サッカーW杯・南アフリカ大会第4日(14日、日本1−0カメルーン、ブルームフォンテーン)本田は落ち着いていた。前半39分、松井の右クロスをゴール前の遠いサイドで受けると、左足で冷静にけり込んだ。
「しっかり準備した結果、いいチャンスで決めることができてよかった。最近勝利がなかったが、くさらずに前向きにきょうに向けてやっていこうという気持ちがあった」。マン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた日本を勝利へ導いたヒーローは、こう言って胸を張った。
岡田監督には「点を決めろ」と言われて送り出されたという。初めて経験するW杯の初戦で与えられたポジションは不慣れな1トップ。昨年代表15得点の岡崎をも押しのけての起用は、指揮官の厚い信頼を物語る。それもチーム戦術を忠実にこなすのではなく、「自分の良さを出すことが第一」と言い続け、結果を出してつかんだところに価値がある。
13日は24歳の誕生日だった。「きのう誕生日だったので、何か持っているな、と思った」と白い歯を見せた本田は、オランダ戦に向けて「きょうの勝利で、より一致団結してもっていける」。日本に自国開催以外での初勝利をもたらす歴史的な一撃を決めた男の目は、早くも次戦へと向いていた。