子宮頸(けい)がんと子宮体がんの総称に使われる「子宮がん」について、日本産科婦人科学会(理事長=吉村泰典・慶応大教授)は12日、この呼称の廃止を求める要望書を長妻昭厚生労働相に提出することを決めた。頸がんと体がんはまったく違う病気として扱うべきだという。
子宮頸がんは子宮の入り口に生じ、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染から引き起こされる。子宮体がんは、胎児が育つ子宮内膜のがんで女性ホルモンのバランスの崩れが原因。学会は1987年から別々の病気として診断・治療を進めている。
一方、国の統計は仕分けがあいまいで、「子宮がん」の総数しかわからず、頸がん、体がんそれぞれの正確な死亡数が不明だ。患者数や増減の傾向もわからない。学会の小西郁生常務理事(京都大教授)によると、50年代は頸がんが9割超を占めた。しかし、学会調査では、2000年代に入り頸がんと体がんの比率は2対1になった。
子宮頸がんワクチンは昨年に発売されたが、学会は今回と別に接種の公費助成が進むよう厚労省に要望している。