「漢点字」とは

視覚障害者が使用する漢字の点字です。

日本の点字が制定されて100余年になりますが、点字はカナ点字だけで漢字には何らの関心も払われぬままでした。故に視覚障害者は「漢字」を主体とする日本文化の真の恩恵に浴することなく過ぎてきました。この不合理を解消して「視覚障害者に漢字の文化を」と川上泰一氏が開発・考案した漢字の点字のことで「漢点字」と名付けられました。

「漢点字」の開発

 川上泰一氏が「漢点字」を考案したきっかけは、戦後(昭和24年)大阪府立盲学校に就職したことにはじまります。盲教育の貧困さを盲教育の素人であるが故に新鮮に受け止め、更に漢字の点字がないことに驚愕し、一念発起して前人未踏の大海にのり出したのです。

 構成素となる漢字は優に200を越えます。これを6点の組み合わせで出来る63種類の点字に組み込むことは不可能です。そこで川上氏は漢字の分析をはじめ構成素を統合整理することにしました。漢点字考案成功の秘訣はここにあったのです。

「漢点字」の効果

 漢点字は「木」に関わる漢字には木へん、「水」に関係する漢字にはサンズイが付くといったように部首を生かして作られています。したがって表意文字としての漢字本来の漢字の命が宿っていますので、記憶や理解がしやすく、対話や交流の輪をひろげて楽しく日本文化を摂取し生活をエンジョイすることが可能です。

現に、漢点字で懸賞募集に入賞した作家
   試験問題を作成している教師
   手紙の交換を楽しんでいる人
   漢点訳書をむさぼり読んでいる人
   自分の姓名の意義を知って感動している人
   自分の子供によい名前をつけた人
   三療のカルテを作っている人
   ソフトを利用する人など多様化しています。

このように漢点字の醍醐味に浸っている多くの視覚障害者がみられます。

漢点字の特色

1、従来の6点カナ点字体系を生かしつつ漢字に対応した部首構成です。それ故に理論的な一貫性と関連性を保持しています。したがって理解や記憶・学習しやすく対話の場が広がります。

2、漢点字符号として従来のカナ点字の1の点の上に0の点を、もう一方の4の点の上に7の点をそれぞれ付加した8点法です。

 例  点字画像ひらがなのき、漢字の木、漢字の林、ひらがなのめ、漢字の目、木偏に目の相  

この付加点は多数の実証のもとに定着した形態です。

3、8点法の利点として、句読点は墨字(印刷原文)と一致させることができます。したがってカナ点字特有の「マスあけ」から解放され、原文のリズムを損なうことがありません。

4、墨字(印刷文字)と点字が一対一に対応しているので、相互交換が容易であること、応用性・汎用性に富んでいることから将来の発展が期待されます。

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