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女性国際戦犯法廷の愚かさ

 


はじめに

女性国際戦犯法廷とは、2000年12月7日から12日にかけ、東京・千代田区の九段会館で行われた集会のことである。 これは、左翼による謀略であった。

以下は、主催者である「VAWW-NETジャパン」による「女性法廷の目的」の説明である。

「慰安婦」制度という日本軍性奴隷制が女性に対する戦争犯罪であった真相を明らかにします。被害女性たちの尊厳を回復し、日本政府に戦争責任・戦後責任をとらせる手がかりとし、性奴隷制や強かんなどの戦時・性暴力が今後世界各地で繰り返されないよう、女性の人権が尊重される平和な新世紀を創ることです。 [6]

そして、同団体はこの法廷には以下の意義があると主張している。[6]

1.日本軍性奴隷被害者に正義と尊厳を
2.戦時・性暴力不処罰の循環を断ち切る
3.国境を越えた女性の力で開く民間法廷

以下は、法廷で規定している「加害国」と「被害国」のリストである。[6]

加害国   日本   VAWW-NETジャパン (代表 松井やより)
被害国   韓国   挺身隊問題対策協議会 (代表 尹貞玉)
    フィリピン   女性の人権アジアセンター
    中国   上海慰安婦研究センター
    台湾   台北市婦女救援社会福利事業基金会
    北朝鮮   「従軍慰安婦」太平洋戦争補償対策委員会
    インドネシア   インドネシア女性連合

当然加害者に加わるべき中国が被害者リストにのみ載っているところからしても、この法廷は偏っていると言える。又、日本人女性を散々レイプしたソ連兵が加害国にないことも不思議である。

以下、この法廷に関して、実際はどうであったのか見ていくことにしたい。


日本軍に性奴隷制度は存在せず

 法廷の趣旨とは反して、日本軍には、一部で非難されているような「性の奴隷」は存在しなかった。 外地において軍人を相手にした商売女は、業者によって引き連れられていた。 その業者の中には、女性や親を騙して慰安婦にしていた業者もいた。 だが、軍や警察といった公権力機関が、女性を拉致して慰安婦にしたという証拠は、今日まで一つも発見されていない。

「国際戦犯法廷」を催した女性たちが指す「日本軍性奴隷制」というのは、民間の業者が軍隊の近くに遊郭を設け、軍がそれを歓迎したということにすぎなかった。
(中略)
高い収入によって魅せられたのであれ、業者によって騙されて慰安婦になったのであれ、その不幸な境遇には同情させられる。だが、慰安婦となることを強いられたという元慰安婦が、全員そうだった、ということは信用できない。[3, P58]


女性国際戦犯法廷の開催理由

以下は、法廷の開催理由を示すものである。 これは、法廷に先立って行われた「日本軍性奴隷制を裁く - 『女性国際戦犯法廷』に向けて」というシンポジウムにおける発言である。

 (前略)この法廷は、誰がどこで何をしたかを明らかにし、慰安婦制度について決定権を持って関わった人を対象に、その責任の重要性について問うものだ。(中略)
 現在も、女性に対する組織的性暴力は武力紛争下などで行われているが、もし、第二次世界大戦後、徹底的に日本が審判を受けていたら、現在、組織的性暴力はなくなっていたのではないか。(中略)アジアの多くの国々が憂慮するのは、日本が日中戦争及び太平洋戦争を起こしたことに反省する気配がない点だ。(中略)日本政府は、50年前、肉体を犯し、50年後の今は、精神を侵している。[1, P123]

徹底的に「自虐史観」である。「日本が審判を受けていたら、現在、組織的性暴力はなくなっていたのではないか。」という言葉には正気を疑うものがある。

理屈をつけてはいるが、要は「憎い日本を断罪したい」ということであろう。
自虐史観による法廷の完結は、以下の、とある方の発言に凝縮されている。

 千人以上もあつまった会場で国際的に著名な法律家4人が天皇ヒロヒトを有罪と判断した。
(中略)
 判決のこの部分が読み上げられた瞬間はなんと晴れ晴れしいものであったか。もしその場にいなければ想像できない喜びだと思ってしまう。 あぁ、あの人、昭和天皇の存命中にこのことばが発せられたなら![5, P29]

「結論ありき」の法廷が、ここに予定調和され、完結された。 日本を断罪できた人々は、さぞかし「晴れ晴れ」とした気分になったことだろう。

女性国際戦犯法廷とは、(主催者の主張はどうであれ)昭和天皇を断罪することを目的として行われた裁判(もどき)であったのだ。


人民裁判と同質の女性国際戦犯法廷

辞書によると、人民裁判とは以下のようなものである。

【人民裁判】 じんみん-さいばん [7]
(1)社会主義国家などで、人民の中から選ばれた代表が行う裁判。
(2)多数者が少数者を私的に断罪すること。つるしあげ。

社会主義国においては、結論ありきで、そこに至るまでの過程を予定調和的に裁く裁判が行われている。 反論は許されず、裁く側は「絶対に間違いを犯さない」という建前の元に行われている裁判のことを、一般に「人民裁判」と呼ぶのだ。

今回の法廷は、

1.会場に言論統制が敷かれていたこと。(後述)
2.予定調和的に裁かれている。

の2点から、人民裁判であったと結論付けることができる。


東チモール、グアマテラ、ユーゴスラビアと同一にしか描けない人々

主催者は、日本を断罪するために新たな「道具」を用意した。東チモール、グアマテラ、ユーゴスラビアにおける内乱で発生した性犯罪への断罪である。

このように、結論だけを結びつけて主目的の断罪へと結びつける手法は、左翼にとってお手の物である。 まさに「情報戦」であり「イメージ戦略」であり、「法廷」の名に恥じたやり方をこの法廷は行っているのだ。

東チモール、グアマテラ、ユーゴスラビアにおける内乱で発生した性犯罪は、それはそれは痛ましい事だろう。それに対して反対する者もそうはいないだろう。 だが、頭の中が倒錯している左翼たちは、大東亜戦争における慰安婦問題に対して反論する者たちを、これらの性犯罪をも正当化していると非難するのだ。 当然、それぞれは別の問題である。 左翼たちが段々「相手にされなくなる」状況の一端をここに垣間見ることができる。

プロパガンダでしか自説を正当化出来ない裁判、それが女性国際戦犯法廷であった。


日本政府に弁護人を要望したが、相手にされなかった法廷

法廷の主催者は弁護人を要求したが、上のように、事実認識すらままならない左翼たちに囲まれて、何を弁護すると言うのであろうか。 結局、誰も相手にすることはなかった。

女性国際戦犯法廷は、「日本国家の責任」を問うため、開催2ヶ月前に全裁判官の名前で、当時首相であった森嘉朗氏に被告側弁護人(被告代理人)の出廷を要請した。しかし、開催直前になっても何の応答もなかった。[8]

よって、「被告と被告側の弁護人がいない」という問題が生じることとなった。

そこで、主催者側はイギリスの制度である「アミカス・キュリー(法廷助言人)」という仕組みを持ち出した。 このように、後付けで理由をこじつけるところが人民裁判的である。 主催者側は、この事実をもって「きちんと反論は行われた」としているが、「法は遡らない」及び「同意のない法は無効」の原則通り、このようなこじつけは一方的な詭弁に過ぎない。

結果、主催者側としては「弁護を付けたつもり」になって、裁判が行われたのだ。
まさに茶番である。


傍聴に必要な「署名」

傍聴には、以下の内容に署名する必要があった。

「私は『女性国際戦犯法廷』の趣旨に賛同し、傍聴を希望します。傍聴に際しては、主催者の許可なく写真撮影、ビデオ録画、録音をしません。また、『女性国際戦犯法廷』を妨害したり、出席者や傍聴者の権利を侵害する行為をしないことを約束します。」[1, P121]

考え方の違う者を排除して開く裁判を「暗黒裁判」と言う。

このようなものに、健全たる人々が注意を裂く必要は全くない。 やがては消え行く、左翼たちの残影である。


売春問題とレイプ問題は異なる

以下の視点は、参考になる。

 慰安婦問題を、ユーゴスラビアや東チモールにおいて起こったレイプ事件と結びつけて、同じ線上で論じるには、無理がある。第一、慰安所はそのようなことが起こらないように、設けられたものだった。この意味では、軍が関与していたものだった。しかし、もし慰安婦問題と結びつけるのであれば、吉原の遊郭や、今日でも賑わっているアムステルダムの公娼街のほうが、東チモールや、ユーゴスラビアで起こった事態よりも、適切である。「女性国際戦犯法廷」の主催者たちは、大きな勘違いをしているのではないか。
 東南アジアでは、独立後に政府の高官や、軍の幹部をつとめた人々の間で、戦時中、日本軍が駐留していた間、慰安所が設けられていたために、日本将兵による現地女性を対象とした性犯罪が少なかったことを、評価する声が少なくない。[3, P64]

売春問題とレイプ問題とは異なるのであるが、左翼はこの両者を同一のものと見ている。 そこに、話のズレがあるのだ。 左翼の証言「強制されて慰安婦になった人も、貧困の理由により慰安婦になった人も同じ」という言葉からは、女性ならではの「情緒的な判断」が見て伺える。

このあたりは左翼によっても認識が異なっており、「全員強制的に連行された」と考える人と、「強制連行と貧困の理由とがあった」と考える人がいる。


チベットを軽視する主催者

旧日本軍が性犯罪を犯したと問題提起するならば、まさに今、チベットにおいて支那軍が行っている「組織的な軍隊による虐待行為」こそ、主催者が最も取り上げるべき関連事項なのではないか。

だが、チベットのレポートが法廷に提出されてはいるものの、その扱いは、問題の大きさとは比べ物にならないほど小さい。以下に、「軽視されたレポート」の一部を掲載したい。

「一日中拷問を受け、飲み物も食べ物もまったく与えられずに過ぎ、夕方の6時になると、尋問者の食事の時間になりました。そのとき、捕まった尼僧たちがひとつの部屋に集められ、服を調べられました。顔を伏せたままでいると、服を一枚一枚脱がされ、裸にされました。その部屋は窓が多く、外には大勢の一般囚が見ていました。そして、大勢の見るなか、警官のひとりが頭を、もうひとりがお尻を棒で殴りつづけました。やがて、あまりの痛さに恥ずかしさも忘れ、私は床を転げまわりました。そしてついに、気絶したのです。気付くと、水をかけられてびしょ濡れになっていました。
 再び拷問が始まりました。彼らは、電気棒を口や肛門、女性器に押しこんできました。私はあまりの痛みのひどさに再度気を失いました。尋問者の食事が終わると、再びその部屋から引き出され、尋問を受けました。彼らは棍棒が折れるほど私を殴り、疲れると水を飲んで休み、また拷問を始めました。折れた棍棒の代わりに、椅子やベルトなど、手当たり次第の物で殴りました。やがて、警官の人数は5人に増え、よってたかって私を殴りました。私は意識が遠くなり、これで自分は死ぬのだと思いました。[4, P281]

このような事実も、過去にあっては「全て無視」されてきた。 最近になってようやく、中国べったりの見方をする事が苦しくなり、このようなレポートも日の目を見るようになってきたのである。

主催者は、元ドイツ大統領ヴァイツゼッカーの言葉「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目となる」を引用して、法廷に賛同しない人々を居丈高に攻撃している。 だが、この言葉は主催者にこそ突き付けられるものなのだ。


まとめ

 慰安婦問題を口実に、日本に人道に対する罪の濡れ衣を着せようとしているのが、この女性国際戦犯法廷である。 最初から「結論ありき」の裁判であり、判決に際しては「女性の情緒」が最大限に利用された。 開催は、まさに人民裁判的なものであった。 中立を装ってはいるものの、中国寄りの立場が貫かれていた。
 法廷は、プロパガンダの仕組みに気づかず「いいことしている」或いは「かわいそう」と思うだけの下級左翼と、それを操る一握りの中級左翼たちのパフォーマンスの場であった。

主催者は日本に対し「人道に対する罪」を迫っている。しかし、日本に冤罪を着せようとしていることこそ主催者側が言うところの「人道に悖る行為」であり、すなわち、人道に対する大罪を犯しているのは主催者自身なのである。



資料:女性国際戦犯法廷が出した結論

被告人 天皇裕仁  有罪

  38   (中略)「最終判決」は2001年3月8日に発表される。(注:これは延期された)
  39   (中略)天皇裕仁は、共通起訴状中の人道に対する罪の訴因1と2である強かんと性奴隷についての責任についての責任で有罪と認定する。また人道に対する罪の訴因3の強かんについても有罪である。さらに裁判官は、日本政府が、「法廷憲章」第4条が述べる意味で、「慰安所」制度の設置と運営について、国家責任を負うと判定する。
  40   その他の被告人については、(中略)最終判決により判決されるものとする。[5, P305]

 

補足 (平成18年2月23日 記)

 この企画は、先立って放映された「プライド 運命の瞬間」という映画に対抗して左翼陣営が立ち上げたものであると私は見ている。

平成17年2月12日 19時16分 記
2月27日 題名変更
平成18年2月23日 追記

■リンク■
1 フェミニズムとジェンダーフリー
2 女性国際戦犯法廷の立役者、「松井やより」の偽善

■参考■
1 正論 2001年2月号 「女性国際戦犯法廷の愚かしさ」 (桑原聡 著) 産経新聞社
2 正論 2001年3月号 「NHKウォッチ」産経新聞社
3 正論 2001年4月号 「NHKよそれを売国行為と呼ぶのです」(加瀬 英明 著)産経新聞社
4 正論 2001年6月号 「チベット女性を見殺しにする女性国際戦犯法廷の非情」(酒井 信彦 著)産経新聞社
5 裁かれた戦時性暴力(VAWW-NETジャパン)白澤社
6 VAWW-NETジャパン - 2000年女性国際戦犯法廷
7 大辞林 第二版 (三省堂)
8 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク 2005年1月17日の声明

 

 

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