(交流戦、楽天1−3ヤクルト、最終戦、ヤクルト3勝1敗、13日、Kスタ宮城)ヤクルトの由規は一回の先頭打者から四回に安打を許すまで実に39球、すべて直球だった。その間、相川のサインに首を振ることはなかった。変化球なしで9個のアウトを積み重ねた。
ここまで5連敗中で2軍落ちも経験した。交流戦でパ・リーグのエース級の球威を目の当たりにしたこともあり、前回登板後、直球を磨き直した。「広島の前田智さんが言う『ゼロから100』を意識した。リリースした瞬間に100の力を出すイメージ」。特に苦手のセットポジションこそ力を抜いた。プレートに立った時点から、表情さえも−。
成果は四球絡みの危機を乗り越えた五、七回に表れた。「ピンチで力がある球が低めにいった」。プロ初完投は逃したが、チームを最下位脱出に導く好投。故郷・仙台で最大の武器に進化を見せながら、昨年投げ負けた田中に雪辱もし「追い求めていた人に勝てた。価値ある1勝になった」と自信を膨らませていた。