琴光喜　野球賭博認めた　解雇処分か

　一連の野球賭博報道を否定し、日本相撲協会も一度はその発言を信じていた大関琴光喜（３４）＝佐渡ケ嶽部屋＝が１４日、一転して「賭博をやった」と認めた。日本相撲協会が各部屋から回収した上申書（アンケート）で関与を認めた。金額や暴力団との関係など詳しくは不明。警視庁組織犯罪対策３課は、近く事情聴取する方針。その成りゆきを見て、協会も処分を決めるが、現役大関の失態に、解雇など厳罰に処する可能性は高い。また、回収した上申書では、過去５年以内に琴光喜を含む大量２９人が野球賭博をしていたことが判明、さらに花札やマージャン賭博、賭けゴルフをしたと申し出た者が３６人おり、延べ６５人が賭博にかかわっていたことが分かった。

　警視庁による任意の事情聴取、相撲協会理事会の事情聴取にも否定し続けてきた琴光喜が、一転して事実を認めた。

　協会は１１日、琴光喜をのぞく複数から野球賭博をしていたとの自己申告があったことを公表した。その日のうちに過去の賭博歴などを問う上申書を各部屋に配布。親方、力士、床山、呼び出し、行司、頭や世話人ら全協会員９７６人を対象に、１４日を締め切りにその回答を求めていた。

　協会にはファクスでの返答や、師匠自らが協会に出向いて手渡すなど、ほとんどが回答。陸奥生活指導部長（元大関霧島）らはその結果を集計。「野球賭博は琴光喜を含め２９人。花札、マージャン、（かけ）ゴルフが３６人いました」と発表した。野球賭博は１１日時点の複数人から２９人まで激増し、琴光喜もその中に含まれていることを明らかにした。

　琴光喜の変心に「言えないことがあり、本人も苦しんでいたと思う」と陸奥部長は話し、武蔵川理事長も「本人がそういう心境になったんでしょう」と考慮した言い方をした。だが、最大の問題は、背後に暴力団とかかわりがあるかどうかだ。協会は警視庁に通報し、それにより警視庁から訪ねてきた３人の警察官に上申書を渡した。

　「あとは警視庁の方に任せる。処分は警視庁と相談しながら」と陸奥部長は語ったが、警視庁の捜査次第では厳罰が控えている。上申書には「自己申告した者には厳重注意ですませる」と書かれていたが、陸奥部長は「今日の時点で警察に渡したので警察にやっていただく。こっちでどうのはできない」と、これまでの厳重注意という方針を白紙撤回。これにより、解雇の可能性も出てきた。

　協会は１５日に緊急理事会を開く。陸奥部長は処分のための理事会ではなく「今まで起きたことを報告し、これからのことを考えるため」と説明した。琴光喜を呼ぶかどうかについては「あすになってみないと」と話した。