感染地域で選挙活動自粛を 現職陣営申し入れ

(2010年6月14日付)

 口蹄疫の感染が県内で広がり、県が非常事態宣言をする中で迎える参院選宮崎選挙区(改選定数1)で、自民現職陣営が民主新人陣営に対し、感染地域での選挙活動を互いに自粛するよう申し入れている。結論は出ていないが、立候補を予定している3陣営とも口蹄疫に配慮する思いは同じ。24日公示、7月11日投開票が有力視される中、自粛ムードが漂う異例の選挙戦を迎えることになりそうだ。

 申し入れは、自民現職の松下新平氏(43)陣営が今月3日、民主新人の渡辺創氏(32)陣営に電話で行った。具体的な内容は示していないが、松下陣営は感染地域で選挙カーを走らせないことや集会を控えることを検討中。松下氏は「被害農家の感情を逆なでするようなことはしたくないが、相手陣営が(発生地域に)入ったら状況が違ってくる」と申し入れの意図を説明する。

 渡辺陣営は5日、比例代表の候補者にも協力を求める必要があることもあり「政党間で協議してほしい」と電話で回答。選挙スタイルが異なる中で具体的な内容を決めるのが難しいとして、判断を党に委ねた。民主党県連の田口雄二幹事長は「今でも常識の範囲内で活動している。選挙カーについても、比例代表の選挙活動で走ったら意味がない」との見方を示している。

 ただ、選挙活動を自粛することは、知名度に勝る松下氏に有利に働く可能性もある。このため、渡辺陣営からは「新人には不利。口蹄疫を選挙に利用したのではないか」との見方も。これに対して松下陣営は「意図はない。あくまで口蹄疫の影響を考えてのことだ」と他意がないことを強調する。

 自粛申し入れについて、松下陣営は両陣営間での結論が出ていないことから、共産新人の馬場洋光氏(41)陣営には伝えていないという。馬場氏は「松下氏に言われるまでもなく、発生地の皆さんに配慮する必要性は分かっている。わざわざ取り決めをしなければならないのか疑問だ」と話している。

【写真】口蹄疫の感染拡大に伴い、一時休館中の県立図書館。次期参院選は自粛ムードが漂う異例の選挙戦となりそうだ=13日午後、宮崎市