技術世界一でも国際市場の9割が海外メーカー
首相がトップセールスしないから世界一の新幹線・リニアが海外で売れない
(SAPIO 2010年5月26日号掲載) 2010年6月10日(木)配信
「日本株式会社」を
早急に組織せよ
トップセールスの欠如とともに、私が中国での体験から日本の弱点だと痛感したのは総合力不足である。
高速鉄道を建設し、運行するには単に鉄道関連技術だけでなく、土木、建設、機械、電気、IT、マネジメントなど多分野にわたる技術が必要である。発注側からすれば、そうしたものの全てを一括して提供してくれる方がありがたい。そこで、私が以前から提唱しているのが「日本株式会社」の設立である。
鉄道版ならば鉄道関連企業に加え、先に書いたような周辺産業や商社、さらにはJBIC(国際協力銀行。株式会社日本政策金融公庫の国際金融部門で、外国政府などが日本から輸入する際、融資を行なう)なども株主となったオールジャパンの株式会社、あるいはそうしたメンバーが会員となった財団法人を設立する。そして、そこがフィージビリティスタディ(事業の可能性の検証)から始まり納入後の保守点検に至るまで一括受注することを目指す。こうした態勢をいち早く確立すべきだ。世界の鉄道市場でこれまで日本企業のシェアが低かった一因は、個別に受注を目指し、その結果、単なるサプライヤーにとどまっていたことにある。
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