出資していたが、2008年に興和の100%子会社になった。10年3月期の売上高は6億5000万円、純損失は2億1000万円。

 

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