【ニューヨーク=田中光】米国南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾で20日夜に起きた海上石油掘削基地の爆発事故をめぐり、深刻な環境汚染が懸念されている。基地は2日後に沈没、AP通信などによると、海底の油田から1日当たり160キロリットルの原油流出が続いている。
米メディアによると、海上基地と水深約1500メートルの海底を結んでいたパイプが破損、2カ所から原油が流出し、海上には長さ約80キロ、幅65キロにわたる油膜ができている。油を処理する乳化剤もまかれているが、油はルイジアナ州沿岸まで約50キロに迫っている。流出を止める作業は難航しており、数カ月かかる可能性も指摘されているという。
ルイジアナ州沿岸では、カキが養殖されており、業者はカキを移動しようにも、原油が流れ着く先が分からないため、頭を抱えている。天候によっては、近隣の3州にも到達する可能性もあるという。
メキシコ湾を拠点にしている環境保護団体は「流出現場は、絶滅危惧(きぐ)種のウミガメやイルカが生息しており、自然環境に重大な影響を及ぼす」として、流出を防止する作業を加速するよう求めている。