2010.05.28 Web posted at:  19:01  JST Updated - CNN
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希望求めた21歳の死 中国工場で相次ぐ自殺

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台湾系大手電子機器メーカー富士康の工場で作業をする従業員ら

(CNN) リアン・チャオさん(21)は5月14日、工場の寮の7階から転落して死亡した。農家に生まれ、より良い生活を求めて都市部に移転。経済発展にわく中国南部の広東省深センで見つけたのは、米アップル、ヒューレットパッカード(HP)、デルといった大手の部品製造を請け負う台湾系大手電子機器メーカー「富士康」の工場の仕事だった。

フォックスコン従業員の転落死は、リアンさんで9人目だった。深セン警察は自殺として扱い、フォックスコンの広報は「警察によると、9人のほとんどは、精神や健康にかかわる個人的問題を抱えていた」と話す。

リアンさんの死の数日後、別のフォックスコン従業員が工場の建物から転落して死亡した。国営メディアの報道によれば、過去5カ月で10人が死亡、2人が自殺未遂を起こしている。

フォックスコンは世界最大級の電子部品メーカーで、中国本土の従業員80万人のうち、42万人が深センの工場で働く。自殺が相次いだ原因は今のところ不明だが、従業員の待遇はいいと同社は強調し、背景には多数の要因があるようだと説明する。現在従業員の心理状態を分析し、問題の根本を突き止めようとしているという。

「従業員が1日24時間、毎日同じ場所にいるのは事実だ。若い従業員の中には同僚と交流もせず、同じ寮に住むのに名前さえ知らないというケースもある。携帯電話やコンピュータの娯楽を好む者もいる。多くは地方出身で、都市の生活に馴染むことがもう1つのハードルになっている」(広報)

こうした実態の改善に向け、同社はレクリエーション活動を組織したり、僧侶を招いて相談に乗ってもらったり、24時間相談を受け付けるヘルプラインを設置するといった対策に乗り出したという。ヘルプラインの記録を調べたところ、1カ月で30人以上の自殺防止に役立ったことが分かったといい、「大部分は感情的問題や個人的事情、家族の貧困絡みだった。上司に怒られて落ち込んでいるという相談もあった」(広報)としている。

「中国本土で20年操業しているが、こんなことは今までなかった」(広報)というフォックスコンの自殺問題を、学校や幼稚園で子供たちが殺される事件が相次いだことと結びつける見方もある。

同国西部の陝西省で5月11日、刃物を持った男(48)が幼稚園に侵入し、園児7人と女性2人を刺殺して自殺する事件があった。その前にも同じような事件が相次ぎ、うち5件は学校で発生して子供15人を含む17人が死亡している。

フォックスコン従業員の死も子供たちが殺害された事件も、問題を抱えた人たちが助けを求める場所がないことの表れではないかと専門家はみる。

中国では精神衛生問題への対応が整っておらず、北京自殺調査予防センターの統計によると、2005年に精神疾患を抱えていた成人1億7300人のうち、約91%は専門家による治療や助言を受けていなかった。

香港大学のメイ・ラム准教授(心理学)は「中国は統制が厳しく、自分の考えが表現しにくい。デモ活動は奨励されないため、不満を訴えたり、自分の考えや怒りを表したりする手段を見つけるのが難しいと感じている」と分析している。

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