原子力学会誌の8月号がきていたので、私的な解説をしてみる。 おお、巻頭言が外国人だ。世界原子力協会(WNA)の事務総長のジョン・リッチ氏だ。 WNAって何だっけ。原子力百科事典ATOMICAで調べてみた。1975年の創立だから相当古い。しかも非政府系組織で原子力産業の情報収集や情報交換を行っている組織とある。知らないものだなあ。この人が言わんとしていることは何か。最近原子力が見直されている。グローバルな原子力ルネッサンスときた。 まあ、要するに新エネルギーの開発が思うように進まないので、ここに来てまた原子力に頼ろうという気運である。世界的に見てそうなのであろう。アメリカも最近カーター政権の再処理放棄路線を転換しようとしているようである。GNEP(グローバル原子力エネルギーパートナーシップ)という構想を提案して核拡散防止と原子力発電を両方とも行う一石二鳥のアイデアのようである。でも絵に描いたモチになるかもしれない。 ニュースで植物が紫外線に強くなる仕組を発見したとのこと。まあ平たく言えば、放射線を植物に当てて、紫外線に強くなる植物にしたということらしい。DNAの放射線による修復機能を増強したらしい。普通放射線が当たると、目に見えない「ヤケド」をするものだが、今回は「ヤケド」でDNAの構造が変化したようなのだ。まあ、放射線の工業利用としては好ましいニュースだ。 東海発電所の廃止措置に伴い、クリアランスの認可を初めて申請、というニュースがあった。これは一般の人にはほとんど聞いても「何?」の用語である。廃止措置はまあわかるだろう。原子炉が古くなったから壊すぞ、ということだ。始末するわけだ。でも始末といっても廃家電の始末とはわけが違う。東海の原子炉をスクラップにすると出るゴミの量が約20万トンあるらしい。そのうち、「放射性でないとする」ゴミの量が約70%。この「放射性でないとする」というのは非常に低い放射能の汚染は一般ゴミと同じような扱いができる。厳密にはそうではないが、おおよそそうである。まあ、今後あちこちの原発のスクラップ問題のパイオニアとも言えるものであるが、一般の人のあまりよく知らないところで決めている感じがするなあ。 原子力安全委員会が教科書の原子力の記載状況を調査したらしい。チェルノブイリやJCO臨界事故で語られることが多いようである。真実は隠さず記載した方がいいだろう。それだけの危険性を秘めているし、また放射性廃棄物問題は現在の人間の安楽のための次世代以降の人間への負の遺産であることも肝に銘じておかないといけない。原発を動かすとそれだけ、核のゴミは増え続けるのである。この辺を果たしてどこまで正確に説明しているか疑問である。 原子力の将来になぜ男女共同参画が必要か、というテーマで今年の春の学会で議論したらしい。原子力も他の産業と同様女性が少ないが、これはいいと思う。基本的に放射線を浴びると「ヤケド」するので、子どもを生む女性が原子力の現場で働くと「ヤケド」して子どもに悪い影響がでる可能性が高くなるからである。放射線は細胞が活性化しているところではダメージが大きい、すなわち細胞分裂の多い胎児期には一番放射線のダメージを受ける。(ベルゴニートリボンドーの法則) だから、原子力産業では女性は少なくてよい。ちなみに宇宙線を浴びやすいスチュワーデスさん等も職場環境としてはよくないと思っている。 シニアネットワーク連絡会が発足されたらしい。原子力産業も高齢化しており、技術の継承等他の産業と同じ問題を抱えている。また、2007年の団塊世代の定年問題も関連があるだろう。だから、力を結集していこうというものである。簡単に言えば、年寄りのいうことを聞け、ということであろう。私が若ければ、何を言っているんだ、年寄りの冷や水、と言いたいところだが、いかんせん私も50代。定年は目前。生きがいはどうなるんだ。「会社命」の人間の多い年代であり、周りにもゴロゴロいる。こうした人間と同じく生きがいの喪失にならないように、今から生きがいの構築にいそしむ必要はあるなあ。 他に編集委員会のメンバー紹介が顔写真付で出ている。私が知っている人間も何人かいる。彼らは一応この原子力村では名士なんだろうなあ。「友が皆、我より偉く見ゆる日よ」というところか。でもまあ仕方ない。能力は人それぞれ。自分に見合った生きがいを探していければそれでいい。「ケセラセラ。」「明日できることを今日やるな。」「できることを少しずつやる。」「無事、これ名馬」 うーん、いい言葉だ。 |
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