仕事と同時に住まいも失った人を支援する国の融資制度の悪用が相次ぎ、計約4億円がだまし取られた疑いがあることが13日分かった。融資の窓口となっている全国労働金庫協会(東京都)が調べた。これまでに融資した総額の約4%にあたり、回収できなければ国が全額穴埋めする。
悪用されているのは2008年12月に始まった「就職安定資金融資制度」。リーマン・ショック後の「派遣切り」などで失業と同時に住まいも失った人を対象に、賃貸住宅に入居するための敷金・礼金や生活費を貸し付けている。上限は186万円。5月末までに約1万1千件、総額92億円が融資された。
回収出来ない場合、日本労働者信用基金協会が労金に弁済する。最終的には基金協会に国が補助する。
労金協会によると、昨年夏ごろから詐欺事件が頻発。今年6月に全国13の労金を通じて調べたところ、届け出た住居に住んだ形跡がなく、だまし取る目的だったことが明らかなもの、暴力団関係者が関与したとみられるもの、融資後に連絡が取れなくなっているものなどが365件あった。
これらの融資実行額は4億2966万円。各労金は、組織的な犯行である可能性が高い94件について警察に被害届を出すなど法的措置を取っている。会社経営者と不動産業者が結託してハローワークに提出する書類を偽造したり、解雇された人になりすましたりする手口で、大分、大阪、愛知、山梨など10府県では逮捕者が出た。