北海道教職員組合(北教組)による小林千代美衆院議員(北海道5区)陣営への不正献金事件で、政治資金規正法(企業・団体献金の禁止)違反の罪に問われた北教組委員長代理の長田秀樹被告(50)に対し、札幌地裁は14日、禁固4月、執行猶予3年(求刑・禁固4月)の判決を言い渡した。
園原敏彦裁判長は「資金提供を求められた際に適法性を検討した形跡はうかがわれず、(小林氏当選の)目的実現のために違法性に目をつぶった」と述べた。
団体としての北教組には求刑通り罰金50万円とした。被告側は控訴しない方針で、一連の北教組事件の裁判は終結する見通し。
長田被告は公判で起訴内容を認めて謝罪する一方、献金は北教組の裏金ではなく、緊急時に使う「対策費」から捻出(ねんしゅつ)したと説明。出金の具体的手続きなどは「知らない」などと供述していた。
判決は、献金について「政治資金の透明性を高める法の趣旨を没却するもの」と指摘。そのうえで長田被告が逮捕された際に北教組が出した「不当な組織弾圧」とのコメントが誤りだったと公判で認めたことなどを考慮し、執行猶予を付けた。
判決によると、長田被告は09年7月、小林陣営の元会計責任者、木村美智留被告(46)に選挙資金として現金400万円を渡した。木村被告はほかに北教組委員長(09年6月に死亡)からも3回にわたって計1200万円を受け取り、9日の札幌地裁で禁固6月、執行猶予3年(求刑・禁固6月)の判決を受けている。
北教組は判決を受けて「今後このような事件を二度と起こさないことを決意する。事件の反省に立ち、厳格な業務の執行に努めるとともに、教育政策の要求実現のための政治活動のあり方などについて組織的に議論を深めていく」とのコメントを発表した。【久野華代】
毎日新聞 2010年6月14日 東京夕刊