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技術世界一でも国際市場の9割が海外メーカー

首相がトップセールスしないから世界一の新幹線・リニアが海外で売れない

SAPIO 2010年5月26日号掲載) 2010年6月10日(木)配信

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トップセールス不足で
出遅れる日本

 だが、現実には、過去の実績ではドイツのシーメンス、カナダのボンバルディア、フランスのアルストムの「ビッグ3」だけで世界の鉄道事業市場の60%近くを占め、日本の2強である日立製作所、川崎重工業でもシェアはわずか数%にすぎない。そして、これから拡大する商戦でも日本は明らかに出遅れている。

 例えば、アメリカのオバマ大統領は今年1月の一般教書演説で高速鉄道計画についても言及し、アメリカ自らが競争力を持たねばならないと述べた後、こう続けた。「ヨーロッパや中国が最速の列車を持たねばならない理由はない」。鉄輪式で有人試運転の世界最高速度記録を持つフランスのTGV、鉄輪式・リニア式双方の営業運転で世界最高速度を誇る中国の高速鉄道を思い浮かべての発言だが、オバマ大統領の念頭に日本の新幹線はなかった。アメリカにはJR東海が熱心に売り込みをかけ、昨年、葛西敬之会長が運輸長官と会談しているにもかかわらずである。オバマ大統領の誕生以降、米中が頻繁に首脳会談を行なう一方、日本の首相の存在感は薄い。そうしたことが高速鉄道の売り込みにも影を落としている。先のGW期間中に前原国交相が鉄道会社や車両メーカーのトップを引き連れてアメリカを訪問したのは、こうした遅れを取り戻すためだ。だが、官民一体となった売り込みではドイツ、フランスなどが先行しており、日本は1路線も受注できないのではないかという悲観的な見方すらある。

 ブラジルに対しても、フランスのサルコジ大統領は一昨年、昨年と2年連続で、韓国の李明博大統領も一昨年、企業経営者の団体を連れて訪問し、自国の鉄道システムを売り込んだ。とりわけこの2国はトップセールスに熱心である。日本も一昨年、当時の麻生首相がブラジルを訪問したが、鳩山政権になってからは今年1月にブラジルのルーラ大統領に首相の親書を送っただけで、実質的には三井物産、三菱重工業などによる企業連合だけで受注活動を行なっている。間もなく入札が行なわれる予定だが、相手が親日国家とはいえ、今の状態では行方はどうなるかわからない。

 高速鉄道のような国家プロジェクトの場合、大統領や首相によるトップセールスが大きくものを言う。一般消費財ならば「安くていいモノ」が売れるが、国家プロジェクトにその神話は通用せず、トップセールス次第で「高くて悪いモノ」も売れてしまう。日本の出遅れの原因のひとつは、そのトップセールスが不足していることである。

 高速鉄道と並ぶ日本の二枚看板のひとつ、原発の受注をめぐり、昨年から今年にかけて、アラブ首長国連邦アブダビ首長国のプロジェクトで韓国に、ベトナムのプロジェクトでロシアに負けたのは象徴的な例である。鉄道で同じ轍を踏んではならない。

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