[7・11参院選]過去にない「ねじれ」が

2010年6月14日 09時55分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(34時間32分前に更新)

 参院選が24日公示、7月11日投開票の日程で実施される見通しとなった。

 郵政改革法案の今国会での成立を見送った民主党に反発し、国民新党代表の亀井静香金融・郵政改革担当相が辞任したものの、政権離脱することはなく会期は1日だけ延長する方向となったからだ。

 今週の国会閉会とともに、一斉に選挙戦に走りだすことになるが、普天間問題を抱える沖縄選挙区(改選1)の構図は分かりづらい。

 民主党県連、自民党県連とも県内移設か県外・国外移設かをめぐって党本部とねじれているからである。

 候補者、特に民主党県連は日米合意をどのようにして見直させるのか、具体的な道筋を示すことができなければいくら反対を唱えても説得力を持つことはできないだろう。

 ねじれは、元はといえば、鳩山由紀夫前首相が「最低でも県外」との公約を破り、辺野古回帰したからだ。

 菅直人首相は所信表明演説で「日米合意を踏まえる」と鳩山氏を引き継ぎ、辺野古移設を変更する考えはない。

 民主党県連は沖縄選挙区に那覇市議の花城正樹氏の擁立で最終調整しているが、党本部には慎重な意見もある。

 同県連代表で全国比例区に出馬する喜納昌吉氏は一貫して「県外・国外移設」を訴えており、鹿児島県・徳之島への訓練移転についてもノーと明確だ。民主党本部とどう整合性を図るつもりなのだろうか。花城氏も出馬となれば同じ問題を抱えることになる。

 辺野古移設は自民党政権時代に日米合意した。名護市、県とも現行案に賛成していなかったが、自民党は移設作業が進んでいたのに混乱させた、と言って鳩山氏を批判する。地元に大きな期待を抱かせながら、県外・国外を実現することができず、沖縄との信頼関係を壊してしまったと批判しているのである。ピンぼけの批判と言わざるを得ない。

 谷垣禎一総裁は昨年、鳩山氏に、1月の名護市長選の争点になるのを避けるため年内に決めるのなら、協力を惜しまないと進言したことを明らかにしている。移設先を沖縄に押し込めるという点ではどっちもどっちだ。

 沖縄選挙区の自民党公認で現職の島尻安伊子氏は県外・国外を訴えている。初当選した3年前と状況は変わったという認識からだ。頭越しの日米合意に「見直しを求めていく。辺野古は無理だ」と強調し、こちらもねじれている。

 移設反対の稲嶺進名護市長の誕生、県内移設に反対し県外・国外を求める意見書の与野党全会一致での可決、4・25県民大会など、沖縄の政治状況はもう後戻りできない。

 鳩山前政権の迷走は、県政野党の共闘態勢にも影響を与えた。普天間問題で連立を離脱した社民党は山城博治氏、共産党は伊集唯行氏の擁立を決め、統一候補を立てることができなかった。幸福実現党は金城竜郎氏が出馬する。

 候補者は公約実現の具体的なシナリオを提示する必要がある。特にねじれの候補者はそうしないと、有権者は選択する基準が持てなくなる。

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