法科大学院協会総会
6月12日,法科大学院協会の総会が学習院大学で開催された。全法科大学院が加盟して,法科大学院をめぐるさまざまな問題を検討する組織である。毎回,最初に文科省の担当者が法科大学院をめぐる状況について挨拶をする。いつも他人事のような報告なのでおもしろくないが,近年ますます気に入らない。受験生数が激減しており法科大学院によっては,競争率2倍を切るところも出ていること,合格率が20%を切る法科大学院も散見されること,昨年中教審のワークグループが指導重点校を公表したが,今後とも,各法科大学院は競争率の維持,合格率の維持に努力してもらいたいというような趣旨の報告がなされている。
受験生数の減少は,結局,法律家を目指そうとする人が減っているということにほかならない。なぜ減少しているのか。文科省・法務書をはじめとした国,日弁連などが,新しい法曹要請制度に対してネガティブキャンペーンをしてきた効果であることは,誰の目にも明らかである。その集大成が昨年公表された重点校であろう。なぜ,競争率2倍を切り,合格率20%を切ると,その法科大学院に問題があるということになるのだろうか。数値の根拠はまったく示されていない。そのまま公表すれば,レベルの低いマスメディアがどのような報道をするかは分かっていたはずである。競争率の減少は,すでに述べたように,個々の法科大学院に問題があるのではない。また,合格率が70%に達しないのも,学生数と合格者数から自動的に算出される結果論にすぎない。制度的欠陥を個々の法科大学院の責任であるかのように公言する組織は,まともな仕事ができるのかと疑問をもたざるをえない。
それはともかく,興味深い話を聞いた。
日弁連は,修習生の給費制復活を要望しているが,これは,合格者数1500人との交換条件になっているとの見解である。もし,本当ならとんでもない話だ。うかつに,給費制を支持するわけにはいかないだろう。もっとも,定員とは切り離して考えることができるという見解もあるから,合格者数と給費制の両方を主張するのであれば,おおいに歓迎すべきであるが,これは理想論かもしれない。