[依存症回復への扉・キャンブル編](43)借金問題

返済の道 依存脱却から 「孤立防止へ専門家連携を」

2010年6月14日 09時55分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録
(13時間6分前に更新)

 ギャンブル依存の問題は、多重債務など借金の形で表面化することが多い。しかし、そこで借金を家族らが肩代わりした場合、新たに借りられる状態となる。根本的な原因であるギャンブル依存の問題が解決されなければ、また借金が繰り返されることになる。専門家は、まずは根っこの依存の問題から先に取り組むことが大切だと指摘する。

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 ギャンブルをやめて1年7カ月になる会社員のヨシオさん(54)=仮名、本島中部=は現在、自助グループ「GA」(ギャンブラーズ・アノニマス)で、ギャンブル依存からの回復に取り組みながら、借金の返済を続けている。

 不動産を担保に組んだ長期ローン。定年までに完済できるか不安は大きい。だが、ギャンブルをやめてからは落ち着いて返済計画を練る余裕もできた。

 借金を清算した後、再びギャンブルに戻ってしまう人を見てきた。反対にギャンブルをやめ、借金を完済した人もおり、目標にしている。ギャンブルをやめながら借金と向かい合うこと―。これが回復への一歩だととらえている。

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 ギャンブル問題では、債務整理に当たる弁護士や司法書士ら法律家の、ギャンブル依存に対する理解も重要になってくる。

 多重債務者の支援に取り組む「沖縄クレジット・サラ金被害をなくす会」メンバーの司法書士、楠(くすのき)和起さん=楠・與那城合同司法書士事務所=はギャンブル依存の問題があると思われる相談者に、医療機関や自助グループの連絡先が掲載された県発行の相談機関リストを手渡し、依存の問題に取り組むよう促している。

 借金については、基本的に支払い請求を止め、その間に、信頼できる家族に金銭管理をしてもらう対応を取っている。

 ギャンブルによる借金は、自己破産を申し立てても、債務の返済義務を負わない「免責」が原則認められない。だが、裁判所の裁量による免責が認められるケースもある。また、借金の一部を免除する「個人再生手続き」などの方法もある。

 楠さんは「事案によってさまざまだが、借金は解決できる問題。一人で孤立せず、相談してほしい」と呼び掛ける。

 その上で「ドロップアウトした人をどう元の道に戻すか。各分野の専門家が連携して福祉や医療につなげるなど、本人を孤立させないようにすることが大切ではないか」と〝支援の網〟の必要性を指摘した。(学芸部・高崎園子)


 ご意見・ご感想は学芸部くらし班、電話098(860)3553、メールkurashi@okinawatimes.co.jp

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