「PERSONA〜Magic World〜」

 

第2話 召還

 

エヴァンジュリンさんとの戦いとも一応の決着がつき安堵していると、急にエヴァさんのパートナーであり2−Aの生徒でもある茶々丸さんが

回りを気にし始めた。

そして数回きょろきょろとあたりを見渡すと口を開いた。

 

「マスター。」

 

「なんだ?茶々丸。」

 

「実は、マスターのことに気をとられ気付けなかったのですが、この橋の外界へ続く出口方面に一名おそらく一般人と思われる方がゆっくりとこちらへ。」

 

茶々丸さんは事務的に,そして僕にも聞こえるようにそう答えてくれた。

 

「えぇ!どうしましょう!?何時から居たとか解りますか?」

 

急な来訪者に気が焦る。

今日は魔帆良学園都市全体がメンテナンスで,橋もその周辺の道路もすべて停電になっており危険なので通行止めになっているはずだ。

だからエヴァンジェリンさんとの戦いの場にここを選んだのに…!

 

「本日の気候、気温、対象者の体温、周辺温度からおおよそですが、30分以上前かと」

 

茶々丸さんはそう自分に向かって教えてくれた。

 

「そ…それじゃあ、あの人には。」

 

「バレてるだろうな、どうする?ネギ先生?」

 

エヴァンジュリンさんは私はどうでも良いが、なんて事を言いながらニヤリと笑いながら問うて来る。

明日菜さんは元々自分の生徒だし,結果的にとはいえ協力してくれる事になった,だが完全に無関係な人に魔法がばれる…それは掟に反する事で自分もオコジョにされてしまう。

ならばするべきことは一つしかない。

 

「仕方ありません、記憶を消させてもらいましょう。」

 

しかたがないのだ、魔法使いのことは誰にも知られてはいけないのだから。

誰かは知らないが、それがルールなのだ。

そんな自責の念が自分にのしかかる。

だがやるしかない!

そう心で決めると、自分の身の丈ほどもある父さんのくれた杖に跨り,誰とも知らない人のところへ向かった。

 

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「なに?こっちへ来る?」

 

杖に乗った赤毛の少年は自分の前に降り立つと、今まで乗り物にしていた杖を構え、開口一番こう言い放った。

 

「すみません、普通の人に秘密を見られたからには…記憶を消させてもらいます。」

 

「秘密…あの戦いの事…?」

 

当然だろう、ここがどんな世界かはわからないが空を飛び、手から竜巻や氷の嵐を撒き散らしていれば少なくとも自分のいた世界では秘密にしておきたいだろう

 

「(テレビに出るというのもありかもね)」

 

そんな益体もない事を考えるが少年はいまだ杖をこちらに向けて真剣なまなざしを向けている。

でも…あの戦いの記憶を消されてしまうのであれば、あの戦いの記憶でよみがえった自分の記憶はどうなるのか…なくなってしまうのではないのか

 

「たしかに…秘密なら仕方ないね…でも私もあの戦いの記憶は消させるわけには行かない。あの戦いを見て思い出した私の記憶まで消えてしまいそうだしね。」

 

「!?思い出した…記憶?記憶喪失とでも言うんですか?」

 

少年は顔は驚きで染められていた,まさか記憶を消そうとした相手が記憶喪失などとは思いもしなかったのだろう。

 

「解らない、なにせ今思い出した記憶とある程度の常識くらいしか今、頭に無いの。それが記憶喪失というのならそうでしょう?」

 

目の前の少年に僅かながら迷いが生じる、まるで法と義との板ばさみになっているようだ。

しかし、少年は杖を降ろさない。

 

「すみません、この後貴方の記憶を取り戻すために僕も協力します、ですから今夜の記憶だけは!」

 

少年の手に力が入る、何かするつもりだ、まさかまたあの竜巻で物理的に記憶を消すつもりなのかもしれない…

ならばこちらも相応の対応をするまで!

 

そして

 

懐に入れてあった、弾のない拳銃を取り出し目の前の少年に突きつける。

 

「!!」

 

少年は流石に驚いた顔で杖を一瞬引き、唱えていた呪文のようなものを唱えなおす。

 

当然だろう、なにやら派手な戦いをしていたようだが、拳銃を突きつけられるというのはやはり怖い。

 

「ネギ先生!!」

 

「ネギ!!」

 

「!!ぼーや…」

 

遠くから3人の女性の声が聞こえる、先生というのが気にかかるが少年の関係者だろう。

 

しかし拳銃を出したのは別にこの少年を撃つためじゃない。

 

そして少年から銃口を外し、

 

自らのこめかみに銃口を押し当てる…

 

この銃が漂わせる"死"の感覚は恐怖となって自分の内に生ずる…

 

そして"死"への恐怖は内なる自分との境界をあやふやにする…

 

「ペ…ル…ソ…ナ……!!!!」

 

そして、私は、自らその引き鉄を引いた。

 

その時…私の顔はなぜか…愉悦でゆがんでいた。

 

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「!!ぼーや…」

 

人影が、見た所まだ中学〜高校生くらいのガキのようだが…まさか火器を持っていようとは。

迂闊だった、魔法使いには魔法使い、または使い魔の刺客と勝手に思い込んでしまっていたが、普通に殺し屋を送り込んでこようとは…

いや、うちにもあいつがいたな。

 

「茶々丸。」

 

隣ですでに飛び出す準備を整えている茶々丸に声を抑えて話し掛ける。

 

「何でしょうか、マスター。」

 

「多少の火器じゃあぼーやの"風楯"を突破するとは思わないが、あの銃には何か感じる、奴が何か動きを見せたら…!?」

 

だが,私の茶々丸への言葉は驚愕で止められた。

"奴"はゆっくりとぼーやからその銃口を離すと、何を思ったか自分のこめかみに突きつける。

ぼーやも、神楽坂明日菜も、そして茶々丸も情けないことに私ですらあまりの事に呆然とその挙動を見つづけてしまっていた。

そして、重い銃声が周囲に響き渡り"奴"は狂ったような笑みを浮かべて,衝撃で横に大きくぶれる。

当然だ、見たところそこそこ威力のありそうな銃だし,しかも何かしら魔術的な付加も感じられる。

と,"奴"の周囲にガラスの破片のような物が散乱し、なにか別の存在をその背後に映す。

それはまるで"奴"の魔力が作り上げた実体を持つ虚像。

長い間生きてきたが初めて見る魔術形態。

そして映し出したのは"どこか機械じみた竪琴を持ったひと"、何処か"奴"に似た"存在"

人の形もしているが人ではない、人を超えた力を持つ異質な…そう"物"や"者"ではなくあえて言うならば"存在"

そしてその存在は現れるやいなやあらぬ方向に炎の魔法の射手のような魔法を放つと、何の痕跡も無く消えていった。

 

「面白い。」

 

私は長い時を生きてきた、その長い時の多くを退屈が占めている。

だがあいつは私も知らないことをやってのけた。

新しい技術、魔術が生み出された時、私の退屈は一時的に無くなる。

最近はそれが無かったが、ぼーやと共に面白くなってきた。

 

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ペルソナ…

それは自分の内に住むもう一人の自分が象徴化したもの。

今回特に何をするでもなく呼び出したのは"オルフェウス"。

ギリシャ神話に登場する竪琴の達人だ。

少年はまだ呆然としている、攻撃をまったく関係ない方向打ち出した理由は簡単だ、

"自分が普通の存在ではないことを示すため"

その一言に尽きる。

 

だがペルソナとは本来普通には見えないものだし,その放った攻撃も痕跡は残るものの攻撃自体は見えないはず。

でも私には確信があった,この人達…いえこの世界ではペルソナもその放つ攻撃も視覚できるものだと。

 

「これが、私の正体です。これで記憶を消さずにいてくれますね。」

 

「……え……は…はい…貴方も魔法使いなんですか?」

 

「いえ、私は……ペルソナ使いなんです。」

 

そう答えた。

先ほどと違い明るい大きく長い橋は自分という異質なものの闖入を歓迎している様にも見えた。

 

『いかなる結末を迎えようとも、全てを受け入れ、責任をとる。』

 

その契約は確かに私をこの地に留めていた。

そう、これが私、山羽美鶴がこの魔帆良学園都市ですごすきっかけとなった事件だった。

 

 

 

#あとがき---------------------------

 

ども、みなさまファーザムです

というわけで2話です

 

ペルソナの召還をメインにかいてみましたがいかがでしたでしょうか?

「もっと生命の危機的な状況下でペルソナは発現すべきだ!」

という方もおられるでしょう。自分もそう思っています。

 

ですが今回の主人公である山羽さんはすでに発現済みということでこんな形にさせてもらいました。

3話ではもう少し「ネギま!」世界におけるペルソナの定義とガラクタの意味なんてのも紹介したいと思っています。

 

それから新しいペルソナが出る際にはその説明と所有技,所有魔法のようなものを説明していきたいと思っています。

今回は主人公の初期ペルソナのオルフェウスですね。

 

オルフェウス(Lv10)

所有技 突撃,アギ,タルンダ,マハラギ

 

ギリシャ神話に出てくる太陽神アポロンの息子で竪琴の名手。

オルペウスともオルフェとも呼ばれる。

逸話としては,黄泉の国に行ってしまった恋人(妻ともいわれる)のエウデュリケを追って黄泉の国まで追っかけ,

三途の渡り守カロン,冥府の門番ケルベロスを竪琴の音色で魅了し,最後は冥府の王ハデスさえもその竪琴の音色に心揺さぶられ,

「冥界から出るまで振り返らない。」という条件下の元,後ろに付き添わせ送ったが最後の最後で後ろを見てしまい恋人を失ってしまう。

それ以降女性との愛を絶ちオルフェウス教を広めるが,新しい神が広がっても自らの信じるヘリオスの神が最も偉大と述べた。

それに怒ったワインと泥酔の神「デュオニュソス」は自分を信じる女性(「マイナス」と呼ばれる泥酔した女性の事)にオルフェウスを襲わせた。

そしてオルフェウスはマイナスによって八つ裂きにされる。

そしてその首はブロス河に投げ込まれ,レスボス島まで流される。

島の人はそれを悲しみ彼の墓を立て葬った。以来レスボス島はオルフェウスの加護により文人を輩出するようになった。

その後,彼の竪琴は天の昇って竪琴座になったのである。

 

*突撃     その名の通りオルフェウスが竪琴を持って敵にぶつかっていく。

*アギ      ペルソナシリーズではよく出てくる魔法。敵単体に火属性小ダメージ。

*タルンダ  同じく魔法。一定時間敵単体の攻撃力・魔法攻撃力を減少させる。

*マハラギ 同じく魔法。敵全体に火属性小ダメージ。

 

こんな感じです。

なお,P3ではオルフェウスはマハラギを普通には習得しませんが,このオルフェウスは少し力をつけたオルフェウスとでも思っててください。

しかし説明長いですかね。長いようならもっと簡潔にします,またはなくしますんでご指摘お願いします。

 

それでは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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