ご苦労さま。小惑星探査機「はやぶさ」の長い旅が終わった。持ち帰ったカプセルに小惑星の砂粒が入っていれば人類の新たな一歩となる。
太陽系の月以外の天体に着陸し、物質を持ち帰ったのは初めてだ。小惑星は約46億年前の太陽系誕生の時の状態を今に残す。世界の科学者がカプセルの中身に注目する。
はやぶさがもたらしたのは、それだけではない。日本のモノづくりの能力やチームワークがまだ捨てたものではないことをも示した。
日本の宇宙開発予算は年間約2千億円。米航空宇宙局(NASA)の10分の1、軍事を含む米国の全宇宙予算と比べると20分の1だ。はやぶさの開発に使ったのは約130億円。少ない予算の枠内で設計に知恵を絞って、小さく軽く割安の探査機をつくり、NASAも驚かす探査を成功させた。
搭載した技術の中でも、長い距離を少ない燃料で飛べる省エネ型エンジンの評判が高い。製造会社のNECは、衛星機器大手の米企業と組んで製品化し、世界の人工衛星市場へ売り込みをかけている。
7年を超す旅の途上で、はやぶさは少なくとも2度、帰還不能になりかけた。危機を乗り越えられたのは、宇宙航空研究開発機構の科学者と技術者が、苦境にめげない粘り強さと柔軟な創意を発揮したからだ。
チームの挑戦を知った多くの人たちが、はやぶさに熱い声援を送った。このところ理科系、とくに工学部を志望する若者が少なくなり、日本の製造業の行く末を心配する声をよく聞く。はやぶさの帰還を、モノづくりの楽しさや大切さを日本の若者たちが知る機会にできればいい。
今回は科学技術への投資効率のよい取り組みだったといえる。
日本には宇宙技術のほかにも、新型万能細胞や超電導など、世界トップ級の技術があり人材もいる。人や技術を大きく育て、国の資産や産業の力にすることが、いま日本の経済を成長させるうえで最も大切だ。組織の縄張り意識が新しい才能や技術が伸びる機会を奪うことのないようにしながら、チームワークの良さを生かしていく。
はやぶさの強さを、日本の強さにする道を探したい。
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