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【サッカーW杯 2010南アフリカ大会特集】

【日本1勝】カメルーン戦は「今大会最大級の番狂わせ」

【サッカー】

2010年6月15日 掲載
 W杯南ア大会は当地の14日、1次リーグE組の日本代表がカメルーン代表と対戦し、1―0で勝ち白星発進した。日本は海外開催のW杯で初勝利。1次リーグの初戦で勝ったのも初めて。同じE組のオランダはデンマークを2―0で下し、連覇を狙うF組のイタリアはパラグアイと1―1で引き分けた。

「今大会最大級の番狂わせを演じた」――。サッカーの本場、ドイツのDPA通信が配信したように、世界は日本の勝利にビックリ仰天だ。
 FIFA世界ランク45位の日本のこの日の相手は同19位のカメルーン。
 前半39分、松井の右サイドからのクロスに、ゴール左前に詰めていた1トップ起用の本田が左足インサイドでボールを押し込み先制ゴール。
 この貴重な虎の子の1点を守り抜き、勝ち点3を挙げ、得失点差でオランダに次ぐE組2位につけた。4大会連続出場の日本が、国外のW杯で勝利したのは初めて。本大会直前の強化試合で4連敗(1得点9失点)とボロボロ状態だった岡田監督も久々に生き返ったように先制点に派手なガッツポーズを見せた。
「やはりカメルーンは個々の技術や体力が高く、タフなゲームだった。選手は集中力を切らさないで頑張ってくれた」(岡田監督)と喜色満面。まさかの白星発進にスポーツマスコミは、「1次リーグ突破が見えた」「日本勝った」と大騒ぎだ。
 カメルーンのW杯最高成績は1990年伊大会のベスト8。「不屈のライオン」の愛称を持つアフリカ強豪国で、世界屈指のストライカー、エトー(インテル)などイタリア、ドイツ、イングランドの欧州強豪クラブで活躍するメンバーで構成される。だが、この日のカメルーンは明らかにおかしかった。

●内紛で主力スタメン落ちのカメルーン
 ノンフィクションライターの田崎健太氏が「日本が勝ったというより、カメルーンが自らの首を絞めたという言葉がピッタリ」とこう続ける。
「カメルーンにはパスも連動性もなく、FWエトーにボールが入らず、最強ストライカーを生かすという意図が見られなかった。チーム戦術ゼロで、こんなに弱いカメルーンを見たのは初めて。あまりにも弱すぎてガッカリ。本田のゴールシーンも相手DFの初歩的なミスで、あんな失点は普通ではあり得ない」
 サッカーライターの平野史氏はこう指摘する。
「カメルーンの弱点はかねて左サイドだと指摘されていた。選手がボールを追いすぎて注意力が散漫になると、背後のカバーがおろそかになりがちになるというもろさがあった。ルグエン監督もシステムの欠陥を理解していたが、本大会までに修正しきれずに失点につながった。そんなカメルーン相手に日本もあまりチャンスをつくれなかった。結果オーライでしたね」
 カメルーンのスタメンは“飛車角落ち”というお家事情もあった。
 不動の守護神GKカメニ(代表54試合・エスパニョール)に代わって出場したGKハミドゥは36歳ベテランGKだが、アフリカ予選は1試合も出場していない。
 さらに攻守のキーマン、守備的MFのA・ソング(代表22試合・アーセナル)はケガでもないのにスタメン落ちさせられた。代役は18歳のMFマティプ。この日の日本戦がなんと初の代表試合だったのだ。
 代表29試合6得点のイドリスも、代表33試合5得点のエマナも先発FWに名を連ねなかった。先発したCFのチュポモティングはヘディングが得意の身長190センチストライカーだが、やはり初めての国際舞台だった。
 戦力ダウンを承知の上で若手を積極的に起用したのも、W杯前に大黒柱FWエトーとルグエン監督の不仲説が取りざたされたことと無関係ではあるまい。
「ルグエンが普段、母国フランスに住んでいることにエトーは“代表を指揮するならカメルーン国内に住むべき”と手厳しく批判していた。もともと傲慢な性格で“上から目線”のルグエンに反感を抱いている選手は少なくない。さすがにエトーは外せなかったが、A・ソングやカメニなど反ルグエン派の連中はごっそりスタメンから外されたようです」(専門誌記者)
 一時は不出場が噂されながら先発出場したエトーだが、右サイドに張り付いてほとんど見せ場がなかった。前後半に各2回ほど持ち味の突破力を見せたが、結局90分間にわたって“ピッチの上で遊んでいた”も同然の手抜きプレーだった。
 試合後はミックスゾーンでゲラゲラ笑っている選手がいるなど敗戦ショックはゼロ。そんなカメルーンから日本は1点しか奪えなかったのだ。
~2010年6月15日以前の記事~