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VS阪急、若者狙え…梅田百貨店戦争

三越伊勢丹・「かわいい」服・雑貨/大丸・カジュアル店誘致

阪急や大丸など大手百貨店が立ち並ぶJR大阪駅周辺(大阪市北区で)=永井哲朗撮影

 大阪・梅田で2011年春に「百貨店戦争」が始まるのを控え、新規出店するJR大阪三越伊勢丹の店舗概要が9日、明らかになった。若い女性向けの衣料品・雑貨や若手芸術家の作品を売るコーナーが目玉で、これまで百貨店に来なかった若者らを取り込む狙いがある。増床する大丸梅田店も、同様の狙いからカジュアル衣料品店などを入居させる方針で、“高級路線”で先行する阪急百貨店梅田本店を追撃する構えだ。

 三越伊勢丹が目玉とする若い女性向けの売り場「イセタンガール」は、「かわいい」をコンセプトとした衣料品や雑貨を集め、流行に応じて頻繁にブランドを入れ替えるのが特徴だ。同社の旗艦店である伊勢丹新宿店(東京)の地下2階にあり、従来の百貨店のイメージを変える売り場として人気を呼んでいる。

 また、絵画や美術品を得意とする三越のノウハウを生かし、関西の若手芸術家の作品を集めたギャラリー「アート解放区」を開設。2フロアを占める、関西の百貨店としてはトップクラスの紳士服・雑貨売り場も作る。

 伊藤達哉・開業準備室長は、「三越の高級感と、流行に敏感な伊勢丹の持ち味を生かした店舗にしたい」と話す。

 一方、大丸梅田店の増床分には、10〜12階に雑貨大手の東急ハンズ、13階にカジュアル衣料店が入る計画で、人気の「ユニクロ」の誘致が検討されている。14階のレストラン街には、仕事帰りのサラリーマンやOLをターゲットとした居酒屋もできる。

 村田荘一店長は「これまで百貨店で買い物をしていなかった人が来店し、(下の階に下りて買い物をする)シャワー効果が期待できる」と力を込める。

 両店の店舗戦略の背景には、年間売上高が大丸の2倍以上で、梅田地区の百貨店としては圧倒的な力を持つ阪急への対抗意識がある。このため、大丸が三越伊勢丹のアート解放区に配慮して常設の美術画廊を廃止するほか、駅ビルの共有スペースでイベントを開くなど“共同戦線”も張る。

 これに対し、増床完了が約1年遅れとなる阪急は、客の購入履歴を分析してブランド入れ替えなどを進める方針。同じグループの阪神百貨店梅田本店は増床の予定がない。阪急阪神百貨店の新田信昭社長は「極端に客層を広げることはせず、既存顧客をつなぎとめることを重視する」と、現在の戦略に自信を見せている。

大阪・梅田の百貨店戦争 2011年春に、地上28階の「JR大阪駅新北ビル」の地上10階〜地下2階で三越伊勢丹が開業するほか、駅南側にある大丸の売り場面積が現在の約1・6倍に増える。12年春には、阪急百貨店の増床工事が完了。増床計画のない阪神百貨店を加えた4店の売り場面積は計約25万平方メートルとなり、開業・増床前の1・6倍に拡大する。
2010年6月9日  読売新聞)

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