広島・松田元(はじめ)オーナー(59)が14日、代打の切り札として勝負強さを見せる前田智徳外野手に「あと3年やれる!」とゲキを飛ばした。この日、39歳の誕生日を迎えた打撃の職人に“3年保証”のバースデープレゼントだ。これに対し、前田智も「まだ上がいる」として“40歳代現役”に執着心を示した。
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39歳になったとはいえ培ってきたものが違う。根性が違う。そして技術が違う。松田オーナーはそんな打撃の職人に“3年保証”のバースデープレゼントを贈った。
「代打に絞れば、あと3年は楽にやれる。技術的に全然違う。前田と石井がいて、どれだけチームが勇気づけられるか。体はボロボロでも、いいものを持っている」
昨季こそ下半身の度重なる故障でプロ入り初の1軍出場ゼロに終わったが、今季は代打で、DHで、天才打者のバットが健在であることを証明し続けている。
4月16日・中日戦(マツダ)では九回、代打でサヨナラ打。5月21日・ソフトバンク戦(ヤフー)では、DHに入りトドメの2号2ラン。10日・ロッテ戦(千葉)でも、九回に代打で登場し、同点二塁打。走者を背負っての打席は無類の勝負強さを発揮する。
43打数12安打、打率・276、12打点、2本塁打の成績は完全復活と言っていい。下半身に爆弾を抱え、走塁面で不安は残すが、松田オーナーや野村監督も“切り札”として信頼は厚い。
前田智本人にとっても39歳は単なる通過点に過ぎない。「まだまだ上の年齢でプレーされてる方がいますから。刺激はないです。早く40歳になりたい」とポツリ。チーム内でも、高橋が41歳、石井琢が今年40歳。他球団の野手を見ても楽天・山崎、阪神・金本らが40歳代で活躍を続けている。
大台の40歳があと1年となっても関係ない。「まだまだ上がいる」‐の言葉は、前田智流の、“40歳超え現役は当然”との強い意欲だった。
借金9ながら、3位・中日とは4ゲーム差。同オーナー「2位までに入らないと。ここ(マツダ)のお客さんに喜んでもらえない」と、2位以上を厳命。そのチームはこの日、東京から移動し、休養日に充てた。
「歩くのがやっとなんでね」と前田智は言うが、18日から再開するリーグ戦に向け、代打一本、通算2083安打の職人のバットは欠かせない。