郷原 やはりいろんなことに詳しい新聞記者もいます。あの水谷建設の元会長が、佐藤氏の公判で供述をひっくり返したということも、私はある新聞記者から聞いたのです。
それは間接的な話だったので、直接、控訴審の法廷を傍聴していた福島の雑誌の編集長に電話をして、どういう話だったのか、水谷建設の元会長がどういう話をしたのか聞いたんです。そうしたら、要するに水谷建設の元会長の供述であの事件は組み立てられていた。先程も言ったように1億7000万円高く買ったと。
それに基づいて一審は佐藤さんが有罪になっていた。
田原 罰金(刑)を貰った。
郷原 ええ、賄賂額は減りましたけれど、一応収賄で有罪と言うことになっていたんです。
田原 うん。
「ウソの証言」を告白した水谷建設元会長
郷原 ところが控訴審になってから水谷建設の元会長が弁護人の宗像さんの側に、「実は自分は嘘をついていた。嘘をついていたということを法廷で今度は話してもいい。ちゃんと真実を話してもいい」と、わざわざ連絡してきたというんです。
そのことを宗像さんたち(佐藤氏の)弁護団が書面にまとめて、「こういうことを言ってきたから、是非それを再度、控訴審で水谷建設元会長を証人に呼んでくれ」と強く求めたらしいんです。
ところが裁判所はそれを証人に呼ばなかった。
田原 それはおかしいね。
郷原 それで一審の証言をそのまま採用して、一応有罪判決は書いたわけです。ただ金額はさらに土地の価格についての認定が落ちてしまって、賄賂額はゼロになってしまった。
田原 賄賂額がゼロで有罪なんてあるんですか?
郷原 本当は水谷建設の元会長をもう一回証人に呼んで、本当のことを聞かなきゃいけなかったんです。すごく中途半端な判決になっているんです。いずれにしてもそういうことで、自分のほうから「嘘をついた」と言い出した。それを宗像さんは聞いているわけです。
田原 さてそこなんですが、検察は当然そのことを知っていますよね。東京地検特捜部は。
郷原 知っています。
田原 なのに、水谷建設の5000万円、5000万円がキーワードみたいになった。なんで嘘つきだと分かっていながらそこに・・・。
郷原 私も検事時代に経験があるんですけど、やっぱりそういう事件の関係者って嘘つきが結構いるんですよ。
田原 なるほど。
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