対策費国が全額負担 衆院委で農相考え

(2010年6月15日付)

 本県の口蹄疫問題に関し、山田正彦農相は14日の衆院農林水産委員会で、口蹄疫対策特別措置法の施行に伴うワクチン接種後の予防的殺処分などの費用を全額国庫負担とする考えを示した。負担の詳細を定める特措法の政令は18日に閣議決定される見通し。

 対策費について古川禎久議員(自民党・無所属の会、宮崎3区)が「菅直人首相は万全を期すと言うが、満額出すとは言っておらず財政当局に不安がある」と態度を明らかにするよう求め、山田氏は「全額を国でみるのは間違いない」と答えた。

 これに関連し川村秀三郎議員(民主党・無所属クラブ、同1区)が政令の検討状況を質問。佐々木隆博農水政務官は「費用負担について農水、財務、総務の政務官で詰めており、大臣の了解を得て18日の閣議で決定したい」と述べた。

 今後の感染の広がり次第で変わってくるが、政府は現時点での予算規模を600億〜700億円程度と見込んでいる。特措法の施行に伴う経費は、予防的殺処分への補償のほか、農家の求めに応じて県が実施することになった埋却の費用が含まれる。これらの費用について特措法は「国は全部または一部を負担する」と定めている。県は予防的殺処分だけで対象の牛や豚に対する補償が400億円程度に上るとみており、全額国庫負担を強く求めていた。

 このほか、川村氏はワクチン接種による殺処分に家畜共済の共済金が支払われないとの懸念があることを指摘。山田氏は加入農家に掛け金を返還する方針を明らかにした。

 江藤拓議員(自民党・無所属の会、同2区)は写真判定と遺伝子検査(PCR)の結果が異なる際の扱いを問い、山田氏は「PCRが陰性でも全額補償する」と答えた。